表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

早朝妹と夢語り、それからの超展開?

 朝の清清しい空気、とても目が覚めて俺はこの感じに一切不快感を抱かない。眠気眼を覚醒モードにしてくれるのだからな。

 いけいけドンドンで日々を生きたいと願う俺こと、坂崎イツキはそんな感じに優良男児を気取るのだった。


「おーいかよぉーお前夢って見るかぁ?」


 そして朝は常に俺よりも早く起きて、目覚ましが煩くがなり立てるよりも前に俺を優しく起してくれる妹天使かよ。

 そんな天使の如く神聖で慈愛に溢れたお方は、今日もキッカリしっかりしていて朝という気だるい空気を払拭してくれる。さっきと言ってる事が違う事は気にしないでくれ。


「お兄ちゃん?今日夢でも見たの?」

「そうそう盛大に見たんだよ、かよは夢とか見るか?」


 そう言うと、かよは何だか考えるような感じで頭を抱え始めた。


「うぅーん、幻蝶蚊帳って夢って言うのか微妙だよねぇー」

「ああ、それ。そういえばそういう設定もあったね」

「設定って何かな?お兄ちゃん?」


 そうだったのだ、決して忘れていた訳では決してないが、決してを二回使うほど決して忘れてはなかったのだが。三回使ったな、こりゃ本当に決して忘れてないね。四回もいったんだから当然だ、これ以上は繰り返さなくても良いほど決して忘れてないね。はい五回目だぜこれ。


 彼女坂崎かよは、夢を見る代わりに幻蝶蚊帳という夢とも言えない夢を見る。

 それを何か具体的に説明しだすと長いので省略するが、概略だけ言うと。

 夢という脳内現象を高度な科学力で制御したり安定化させる事によって、より好きな感じで見る事ができるようになった、そんな夢のような現代の科学的奇跡だ。

 しかも沢山の人間を一つの夢の世界に縛り付けて、あたかもオンラインVRRPGのような世界観を形成しているという有り様だ。

 確かにこれは、人間の見る夢と一口に言ってしまってよいのかどうか、酷く曖昧に感じ考えられるのには同意だ、かよよ。


「それで?お兄ちゃんは私がどういう夢を見るか聞きたいの?」

「そうだぜぇ!何を見るんだ!是非とも聞かせてくれ!かよのような優秀な頭脳を有する人間が!どんな夢を見るのか凄く気になるんだぁ!」


 口角泡を飛ばしてがっつく、夢の話でテンションが上がっているようだなぁ!こりゃ!


「あっはぁっは、お兄ちゃんは子供っぽくて可愛いね。うん、そうだね、私が見る夢はお兄ちゃん関係が多いかな」

「うん?俺関係か?どういう事だ?というよりどんな感じなんだそれは?」


 そう言うと、ちょっと恥ずかしそうにもじもじしながら、何だか愛の告白でもするような風情で告げてくる。


「お兄ちゃんと現実でしたい事を、夢の世界で実現させるような感じだよ」

「おぉ!それは面白いなぁ!いやはや俺もかよが夢に出てくる事があるんだがぁ!いつも楽しませてもらってるぜぇ!」


 俺が特に何も考えずそんな発言をすると、かよは顔をなぜか真っ赤にして恥ずかしくてしかたないように俯いてしまった。はて何か変な事を言っただろうか?


「どうした?かよ?何か俺可笑しなこと言ったか?」

「、、、わたしも、お兄ちゃんと同じような夢、毎日見てるんだよ」


 そんな恥ずかしい事を告白するように、小さな声で秘密の内容を告白するような真剣な調子で言ってくる。

 なんだろうか? 夢の内容というのは普通こんな感じで言うのだろうか? プライベートだからか?

 多分女の子だからだろ。ほとんどの女性関係の不可解な事象は全てこれに当てはめ何も考えず処理するのが賢明だ、いちいち深く考えていたら俺なんかの脳じゃすぐ処理限界でショートしてしまうしな。


「そうかそうか!マジで嬉しいぜぇ!妹と一心同体なのは、兄として本当に心地好いぜ」

「っぅ!!一心同体!?お兄ちゃん!」


 かよは俺の言葉に驚いたように目を丸くしている。なんだ?こんな事俺たちの間じゃ今さら驚く事でもない共通認識だろうに。


「お兄ちゃんは、、そういう事が望みなの?」

「ああん?そうだぜぇ!かよとは常に心で繋がった兄妹で在りたいと思ってるんだ」

「、、、こころで、ねえぇ~、うーん、これはどう考えたものか、、、」


 深く悩みだした様子のかよ、一体この会話にどんな深い何かを見出したのか?

 俺には想像もつかないが、それでも俺は当初聞き出したかった事を更に追求する事にした。


「それで、一体どんなレベルでかよは夢を見るんだ?」

「レベル?っていうのはどういう意味なのかな?お兄ちゃん?」

「ああレベルって言うのは、どれだけリアルに、そして自由に夢を動かしたりとかできるかって意味だぁ」

「・・・・それってどうしても言わなくちゃ駄目かな?」


 そう言って恥ずかしそうにしながら、俺に切なげで追い詰められたような瞳を向ける。はて何だろうか?

 俺は不思議に思いながらも、多少強引にでも聞き出したかったので更に問い詰めるような事をしてしまう。


「できれば教えてほしいぜ、かよがどんな夢を見てるのか気になるんだよ」

「、、、、縦横無尽、、なんでも思ったとおりに夢を動かせちゃうの、、、ぅぅぁっ!ごめんなさいお兄ちゃん!!」


 そう鳴くように言い切って。顔を限界まで真っ赤にした挙句、両手で顔を隠してまで俯いてしまうかよ。

 なんだろう、なんだか夢の内容を聞くのに変な罪悪感を感じてきたんだが


「まあなんだ、なんだか恥ずかしい事を聞いてしまったみたいで悪かったなかよよ」

「ううん、別にお兄ちゃんが悪いわけじゃないの、全部わたしが悪いだけだから気にしないでっ!」


 そう机のひらに顔を突っ伏しながら声を出して言ってくる。本当に悪い事したみたいだぜ、この件はもうあまり話さない方が良さそうだ。


「それじゃ、今度は俺の見た夢の話聞くかぁ?かよも気になるんじゃないかぁ?夢の中でどんなことされてるとかぁ」

「っ!!!!ぁ、ぁぅ!!!うぅぅ、、、、、お、お兄ちゃんは話したいのっ??!」

「え?ああ、そうだなぁ~?? まあ、かよにはちょっと知ってもらえると嬉しいぞ、夢の内容を共有するって面白くないか?」

「え、えぇぇーうん!そうだよね!夢の内容って!共有すると面白いかもね!」


 机から顔を上げて、チラチラこちらを見ながら話しを無理矢理合わせるように言ってくる。

 なんだ? 今日は随分と反応の一つ一つが初々しくて可愛くて堪らないなぁ!いいぞぉ!これぇ~!もっとやってくれぇ!!


「そうだろそうだろ? かよも俺の夢の話しを聞いて楽しくなりたいよなぁ!」

「あっあぅあ、、うん、そうだね。お兄ちゃんの夢の話しを聞いて、わたしも同じようにお兄ちゃんの感情を共有したいな」


 そう言って、なんだか酷く熱っぽい視線を投げかけてくるかよ。果てさて何か物凄い期待をされている気がする。そんなに凄い夢の内容ではないんだがぁ~。

 まあしょうがない、嘘をついて話しを盛るのもあれだし正直にありのまま見た事を話すか。


「まあ、普通にエロ方面の話は全スルーだ」

「っ!!スルーしちゃうのっ!!??」

「はっはんぅ、途中から気づいていたぜぇ!このオマセ妹がぁ!」

「っ!!!!!!」


 かよは限界まで体を震わせている、差し当たり怒りでどうにかなってしまいそうなのだろう。

 がぁっはっは!たまには俺の方が妹をやり込めるのも心地良いものだなぁ!本当に!ホント偶には俺に振り回されるべきなのだぁ! 


「お兄ちゃん嫌い!!このエッチスケベ!鬼畜ちくしょう!!」

「悪いわるいってぇ~わらわら、謝るから許してくれよぉー」

「なんでそんな事するのぉ!!乙女の純情弄んで楽しいのぉ!?」


 まあそこまでするつもりはなかったのだが、予想以上にかよはショックらしき物を受けた様子だ。


「そういう所わたしだぁーーい嫌い!!!そういう軽くて軽薄で演技っぽくて表面全てが偽者っぽくてキザっぽくてカッコつけのお兄ちゃんなんてホント大嫌いなんだからぁ!!!」

「あぅあぅあ~!!うがぁー!!許してくれぇ~かよぉー!!」


 妹の全力の罵詈雑言に盛大に傷つけられて、号泣して妹に許しを請う俺、客観的に見てヤバイなこれ。

 でも勝手に体の全てが動いた、精神状態含めて全部だ。

 妹にいつの間にか洗脳されているのだろうか? 真剣に疑うレベルの精神失調を来たしている現在進行形で。ヤバイコレ俺の中の宇宙がヤバイ。


「お兄ちゃんのその人格モード本当に嫌い!もっと矯正して!最適化して!」

「なんだそれぇー俺が複数の人格持ちの危ない奴みたいじゃないかぁ!」

「お兄ちゃんはそういう危ない人でしょ!自覚持ってよぉ!今は妹用対年下決戦人格兵器のなんかよく分からないひとぉ!」

「なんだそりゃぁ!意味分からんぞこらぁ!!」


 まあ確かに、誰でも関る人に対して対応を変える、傍から見たら複数の人格を持ってるように見えるのだろうか?

 俺は特にそのふり幅が大きい、って訳じゃないがね~。

 関る相手がこの妹を筆頭に個性的に過ぎるのだ。だから大きく俺のキャラも変えざるを得ない、というより変わらされている訳なんだがね。


 しかしこの妹も含蓄を含めて物言っているのかいないのか。深読みしだしたらキリがない。

 俺の人格を客観的に見て、日々このように批判したり褒めたり評価したり、いろいろと参考になる事をことあるごとに言ってきてる気がする。

 それによって俺のキャラや言動その他諸々が最適化され、悪い所は日々矯正されている。

 正直とても助かる助言の様なモノを、日々様々な視点や観点から教えてくれる師匠のような、年下のご先祖様のような風もあるのだ。かよには。

 そしてそれら助けによって、全ての人格を統合する主人格とも言うべき、俺の他人と関る能力も必然上げられていくのだろう。

 妹なりに兄の将来の心配でもして、コミュ力をすこしでも上げさせようとしてるのかね? 昔引っ込み思案でコミュ障だった頃の俺を今だに案じてるのだろうか?


 でもかよと直接関って成長する俺の一側面とでも言うべき箇所は。先ほどかよが珍妙な表現をした、対年下決戦人格兵器だ、しかも妹用のマイナーチェンジバージョン。

 いつまでも妹かよと関ってばかりいたら、妹以外とまともに会話もできない、まるで妹に精神的に依存する駄目兄貴になってしまう所だ、いや!それが狙いかぁ!って邪推してみるかね。

 でもまあ、妹用の関り方のノウハウも全ては全て、他のいろいろな人間と関る全てのノウハウと有機的に繋がりあい全体のコミュ力総体としての技術は確実に向上するだろうし、そんな極端な話は錯覚に過ぎないのだ。

 しかし、妹ばかりと関っていても収穫逓増で得られるものは段々少なくなるのは、これ人の世の理コトワリ成りけり。悲しい話だがね。

 だからつまり!妹以外の女の子とも関らなければいけないのだぁ!!むしろ積極的に関りたいぞぉ!

 いや!女の子といわず色々な男子ともだ!!そうじゃないととてもじゃないがぁー社会の第一線で通用するコミュ力は身につかんのだぁ!!


「よーし!!かよ!今日は夢の話しを口実に!俺の中の男女十人カケル2の主要登場人物と!夢の話しを口実にお喋りしちゃうぞ!!一日で全員コンプするぅ!!カッコいいだろ!一日で二十人もの人間と関る超社交系キャラって一側面を確立してやるぜぇ!!」

「うわぁ!どうしたのいきなり!さっきの会話からどうやって話がそこに行き着いたの!」


 かよがご飯を食べる手を止めて驚いている。

 ふっふ!!今日で俺は新たな境地にたどり着くのだぁ!より高次元な生命体として脱皮し花開き蝶のようにもっと広い世界に飛んで行ってしまうぞ!がぁっはははっは!!


 そんな風に傍から見たら怖いくらい、理解不能意味不明で馬鹿みたいに笑っていると妹が事情を察したか酷く冷静な感じで話しかけてきた。


「なるほど、お兄ちゃんは今日で沢山の登場人物と親密になって、より拡大した人間関係を構築するつもりだね?」

「そのとおりだぜ!察しがいいな!さすが物語の裏ボス!影の主役に抜擢される勢いだぜ!流石俺の妹だぁ!俺の株も上がるというものよぉ!がっははっは!」

「笑い声が一々煩い、そこを変えないと個別ルートにも入れないよ」


 妹の冷静な突っ込み、確かに煩かった、今まさに俺が矯正され最適化されている、否されたのだ、がっははぁ!やったぜぇレベル一アップだぞぉ!!


「よっし!妹かよよ!俺の為にもっと尽くすのだぁ!」

「ちょっと!煩くて何も説明できたモンじゃないでしょ!口にチャックしてよぉ!うっさいんだよバカァー!」


 妹が俺の頭をポカンと叩いてくる、大して痛いもんじゃないが、そろそろ堪忍袋の緒が切れて、完全なる実力行使に入る警告だ。大人しく従っておこう。


「それで?なんだ?何か面白い為になる助言や薀蓄でもくれるのか?だったらクレクレ一杯募集中だぞ、彼女もな」

「一々茶化さないで、そろそろうざいよ」

「うざいと言われたかっただけさ、もうしないのだ」

「のだ、じゃない、気持ち悪い語尾も禁止」

「そんな風にお叱りの言葉を頂きたかっただけなんだぜ」

「その、ぜ、口調もこれからやめてみて、ちょっとは紳士的になるかもしれないよ」

「やだ、だ、この口調は俺のアイデンティティくれてやるわけにはいかないのだよ」

「お兄ちゃん大好き、お兄ちゃんと一緒にいるとね毎日面白いんだ、自然と笑顔になれる」

「そうだろそうだろ、俺もかよが大好きだ、ずっと一緒にいような」


 そんなイチャコラしていると、、仕切りなおすように「こほん」とかよがわざとっぽい咳をして場を鎮めてから言う。


「それでだけど、お兄ちゃんは今日で沢山の人、えと、総計20人程度かな?新たな関係性を沢山の人との夢語りという共有情報によって作り出そうとしてるんだよね?」

「ほんと察しがいいな、その通りだ、まずは第一段階じゃなく一人目、坂崎かよはクリアだ」

「うんそれはわかってる、向上心が見られて眩しいね、それを今日一日で行なうの?」

「そうだよ、俺は即断即決で何でもやる主義なんだ、明日やろうは馬鹿野郎なのさ」

「うん、そういうのいいと思うよ。そのお兄ちゃんの活動が実を結んで、より有意義で楽しい、エンターテイメント性の高い、娯楽性としての次元や階層のもう一つくらい以上高い、そんな人間関係が新たに発生している事を願ってるよ」

「願うんじゃなくて協力してくれな!お前は俺の中でも支柱に位置する、重要な建築資材なんだからな!」

「もちろんだよ!お兄ちゃんを支えられる立派なレディになれるよう!日々努力してるんだよ!見ててくれないとわたしもやる気が出ないから!もっと日々かまって褒めて甘えさせてよねぇ!!」

「たりまえだ!のぞむところだぁ!よっし!二人で夢のロードを突っ走ろう!!」

「おおぉ~!♪」


 そんな感じでいつもの俺達なりに楽しい朝の雑談パートを納めた、次は順繰り的にシャルかね? 

 俺の登場人物一覧の上から数えて二番目は、”そういうルール”、決まりになっているのだ。

 何事も順番を大事にして物事や勉強、学習は進めたほうが、混沌に無秩序にやるよりも効率が良い。

 このように芋ズル式にかよ→シャル→~~~ってお決まりの流れという展開で、常に日々を秩序的に生きた方が、俺の様々な人間関係に対する記憶効率等々が高くなる傾向があるので、常にできる限りそのようになるように尽力して過ごしているのだ。


 さて果て、飯も食い終わった事だし、次は登校途中か学校でシャルを捕まえますかね。

 全て万事上手く行けばの今は仮の話だが、しかし俺の運命はそれが確定しているような気がしてならないのだ。マジで中二病っぽくてカッコいいな俺、こういう雰囲気が何より大事なんだよ、うんうん。

 俺はひとしきり自分の妄想に満足し、そのまま家を出る身支度を進めていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ