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ホテルの裏口に白い大型ワゴン。
運転席と助手席に二人。どちらも一目でアウトローな人と分かる。
[可愛いじゃん]
一人が言った。えっちゃんは一瞬、コースケかユダの味方かと思ったが違った。
コースケが、黙って連れて来いと言われなかったか?と一喝した。
沈黙のドライブ。高速道路入る前に乗り換え。黒と赤で塗装してある大型ワゴン。E-1と英語でペイントしてある。
さすがにこの運転手と助手席に座ってる男は一言も話さなかったし、チラリと見るだけでずっと前を向いていた。
スピードもそんなに出さず綺麗な運転をしている。
少しでも失敗したら大変な事になるのが身体に染み込んでるらしい。
カズの怖さが伺える一面。
冬の夕方は日が落ちるのが早い。
高速道路を降り住宅街を通り、山のそばの国道。民家がまばらになる。街灯も少なくなる。フェンスに囲まれた場所が見えると車はスピードを緩めた。フェンスの上部には鉄線。フェンスの向こうには広い駐車場。四十台くらいの派手な車が止まってる。奥にコンクリートむき出しの建物。看板には全て白いビニールがかけてある。
元は土木会社の資材置き場。それを改良して作った場所。
フェンスの扉が開き車は中に入る。ガシャンと車の中まで扉の閉まる音が聞こえた。
駐車場の車から流れてた音楽が止んだ。
建物の前に車が着く。
降ろされたコースケとえっちゃんは建物を探る。二階の窓は無い。入り口は鉄の扉。扉の取っ手には重そうな鎖。
怪しげで危険なアンダーグラウンドの格闘技場の雰囲気を文字通り醸し出している。
扉が開く。後ろには二十人くらいの若者。誰も彼も刺青をしている。茶化す人は一人も居ない。カズの統率が取れている。
ただ、これから起きるであろう出来事に期待と興奮している目つきをしてた。




