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パソコンを見ていたリョウさんが、これ。とえっちゃんに見せる。カズからメール。柴田正樹の被害届けを取り消せ。
の一文。
柴田正樹。オルカさんの本名。
コースケに電話すると、予想通り。
従うしかない。
ユーナさんからリョウさんへ電話。
襲われて逃げてる最中。と。
今どこ?の問いに新宿と答える。なんでそんなとこに?ユーナさんは仕手グループの情報を探っていて、一人の情報提供者に会う予定だったが、その提供者がカズの仲間だったと説明した。
なら歌舞伎町へ。とえっちゃんが言った。
リョウさんが歌舞伎町だと余計危ないんじゃない?と言ったが、えっちゃんは、あそこは警察官がいつも居るし防犯カメラもたくさんあるから。と答え、リョウさんはユーナさんに指示した。
えっちゃんが迎えに行く。とユーナさんの携帯番号をメモしワン切りした。
リョウさんは危ないんじゃない?と心配するが、まさか私が迎えに行くとは思わないはず。逆手を取るわ。と答えた。
タクシーで新宿。早足で歩いてるユーナさんを見つける。帽子にマスク。探す方も帽子にマスクをしてるだろう。アンテナを広げる。二人組かと思った予想は外れて、怪しいのが五人。もう少しいるかもしれない。と多目に想定しておく。尾行でなく拉致するのかもしれない。
五人とも若い。真面目な大学生のような服装をしているが、数人の襟元から刺青が見える。
まさか尾行している自分達が尾行されてるとは思ってないはず。事実、五人とも一度も後ろを振り向かない。
えっちゃんはユーナさんに電話をする。
[五人後ろにいるわ。振り向かないで]
ユーナさんは思わず振り向き、慌てて前を向く。
[二丁目の方分かる?この先を左の方へ。そこは人が少ないからダメ。三つ先までこのまま歩いて左へ]
えっちゃんは指示する。ここはある意味、私の庭。
人混みが途絶え始める。数人のオカマが道端で雑談している。
[そこのオカマの人に、キャサリンに会いたい。えっちゃんの友達。と言って。ミルキークイーンっていう店に連れてってくれるからそこで]
えっちゃんはそう言って電話を切り、ユーナさんの通らなかった道へ入り、駆け出す。ミルキークイーンへ先回りする。
ミルキークイーン。店の奥へ案内される。キャサさんに裏口から出たいとお願いする。お金を取り出す。
[お金なんていいのよぅ。それに貴方達はラッキーだわ]
キャサさんはお金をえっちゃんのポケットにしまった。
オカマのホステスがユーナさんを連れて来た。
[あら若い男の子。学生さんかしら]
キャサさんは豪快に笑った。
[面白い事になりそうね。キョウコ達と豚の穴の人達も呼んで]
キャサさんはホステス達に声をかける。
[名前はユーナね。名前といい化粧のノリも良さそうだし、貴方この世界にピッタリよ]
キャサさんはユーナさんの頬を撫でて笑った。
[リーにピンクの像ちゃんを連れて来てって伝えてー]
キャサさんはオカマの一人に大声で言った。他のオカマ達の嬌声が上がる。
[ピンクの象さんって]
[来たら分かるわ]
キャサはウィンクした。




