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[仲間が居るわ]
えっちゃんが答える。
[お金欲しくないの?]
リョウの言葉にえっちゃんは考える。
[全員は無理よ。リスキー過ぎるわ]
コースケから話は聞いてるらしい。リョウさんの言葉は正論。本当なら警察に連絡しなければいけない。不法滞在の子供を匿う事も違法。
[お、俺の家なら]
マトンが口を挟む。
[女の子だからそれは無理よ]
リョウの答え。
[俺が金出すよ。ダメになっても文句は言わない]
そう言ったのはオルカ。
リョウがコースケを見る。かすかなアイコンタクト。えっちゃんだけ気付く。
[なら、えっちゃん。毎朝九時に私の所に。夜五時まで働いてもらうわ]
[何をするんですか?]
[子供服のモデルよ]
[他の子達も]
ケイナ達も雇って欲しかった。が、ダメ。リョウは首を振る。
[一人だけでもリスキーなのよ]
分かってる。分かってた。落胆はある。
[五百万あれば当分大丈夫なはず。残りも必ず支払うわ]
リョウはえっちゃんの両手を握ってまっすぐ向き合った。
[私達は貴方を利用するの。貴方も私達を利用して。それでお互いお金を稼ぐのよ]
リョウは五個の札束と残ったお菓子とジュースをリュックに詰め込み、えっちゃんに渡す。それと携帯電話。
[明日から来るように]
来るのが当然のように言われる。五百万の重み。当然なのだろう。えっちゃんはうなづく。
皆とコースケは残るらしく一人で帰される。
背負ったリュック。五百万円。質量以上に重く感じる。
旨い話に裏がある。
でも危険を察知するアンテナは動かない。ニルやオルカ、カラクリ、マトンを思い出す。至極、普通の人達。暴力や夜の人達とは無縁。
姑息な目つきや、人を出し抜くような雰囲気は感じない。
札束を目の前にして誰も驚かなかった。オルカさんは五百万を出すとも言った。
誰もがお金を持ってる証拠。コースケも持っているのだろか?
大きなお金が動くのだけは分かる。




