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[それだけで解決出来るのですか?]
ユダの説明を聞いた後で、えっちゃんの質問。ユダはうなづく。
ユダの話通りなら確かに全てが解決する。えっちゃんは不安よりも希望を感じた。
[お礼はどうしたら?]
[何にも要らないよ]
[貸しって事ですか?]
利用されたくはない。えっちゃんは思う。
[なら、記憶が思い出せたら全てを教えて欲しい]
ユダは笑って言った。それだけ?とえっちゃんは目で訴える。
[うん。それでチャラ]
えっちゃんは指輪に目を移す。
[私がこれを盗んで逃げたらどうするんですか?]
[どうもしないよ。えっちゃんがそうしたいならしてもいいよ。その方法でも解決出来るね]
ユダは変わらない口調で言う。売れば少なくとも一千万円になるだろう。だが敵を増やす事になる。
[ありがとうございます]
えっちゃんは立ち上がって深くお辞儀をした。
[そうだね。明後日辺りがいいか。明後日の昼の二時にあのトンネルの向こうで]
えっちゃんはうなづく。
[裏口はどこですか?]
[こっちこっち]
カウンターからトオルと呼ばれる男が答えた。トオルを見るとトオルは指を指した。えっちゃんは裏口から出て行った。
足取りは軽かった。
帰りながら、計画の細かな部分を練る。
警察さえ来なければ大丈夫。ユダが嘘をついてなければ大丈夫。何故かユダの事を信用できた。たとえ何かを隠していても。




