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第一話-幻蝶蚊帳について

 

 

 第一に、幻聴蚊帳とは何か?


 原理を説明すると。

 VR技術と、更に進化した脳科学技術の応用、

 それで発明された、ブレインナノマシンインタフェース、

 そして更にその応用の、そのまた更に応用みたいな、

 複雑な技術体系の、謂うなら基礎研究の研鑽と累積による成果だな。

 たぶんな、ああ、俺はそう聞いたのだ、良く分からなかったが、あれは凄い世界観だったと一言だけ言っておく。

 そして、誰でもこういう事ができる訳ではない。

 常軌を逸した天才、である我が妹かよの、高度な脳制御と情報処理等々、それらに支えられ、

 あとプラスアルファーで、オンラインで複数の人間の集合的無意識を集積し、調和等々させ、

 やっとこさ、上手く機能させ、映し出すことが出来る、世界。

 明確な第二現実、明晰夢のように、その機能は機能結果を世界観として、アウトプットさせる。 


 まあそれだけのこと、

 どこまでも非現実的だが、現実的な技術に裏打ちされた世界だ。

 そういう近代の御伽噺のような感覚で、その世界での出来事全てを見て欲しい。

 長々説明したがそんな感じで、そんな訳だ。

 口で説明するのは難しい。

 今実際夢見てるんだし、その情景描写で全て変えさせて貰らった方が理解が速いかもな。



 天空には三つの金・赤・青色の月のような天球。

 遥か彼方まで続く大自然。

 それに調和的に聳え立つ城や城下町。

 俺が今いるのは、それら全て見渡せる気高い丘の上。

 風流溢れる、ファンタジィーな雰囲気を好む人種なら、ば酔いしれるような景観だ。

 どれもこれも現実で見ることの叶わない、または叶わなくなったモノたち。

 全く近代的な技術の、片鱗すら見れない景色。

 こういうタイプの情緒豊か、だが確固とした世界観ってのは、常に都会で住む人間には驚嘆的、

 つまりカルチャーショック的に心に響くであろう。

 しかして俺は田舎育ちで、その恩恵を最大限感じるには向かないらしい。

 それを残念に感じる程には、この景色全て心に響き、もっと堪能したいと思うのだ。


「いつまで黄昏ているの!ビシッとしなさい!!」

「そうよ、まだまだ夜はこれから。

 この世界を阿鼻叫喚の地獄に叩き落す、記念すべき夜は今から始まるのよ」

「って何言ってるですか!レイアさん!?」

「ん?リリさんの方こそ、何を驚いているんです?」


 と、真後ろで俺の雄姿にちゃち入れてくる奴ら。

 全く救いがたい愚者だな。

 それも当たり前だ、こいつらは悪魔と堕天使なのだ。


 さて、そろそろ俺が物語の主人公って気づいた人も多くなってきたろうし、あらすじを紹介させてもらおうか?

 俺は俺だ、

 設定を作ってなかったり、曖昧に濁して、これから先の展開の幅を幾らでもインフレさせたいわけじゃない、とだけ言っておく。

 紹介できる範囲で言うなら、この世界の中心だ。

 この世界ってのは、悪魔・天使・堕天使・人間という種族、プラスで魔界・天界・人間界って狭いフィールドだ。

 俺が認識している壮大な、”大きな世界”ってのとは、分けて考えてもらえると有り難い話だ。

 

 さて、この二人は、天魔戦争において、悪魔のココロ、と呼ばれる魔族の純潔、魔王の証を頂く存在、

 言うならそうだな、大魔王候補みたいな奴なのだ。

 俺のような、ただ人間とは、存在のスケールが段違いなのだ。

 ちなみに、さっき言った対極の、”天使のココロ”って奴も、近い内に話に現れる、かもしれないので、忘れずにいてくれな。

  

「はあ」


 俺はため息をついた、そりゃため息もつかわなあ。

 その理由を説明すると、こいつらが居なけりゃ俺は、このファンタジー世界を満喫し、毎日毎日スッキリとした面持ちで目覚められるのにって。

 ちなみに、天使のココロ所有者の佳代とシャルとイリスは、あんまりここには現れない。

 かよは色々と忙しく、

 シャルは情緒が絶対的に不安定で、かよがあんまり上手く処理できる自信がないらしいとか。

 だからシャルは自重して、あんまこの場に参戦してくれない。

 そしてイリスってのは、現実のゲームの方が好みらしい。

 てか、あいつは寝てる間も夢でゲームしてるとか言っていたから、こういう事自体不要なのだろう。

 むしろ自分の見てる夢を邪魔されたくない模様。


 よってだ、

 この最悪の権化のような悪魔的二人組みが、この世界で俺の唯一の親密な関りのある知り合いだ。

 でもまあそんな二人を、俺は愛してしまっているんだがな、しょうかたない話だ。

 

 一方は青髪青目の美少女。

 俺と同年齢だが、ほぼ一年の歳の差を理由に、何かと俺をガキ扱いしてくる嫌な奴だ。

 でも好きだ、

 って感じに思えてしまう、よく分からんが、憎めない奴。

 でも性格が最悪な方寄り、だって事だけは断言できる。

 俺がまだ幼稚園の頃から小学校低学年の間、

 ほぼ一年の歳の差が顕著に出る年代だ、

 まるで俺を奴隷かのような傍若無人な扱い、ありえない程の非道を味合わされた。

 俺は凌辱の限りを尽くされた確信、自信を持ってそう言えるのだ。

 そんな愛憎入り混じる存在、愛称リリ、フルネムは黒鋭理利・コクエイリリ。


 もう一人は丁度一年前くらいに現れた奴、

 赤みがかった黒茶髪を靡かせる美女。

 大人っぽい雰囲気を全身から感じるので、たびたび忘れかけるが俺と同年齢の義理の母親、

 ってはい、もう一度いいます義理の母親だぁ!!どういうことだぁ!!!!

 と会った当初は親父、

 ちなみに親父は、天魔戦争で全てを解決した英雄として称えられている、

 というより次代の俺達に全てを押し付けて、強引に解決したってのが正しいか、

 つまりは次代の俺達に、悪魔のココロも天使のココロも放り投げて、

 自分は天使悪魔の美女ハーレムで呑気やっているって、バカみたいな話に結実する訳だが、全て省略しておく、忘れていたい事だかんな。


 さてと話を戻す、

 こいつに問い詰めたが、海外を飛び回る飛行機内で

 「ああ、ちょっと色々な複雑な事情で世話することになってな、すまないがぁ頼むな」

 とそう一言言ったら、また飛行機でどっかに旅立ってしまった。

 一緒に付いて行きたいと願う彼女を振り切ってな。

 くそがあいつは何を考えているんだ、と思ったものだ。

 そのてんわやんわで、実家の家族とともにこの田舎に住む事になったらしい。

 別に一緒に暮らしたかったとか思ってないんだからねぇ!!

 それがレイア、フルネム姉原零亜、これ偽名かもしれないんだがな。


 リリの方は、妹の愛理がなんだか複雑な病気だったらしく、

 小学校時代に都会の方に行ってしまっていたのだが、一年前くらいに帰ってきた。

 だから昔の様な扱いで、今だに接してくるクソ野郎だ。

 実際問題、冗談じゃ無く、無限回で殺してやりたいが、

 殺すと妹の愛理ちゃんが可愛そうなので、自重しているだけだ。

 さっきからこいつに対して当たりが強いが、別に嫌いなわけじゃない、むしろ好きだ、心の底から。

 なぜか酷い事されても、彼女の事が好きなのだ、堪らなく好んでしまう。

 悪魔的な魅力があるのだ。

 だから狂おしいまでの愛と憎しみの対象ってね。


 レイアの方は、更にリリをグレードアップさせたかの様な、そんな酷い奴だ。

 俺を父親に見立てて迫って来る事もあるし、嬉しいだか悲しいだか。

 それでも一緒に居ると楽しくて嬉しくて。

 まあそんなどうしようもない関係性を構築している、

 そんな二人を今、逃げられない状況下で目の前にしているのだ。

 俺の心情は察してあまりあるだろう。

 泣けてくるってこの事だな。


「うるさぁーーーいんじゃボケがぁ!!!」

「は?どうしたの?発狂?」

「恐らくは混沌の主に精神を侵食されているんでしょう」

「お前達はどっか行けよぉ!お前達がいるんじゃ俺は本当に落ち着けない!振り回されて振り回されてもう俺は疲れたんだよぉ!!!」

「てか、なんであんたタメ口なの?私の方が一年中ほぼ年上でしょ?敬語使いなさいよ」

「お母さんにそういう言葉遣いはないんじゃないかしら?しっかりと敬語を使って敬うのが筋だと思うわ」

「誰がテメェーらみたいなクズに敬語なんて使うか!フザケンナよぉ!!」

「やだやだ、なにこの無様な有り様。まだ野生の獣の方が大人しいわ」

「どうしたんでちゅかぁ~?ママのおっぱいが欲しくて駄々を捏ねてるのかしら」

「、、、それは、正直欲しい」

「、、、最低」

「それはちょっと、、、」


 とまあ、こんな感じの二人組みでこの幻蝶蚊帳では過ごしています。

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