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二日間平和だった。カズからの着信もない。エクスカリバーコインの相場は買われてくが、その半分をすぐ売りに出して、売り枚数を上手く操作していく。一気に買われても、すぐに売られて下がってしまう。
買い板を厚くしていくの。と、リョウさんがえっちゃんに説明する。他の人は当たり前の知識だが、えっちゃんには未だにピンとこない。
仮想通貨は変動が激しい。一気に上がれば一気に下がる。一気に下がらないように買い板を増やして売り板を削っていく。
マーロンとミヤビから毎日連絡が来る。
さすがに表に出てこない中国人コミニティを日本人が探るのは難しい。ましてや無国籍の子供達は更にひっそりと暮らしている。バレるとしたら誰かの裏切り。
知らない日本人の為に裏切る中国人はいない。
最後にカラクリさんが来て、全員ホテルに集まる。誰もがパソコンを持って来ている。
リョウさんは専用のWiFiのパスワードを教えた。
その晩にえっちゃんの電話がなる。カズから。スピーカーにする。
[集まったって事はやる気なんだな。川島啓。川島省吾。川島清美]
カズは次々と名前を読み上げてく。マトンさんの顔が青くなる。おそらくマトンさんの本名。そして両親の名前。次の名前でカラクリさんが立ち上がった。カラクリさんの名前と家族の名前。
[犬の名前まで知ってるぜ。さてどうするつもりよ?]
沈黙。マトンさん達は怒りよりも恐怖で黙り込んでいる。
[どうせスピーカーにしてるんだろ?誰か言えよ]
カズが嗤う。遊び始めた。だが誰も口を開かない。開けない。電話越しからため息の吐く声。
[皆、ビットコインはそれなりに持ってるんだろ?三十億円で許してやるよ。無理なら十億円とエクスコ一人で。どうよ?優しいだろ?]
カズは真面目な声で言う。
[エクスコの素性はどうしても分からなかったんだよ。つまり世間的にはいなくなっても警察は動かない。充分、使い道はあるからな]
沈黙は続く。
[言っておくがな。お前らの家族全員は殺せないんだよ。ただし一家族は必ず不幸にしてやる。交通事故と誘拐なら簡単に起こせるんだからな。助かりたいヤツは金を出せ。お前らの誰かが喧嘩を売ってきたんだからな。ケジメはつけさせてもらうぜ]




