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第四話-幻蝶蚊帳の勢力関係図

 

 

 どうやら、聞く話によると。

 この世界の、混迷度ってのは、既に臨界ギリギリらしい。

 もう世界を一度リセットするか、

 または、白紙に近い状態に戻すか、

 それともパラダイムシフトし、それぞれの勢力陣営の戦力の、根底に座す要素を抜本レベルで改変するしかないらしい。

 なぜなら、観測者の長である佳代が、そう言っていたからだ。

 観測者達が絶妙に、巧妙に仕組んだ、

 この世界全体の、勢力均衡のバランスが大きく崩され、不安定なのだ、

 一触即発の状態に、なったからだ。


 具体的には、

 ルナルティアがドリームワールドの幻想を否定し、同盟を破棄したこと。

 これは幻想蚊帳始まって以来の、最大にして、大いなる裏切り行為だ。

 だからこそ、世界を終焉させるほどのショック、衝撃があったのだろうな。

 さて、これにより、第一の大きな均衡が失われた。

 前々から、あった話だ。

 ドリームワールドの前時代的人々を、ルナルティアは神話存在から助け、それにより信仰された。

 世界において、善神として君臨し、相互に同盟関係に近い状態になっていたのだ。

 だがしかし、最近のアトランティックとドリームランド、二大勢力の伸張に対して、

 神という性質上、数を揃えられないルナルティア陣営は、若干、戦力的に不利な感を否めなくなってきた。 

 それに加えて、

 ドリームワールドの中小規模の国家群・都市群が、あらかた信仰を忘れ、あまり同盟するメリットがなくなった。

 さらには、それらの中にはアトランティックや、ドリームランドに手を貸す所も出てきたのだ。

 その勢力の暗躍が、さらに人々の神に対する信仰心を、薄くしたのかもしれない。

 それならもうって、この事態だ。

 善神という幻想を抱かれ、役目を果たすだけの存在ではいられないって事。

 それよりも侵攻を開始し、領土を広げ、幻想空間を拡大させるべき、そういう強硬派が現れるに合いなった訳だ。


 ここでそれぞれの勢力の、純粋に観測者が試算した、厳密な戦力比を簡単に述べておきたいと思う。

 ルナルティアは、機動力に富んだ精鋭戦力を所持する。

 大群で向かわれると弱いが、混戦や漁夫の利を得やすい状況だ。

 つまりゲリラ戦やテロ、電撃戦法・戦術の飛び交う混戦にはめっぽう強い。

 純粋な戦力は全体の、たった10%程度だが、

 場合によっては、それ以上に十分成りうる、不確定の要素が多い勢力といえる。


 アトランティックは、機動力はそれほどでもないが、参加プレイヤー数も多く、それなりの大戦力を所持している。

 正面戦闘や長期戦には、かなり強力な反面、奇襲やその他、ライトユーザーが多く衆愚政治になった過去も見て、

 内部混乱等には、かなり他の勢力より貧弱であると言えよう。

 だが、格別な兵器生産力もあり、超兵器って言えば、この勢力の専売特許だ。

 ぶっちゃけ、空中機動戦艦のみで構成された軍が主力だ。

 物量ゴリ押しで、戦線に隙間なく艦隊布陣とか、平気で配備できる。

 そのように戦力を整えやすく、首位を独走している感がある。

 戦力は全体の40%にも迫る勢いって話だ。

 

 てーか、この大規模で、大集団の戦力を所持する、アトランティックが、観測者の介入も許さずに、世界大戦の狼煙を上げた。

 他の世界と接する、国境線上全てに、偵察艦隊を持つので、

 事前に明確に、世界全体に存在する戦力の、動向を緻密に察知できる形で、上手い具合に戦力を動かしたのだ。

 このような、諜報やら、歴史の裏舞台からの介入ができない形の、世界の終焉への流れは、観測者の手が出せないパターンらしい。

 人間による、人間の確実な意志の下の、滅び、

 あるいは、観測者という名の、常軌を逸した人格者の説得、交渉ができない、人の意志を誤魔化せないって奴かね。

 とりま現状、この陣営を中心に、例外的なモノ以外、基本として、他の陣営は複雑に立ち回ることになるだろう、ってさ。


 さて、話を世界の紹介に戻す。

 ドリームランドは、全体主義的な世界である。

 神々を信仰する事が、絶対的価値観としてまずある。

 参加プレイヤー全てが、高次元に神々を信仰し、

 その上で発生した、上位NPCが、第一の正面戦力である。

 その裏で神々の活動をサポートする形で、神々の力を分けられたプレイヤーが参謀をする事になる。

 なのであまり集団としては、他の勢力よりまとまりに欠ける。

 そもそも集団としても、怪しい所もある、ドリームワールドを除いてはだが。

 この勢力は、神々の気紛れにより、戦闘をあまり効率的に進められない所もある。

 全体主義的に全てが決まるので、全プレイヤーを、積極的に闘争に参加させられるが、。

 あまりプレイヤー数も多くなく、長期戦を行なう地盤も整っているわけでもない。

 神という特記戦力は、実は単純戦力で言えば、世界全体の1000%ほどの大怪獣みたいな奴だが、

 戦争における戦力としての、厳密な試算としてはガクッと落ちる。

 なので、純粋戦力は全体の15%ほどって話だ。


 最後に、ドリームワールドだが。

 この世界は中小の国家や都市国家を、派閥の最小単位とし、それぞれが同盟する形で、大きなまとまりとなっている。

 しかし、閉鎖的な都市国家を中心に、同盟の輪は綻びを生みやすい。

 あまり一つのまとまりとしては結束が薄い。

 特に三大国家は、それぞれが別の、他の三世界勢力と友好的であり、

 この事実により、都市国家同盟はルナルティアと同盟を破棄されたとも言える、経緯がある。

 三大国家は、

 親ルナルティア派の神聖教皇国と、

 親アトランティック派の大帝国、

 親ドリームランド派の人類同盟国。

 これら三つに分けられ、それぞれが都市国家同盟と同盟関係だったが、

 今回の勢力バランスの乱れにより、これからどうなるかは判然としない。

 基本的戦力としては、他の勢力よりも全体的に劣る。

 しかし普遍的世界観ゆえに、NPCの数が、他の勢力の比ではなく多い、

 ので、それらのNPCを有用に扱い、レアな特記装備を万全にし、戦力として最低限使えるようにすれば、

 果たして、どれほどの戦力になるかは知れない、つまりは未知数である。

 幻想や、超科学、神々の力を直接扱うことは出来ない様だが、

 他の世界の力を、上手く流用し応用発展、実用化させる事によって得た力、

 さらに信仰により得た力や、神々から与えられた神器を、柔軟に持ちうる事で、

 純粋戦力は、全体としては35%なのだった。

 三大国家それぞれ均等に6%で、都市国家同盟は17%ほどであるらしい。



「どう?だいたい理解できた?」

「おいおい、この世界はそんなに複雑な状況だったのかよ。

 俺みたいなライトユーザーは、全然そんなこと知らなかったぞ」

「まあね、こういう事知らなくても、基本特に問題もなければ害もないしね。

 知らなくてある意味当然だよ。

 お兄ちゃんはこの世界を、軽く楽しめればいい感じでしょ?」

「おお!そうだとも、当たり前だの太郎、ばっきゃろう!ってなぁっ!

 そんな本格的にゲームみたいな、勢力争いにはあんま興味ないっつーか」

「そうだろうと思った。

 お兄ちゃんってこういう、戦争みたいな事で、沢山の人と関るの、面倒だと思うタイプだものね」

「別に嫌いじゃないんだがな。

 まあ今はそういう趣味じゃないって思うな、悪趣味とは思わんよ。

 でもなんとなく、集団の柵シガラミとかが、ちょっと性に合わないってだけだよ」


「それで他に聞きたいことはある?」

「そうだな、強いてあげるなら、、、。

 どうしてかよ達、観測者は、

 そういう、勢力均衡が乱れるのを嫌うんだ? 何か致命的な事でもあるのか?」

「あるねぇえ。

 まずは勢力が均衡しないと、ゲームとして成立しない、つまりは世界として成立しないの。

 現実のゲームでもそうでしょ? 

 あとは、この世界が統一されてしまうと、

 一つの世界観だけが、全てを支配しちゃうんだよ?

 そうなったら、みんなが楽しめなくなっちゃうでしょ?」

「ううん、どうなんだろうな?」

「そうなの。

 そういう世界が、世界の真なる姿なんだよ、少なくともゲンチョウカヤでは、そういう事になっている。

 この、世界としては、ネットワークなどが基本単位であって、緻密に厳密な数学が支配する世界では、特にそうなの。

 全てが全て、無上に破綻して、

 世界全体としては、そもそもが成り立たない、数学的な虚数崩壊を起こしながらも、

 局所局所で崩壊しつつも、

 みんなが生きる事によって、ネットワークが強化・補修され、

 欠落が、知的生命体としての知識に対する欲望、

 不幸が幸せによって満たされ、全てが相互に、双方向性で、欠かさざるモノとして繋がり合い、統合され続けることで、

 そう、つまり、

 みんなの幸せの為に、この世界は存在しているのに、

 勢力均衡、戦争の火種が発火して、最終的に潰える、それはいただけない。

 あとは、そうだね。

 観測者達が、私達が、ギリギリの鬩セメぎ合いで戦ってるプレイヤーや、上位NPCが暗躍したり、策謀したり、いろいろさまざま、

 そうやってこの世界を、生き生きプレイしている姿を見たいからなんだよ♪」

「ふむ、納得できたぞ。

 つまりかよは皆の為に、この世界のバランスを保ってるんだな?」

「そうだけど?それがどうかしたの?」

「俺も、その仲間になれないか? 俺なんかで役に立てるなら、なんでもしたい。どうだ?」

「はは、お兄ちゃんが? 

 うんうん、気持ちは嬉しいよ。

 でも大丈夫だよ。この世界は私達に任せて♪

  お兄ちゃんはリリさんと、レイアさんと、この世界を楽しむだけでいいんだよ♪ 

 それが私の、このゲームでの大きな遣り甲斐でもあるしね」

「そうか。

 そもそも俺なんかじゃ、勤まらない役どころかもしれないしな。

 でも何か出来ることあったら、何でも言ってくれ!

 その時は存分に全力で手を貸すからなぁ!」

「うん♪ありがとね、お兄ちゃん。

 それじゃ、そろそろ私は退散するね♪

 お兄ちゃんがこの世界を楽しんでくれる事を願うよ。アデュ~♪」

「おおぉ!またなかよ!アデューだ!」


 そうやって、かよの声は聞こえなくなった。

 なんとなくこの世界では、かよは態度がミステリアスになる、なっているような気がする。

 職業病なのか、世界を裏から操るポジションだ、その自覚がキャラに影響しているのかもしれない。

 でもかよはかよだ。

 俺が思う、信じる通って妹は、そういう超絶な人格者なのだ。

 みんなの幸せの為に、持ちうる力を全て使って奉仕する。

 例えるなら聖域、聖女だ。

 そういう事に大きな喜びを見出す奴だ。

 そう考えると、俺もこの世界でただただ、ボンクラの穀潰しとして生活するのも、なんだか情けないし、みっともない、腑に落ちなくなってくる。

 何かしたくなるのだ、何かが何かは、まったくこれっぽちも今は分からないんだけどなぁっ!!??

 何か、そうだな、かよのように、この世界の為に成る事をするべきだろうか?

 このあとす、こし考えを巡らせて見よう。

 まずはその為にも、あの二人にその事とかを、相談してみるべきかもな?

 あいつらを納得させない事には、そういう事もできなさそうだしな。

 という事で、俺はそろそろこの部屋を出て、二人のもとに戻ることにした、どこに居るかは分からないんだがな。


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