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カズの放った爆弾は秒読みを開始する。
[カズは仲間割れを起こさせる気なんだ]
コースケは座って言った。
[喧嘩してる場合じゃないよ。これからどうする?]
[過ぎた事よりこれからの事を]
マトンさんとカラクリさんが助け船を出す。えっちゃんも言う。
[リョウさんが信じた人達でしょ?私は信じるわ]
リョウさんは座った。
[私が間違ってたら?]
えっちゃんは首を振る。
[間違っていないわ]
えっちゃんは言い切った。
[少しコースケと話がしたい]
えっちゃんは皆に言う。が誰もうなづかない。誰も疑心暗鬼の膜は取れていない。
[なら皆の前で話すわ。ただし絶対に反対しないで。私を信じて欲しいの]
えっちゃんはコースケに話し出した。
[コースケが私をカズの所に連れてって。私が倒す]
えっちゃんは静かだったが、実は怒りに怒っていた。家族を持ち出したカズが許せなかった。リョウさんはもちろんマトンさん達も怖がらせた。オルカさんを病院送りにさせた。
[一気にやるか?]
コースケは反対しなかった。エクスコなら可能だと分かっているからだ。だが他の人はえっちゃんの強さを知らない。誰もが止める。反対する。
えっちゃんの独りよがりの自己犠牲だと。
金を払おう。とマトンさんが言ったのを皮切りに他の人が賛成する。それぞれいくら持ってるかを言い合う。
三十億円。ケタ外れな金額。匿名通貨で海外取引所を介して支払えば足はつかない。
[私に賭けたのなら最後まで賭けて]
えっちゃんは言った。えっちゃんは、机の中からマジックペンを取り出して蓋を開けた。瞬間、机の上に飛び、クルリと身を回し翻しながら皆の喉元へ一本の線を書いていった。コースケだけが身体を後ろに引いて書かれるのを防いだ。
えっちゃんはフンワリと机から降りるとマジックペンをクルクルと上に投げ、落ちてくるマジックペンをキャップで受け止めた。
[これがナイフなら皆死んでるわ]
えっちゃんは静かに言った。
[俺は生きてるよ]
コースケは首を上げて答えた。
皆は他の人の首を見る。一筋の線がついている。ユーナさんが生唾を飲んだ。




