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雨続きな日が続いたが、珍しく太陽の光が射した日の午後。リンが珍しく買い物についてく。と言い出した。今日の買い物はミヤビと行く日なので三人で買い物に。
アパートから出た通りで聞く。
[欲しいモノあるの?]
リンはおずおずと画用紙が欲しい。と言った。いつも行く百均屋へ。
外で聞いて正解だった。百均屋へ行くと
知ったらケイナもケンも必ず着いてくる。
あそこは宝の店だ。安くて色々な種類がある。えっちゃんですら何度も買い過ぎたと思った事がある。
百均屋に入る前に買い物時間を決める。何時間でも居られる。
バラバラになって欲しい物を探す。
えっちゃんはケイナの為に化粧品コーナーを見回る。二度手間を避ける為に。買って来なかったら、私も行く。と引かない。
目の前に一人の女の子。一目でピンとくる。自分と同じ不法滞在の少女だ。
服の裾の汚れが目立つ。万引きを考えてるかもしれない。
えっちゃんは目をつぶる。目を開けて財布から千円を取り出し彼女に渡した。
[何も言わないで]
えっちゃんは彼女の手の中に千円札を握らせて、言った。
これ以上、人は増やせない。出来る事はこれだけだ。
それにもし万引きが見つかったら私達も危ない目にあうかもしれない。
渡す為の理のある言い訳を考える。
彼女が口を開こうとするのを制する。
[何も言わないで]
えっちゃんは彼女の目を強く見て言った。
彼女は少し頭を下げて、その場を去った。右のポケットから品物を取り出したのをえっちゃんは見た。
えっちゃんの目の奥が熱くなった。涙が出そうになるのをグッと堪える。
後ろの気配に気づく。振り返るとリンがいた。
[やっぱ私何も要らないわ]
お金を渡したのを見ていたらしい。
えっちゃんは何度も首を振った。
[大丈夫よ]
えっちゃんは無理して笑って言った。
同情は逆に相手が困る時がある。
一度優しさに触れてしまうと、無意識に甘えが出てくる。そうすると今まで大丈夫だったはずの冷酷な現実に不満が出てくる。不満は怒りを呼び、怒りは何かを傷付ける。他人、もしくは自分自身に。
厄介な事に怒りは消えずにいつまでもくすぶり続ける。




