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日の出も早くなり、仕事帰りの朝方も人の気配が多くなってるようになった。
ゴミ収集の金髪のお兄ちゃんとも距離が近づいた。
毎回お菓子をくれる。最初はたくさんくれたのだが一つだけ選んで貰うようにしたら、一つだけくれるようになった。それだけでなく、警察官の居場所も分かった時には教えてくれる。
アパートの前。相変わらず隣の窓のカーテンは前と変わらない。留守が多ければいいな。と思いながら階段を上がる。
部屋に入ると新しい扇風機が一つ置いてあった。あの電気屋の安売りの扇風機と同じだった。
服に着替えず、ケイナを起こして扇風機の事を聞いた。
隣の人がくれたのよ。と眠そうに答えた。
[なんでよ?]
ケイナは目をこすりながら起き出した。
[私もそう聞いたわ。二台買うと安く買えたから買ったんだってさ。それで一台をくれたのよ]
えっちゃんは空箱を探る。
[何もないわよ。扇風機の中もミヤビが調べたわ。大丈夫よ。心配し過ぎだわ]
ケイナはアクビをして、もう寝ていい?と目で訴えた。えっちゃんはうなづく。ケイナは布団を頭までかぶった。
私達が電気屋の扇風機を見てた事を知ってる?見られてた?でもそんな気配は無かった。かなり注意はしていた。ケイナも気付かない。
コースケを思い浮かべる。跡を付けるようには見えない。どちらかといえば不器用に見える。が不安は不安を呼ぶ。キリがない。
ケイナのアンテナに引っかかってない。
それを信じる事にした。
静かにドアを開けて、コースケの住むドアを凝視する。おそらく居ない。だがそれ以外は何も分からなかった。
服を着替えて、眠りについた。
雨が降り続く梅雨に突入。あれから数週間。変わらない生活。今までと同じ。変わったのは扇風機が回ってる事。
隣の生活は不規則で習慣は掴めなかった。えっちゃんは挨拶を交わすどころか滅多に会わなかった。だがケイナ達は何回も出会ってるらしい。
変な質問とかはしてこない?と聞いた。
[今のところ無いね]
ミヤビが答えた。警戒は解いていないので一安心した。
[どんな仕事かしらね]
とえっちゃんは呟くように言った。
[そんなに、気になるんなら、聞いてみれば、いいんじゃなぁい]
ケイナが間延びした口調で茶化すように言った。
[そんなんじゃないわよ]
えっちゃんは、ケイナの軽口に乗らなかった。
何かしら物が増えてるのは分かってた。
新しくはないがゲーム機や漫画本。
ケンやミヤビがコースケから貰った物だ。
[なんかお返ししたら]
リンが言った。リンも何か貰ったのだろう。
えっちゃんは皆を眺める。
コースケを信用していないが、怪しんでいる人は居ない。
[そうね]
えっちゃんは答えた。




