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それから冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しえっちゃんに渡した。
[三口必ず飲んで]
意を取られたえっちゃんは素直に飲む。
落ち着いた。
[過程はどうでもいいんだ。えっちゃんはお金を稼ぎたい。仲間の為に。それさえ達成すれば他はとても些細な事なんだ]
ユダの言葉。今は同じ気持ち。そう。目的はミヤビ達との幸せ。その為ならなんでもやると決めたはず。覚悟を思い出した。それで我を取り返した。
[もしリョウさんではなくユダさんところに無心に来たらどうしてました?]
[もちろん用意してたよ。ただマーロンには、必ずえっちゃんが女性と居る時に声をかけろと進言したけど]
[戸籍を買いたいんです]
えっちゃんは話題を変えた。最終目的を思い出す。過程は文字通り、どうでもいい。ミヤビ達に戸籍を与えて、きちんとした生活をさせたい。逃げ隠れせず堂々と真っ当な人生を。
[5人分の?]
ユダはえっちゃんにペースを合わせてくれた。
[無理なら私はいいです]
[養子縁組すれば早いし安いんじゃないかな]
ユダの簡潔な答え。おそらくその方法も調べてるはず。
知ってるんですね。教えてください。と本来なら言える立場ではなかった。が恥も我もかまわず聞いた。
[なんにせよ警察が関与するんだ。まず親権探しから始まり、居ないのを確認出来たら親戚の元へ。誰も引き取り手が居ないなら養子縁組。そこで初めて戸籍が手に入る]
えっちゃんは口を開くのをユダは阻止する。
[まだある。おそらく何人かは親から逃げ出した子供もいるんじゃないかな。その場合は強制退国だ。親権探し中は全員国の児童福祉施設預かり。まともな飯は食える]
ユダはゆっくり言った。
[えっちゃんが望む事はそんな甘くはないんだ]
[どうしたら?]
[成人するまでこのまま隠れ過ごす。成人したら出頭し、親権を放棄。戸籍申請。あと十年は面倒見るつもりなのかな?]




