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好きになってはいけない人 ~禁断の恋~

作者: 浜中千陽

世界で1番愛しました。

先生...好きです。

私達の出逢いは確か春でした。

これは、私と先生の恋物語です。


私の名前は、涼風すず。

涼しい風と書いて、『しずか』と言う。

名字通り、私は静か。

ううん。静かっていうか話すのが苦手。

今日は、高校の入学式。

少し...楽しみ。

「ガッ」

私は道で躓いた。

どうしよ...。

「ドンッ!!」

支えてくれた...。

男の人?

「君、大丈夫...?」

「ドキドキドキ」

カッコイイ人…///

こんなにも...ドキドキしたの初めて。

「コクン」

私は頷いた。

こんな時でも...話すことが出来ない。

「そっか!よかった!!」

「ドキン!」

男の人は笑った。

男の人は私を支えていた手を離した。

そして、歩いて行く。

「あ...の......///」

「ん?何?」

思わず、呼び止めてしまった。

でも、このまま離れたくない...。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「助けて...くれて......ありがと...う...ございます。お...礼に...何か...出来ることは......ありませんか...?///」

お父さん以外で男の人と話したの...何年ぶりだろう?

「いや、別に大したことないしっ!それに...大人の俺が貰ったらおかしいでしょ?」

「ドキドキドキ」

いい人...。

もっと知りたい...そう思うのおかしい?

「お...礼..したい...です///」

男の人は驚いた顔をした。

「じゃあさ、俺が君を学校まで送るから、俺が欲しいものがあったら買ってよ!」

学校まで送る...。

学校まで一緒。

「そ...れ...が...いい...です///」

「じゃ、行こっか!」

「コクン」

職業何なんだろう?

スーツ着てる。

何か...話さなきゃ、全く話さない子だなって思われる。

「名前...何か聞いてなかったよね?教えてくれない?」

「...涼風すず..です///」

「へぇ~涼風すずかぁ。涼風は高1?」

「コクン」

「...何で..分かった...んですか...?///」

「さぁ?秘密。」

秘密...気になる。

「私に...教えてくれ...ませんか?...名前を...///」

大胆かな?

でも...名前聞くくらいいいよね?

「ん~後から分かると思うけど...涼風は後に知るか今知る...どっちがいい?」

「今...知る///」

早く...知りたい。

名前で呼びたい。

「俺の名前は...一ノ瀬夢追。」

一ノ瀬くん。

いや...年上だから...一ノ瀬さん?

何て...呼んだらいいんだろう。

「涼風は何が好き?」

私は...一瞬メロンパンのお店が目に入った。

「...メロンパン..好き。」

「マジ!?俺も...好きなんだよね!!気が合うね!!」

「ドキドキドキドキドキ」

喜んだ顔...。

「ハッ!」

メロンパン好き→あそこにメロンパンのお店がある→買わなきゃっ!

「あ...の...!!こ...こで...待っててくだ...さい。」

「え?」

「タッ」

私はメロンパンのお店の方に向かって走った。

そして、買ってきたメロンパン2つのうち、1つを一ノ瀬...さんに差し出した。

「え?」

「あ...げます!...お...礼...です!///」

「いや、涼風が食べなよ。好きなんでしょ?」

「...こんなにも..食べられない...///」

「分かった。貰うね!」

そう言って受け取ってくれた。

私...おかしい。

喋るの苦手で首を振るくらいしか出来ないのに...一ノ瀬さんならいっぱい話せれる。

この頃の私は知らなかった。

まさか...一ノ瀬さんが...先生なんて。


私達は学校に着いた。

「学校まで...送ってくれて...あり...がとう...ございます…///」

「ペコリ」

私はお辞儀した。

「いいよ!!ついでだしさっ!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

やっぱり...いい人。

「じゃ、クラス表、見てきなよ!」

「コクン」

私はクラス表のところまで歩いて行った。

私は1年4組だ...。

「あなた何組!?」

女の子が私に声をかけてきた。

明るい...人。

私とは正反対。

「4...組。」

「ほんと!?私も4組なんだ~!名前...何ていうの!?」

「...涼風すず。」

「すずかぁ~。可愛い名前だね!!私の名前は郁矢告羽乃。」

郁矢さん...。

「教室まで一緒に行こっ!」

「コクン」

私は頷いた。

クラスの子で初めて話した人。


教室に入って少し経ってから先生が入ってきた。

嘘だと思った...。

「皆の担任の『一ノ瀬夢追』。よろしくな!!」

「ドキン!」

一ノ瀬さんが...先生だ。

じゃ、一ノ瀬先生って呼ばなきゃいけないのか。

「じゃ、体育館に行くぞ!」

皆、体育館に向かって歩き出した。

私も行こうとした時。

「涼風!!」

「ドキン!」

一ノ瀬先生っ!!

「涼風は入試で1番テストの点が良かったんだな!知ってると思うけど挨拶しなきゃいけないんだぞ!!」

「ハッ!」

挨拶...。

今日までいっぱい練習してたけど大丈夫かな...。

一気に不安になってゆく。

「緊張すんな!肩の力抜け!」

「ポンポン」

一ノ瀬先生が私の頭を撫でた。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「いつも通りで大丈夫だよ!!」

いつも通り...。

私...全く話さないのに...。

「はいっ!お守り!!あげる!あっ!今日は特別だからな!!これからはあげねぇぞ!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生のお守り...。

「ニコッ」

私は笑顔になった。

嬉しい...。

お守りのお陰か一ノ瀬先生のお陰かどりらかのお陰で入学式の挨拶はなんとかなった。

きっと、この頃にはもう始まっていた。

だけど、私はまだ気づかない。


あれから、数日経ったけど一ノ瀬先生とは話していない。

「一ノ瀬先生~!ここ分かんないから教えて~!!」

「一ノ瀬先生ってフリー?」

一ノ瀬先生の事で分かったのはただ一つ。

『モテる』ってこと。

無口でカッコイイとかあまり思ったことない私がカッコイイって思ったから...当たり前か...。

「うぎゃ~。一ノ瀬先生モテモテだね。まっ、隣のクラスの子もモテモテだけどね。」

告羽乃ちゃん。

「カッコイイ...と思う?...一ノ瀬先生...の...こと///」

「カッコイイんじゃない?私的にはパパの方がカッコイイけどね!」

やっぱ...カッコイイか。

見てるだけじゃ、何も起こらない。

「一ノ瀬先生!家まで送って~♪」

「ガタン!」

私は立ち上がって一ノ瀬先生の方に行った。

「ギュッ」

私は一ノ瀬先生の腕を組んだ。

「あ~っと...用事思い出した。ちょっとごめんね。」

「バッ」

先生は手を振りほどいて、どっか行った。

「あんたのせいで一ノ瀬先生どっか行ったじゃん!」

「これから邪魔しないでよ!!」

そう言って女のコ達はどっか行った。

「す、すず?一ノ瀬先生の事好きなの?」

「フリフリフリフリフリ」

私はいっぱい頭を振った。

「す、すず!?」

一ノ瀬先生に触れた...。

一瞬、カレカノの距離になった...。

嬉しい...。

「カァァァァ…///」

顔が熱くなる...。

一ノ瀬先生の声は落ち着く。

一ノ瀬先生と話したり、触れたりしたらドキドキする。

この気持ち...何?


一ノ瀬先生が教室で私と2人っきりで話したい...。

何なんだろう...。

さっきからソワソワする。

「ガラッ」

一ノ瀬先生...!!

「ドキドキドキドキドキドキ」

「涼風!!待った?」

「フリフリ」

私は首を横に振った。

「そっか!よかった!!」

「ドキン!」

一ノ瀬先生...。

「涼風に1つ...頼んでいいか?」

「コクン」

何だろう...。

付き合おう?...それはないか。

「学級代表になってくれないか!?」

え...!?

「強制とかないからな!!嫌なら言えよ?でも...涼風はクラスの中でも賢いし、他のクラスも賢い人選んでるから...。」

一ノ瀬先生のお願い...。

「私...喋るの...苦...手...なんで...す。」

「ああっ!それなら大丈夫!!俺がサポートするから!!」

もし...学級代表になったら、一ノ瀬先生と近づけるのかな?

これ...断ったら、もう近づくチャンスないのかな?

「やり...たい...///」

「ほんとか!?」

「コクン」

ごめんね...。

下心があって...。

なのに、一ノ瀬先生は喜んでくれて...。

「ありがとうな!!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「一ノ瀬先生が...喜んで...くれ...る...なら...何でも...します...///」

一ノ瀬先生は一瞬顔を赤くした。

「涼風はいいやつだな!」

いい人なのは...一ノ瀬先生だよ。

私は一ノ瀬先生に近づきたいから学級代表になった。

担任が...一ノ瀬先生じゃなかったら学級代表なんか断ってた。


さっそく、学級代表の仕事で放課後、学校に残った。

「じゃ、涼風!!クラスのために何か出来ること思い浮かばないか?」

「コクン」

感じ悪いって思われてるのかな。

嫌...だな。

「俺さ...今年、初めての教師なんだ。だから、皆のために頑張りたい!!そのためには...生徒に聞いた方がいいかなって思ったけど...涼風的には迷惑かもしらなかったな。ごめん。」

「謝...らないで...。迷惑じゃ...ない...から。」

一ノ瀬先生を困らせたくない。

迷惑かけたくない。

「よかった!!」

「ドキン!」

笑顔...。

「そういえば、この前、助けてくれてありがとうな!!」

え...?

私...助けたっけ?

「ほら、質問攻めされてた時に涼風が俺の腕...組んだこと。俺が困ってたから助けたんだろ?」

「コクン」

本当は...私以外の女の子を送ったりしてほしくない。

そう...思ったから。

ワガママで...ごめんね。

「暗くなってきたな。もう、帰れよ。これ以上、暗くなったら危ないからな。」

まだ...離れたくない。

「一ノ瀬先生...送って...くだ...さい...///」

「ドキドキドキドキドキ」

「え?」

「暗い...から...///」

「わかった。だけど、今日だけな。」

一ノ瀬先生...嫌かな。

迷惑とかはかけたくない。

「ほら、行くぞ!」

「コクン」

一ノ瀬先生の隣は私がいる。

ただ...それだけ。

なのに、嬉しい。

「涼風はメロンパン以外で好きなもの何?」

「ドキドキドキ」

「す...き...///」

一ノ瀬先生といる時間が好き。

「ん?何が?」

『す、すず?一ノ瀬先生のこと好きなの?』

「フリフリ」

分からない...。

でも、一緒にいる時間が好きなのはわかる。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「一ノ瀬先生って...好きな...人、とか...彼女...とか...いましたか?...今も...いますか?///」

私...何聞いてるんだろ///

は、恥ずかしい~…///

「秘密♪」

秘密...やだ。

やだ、やだ。

知りたい...!!

一ノ瀬先生のこと...知りたい。

「グイッ」

私は一ノ瀬先生の服のすそを引っ張った。

「涼風?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「秘密...は...やだ。知り...たい...///」

迷惑...かな?

でも、このままの距離は嫌だ。

一ノ瀬先生の『特別』になりたいの!

「...涼風、俺以外そんな事言っちゃダメだよ。」

え?

「前から思ってたけど、涼風の言い方だったら、自分が『特別』かもって勘違いしちゃう男子もでちゃうから、俺以外、勘違いしちゃうような言葉、言っちゃダメだよ。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

『俺以外』...その言葉が『特別』みたい。

嬉しい...。

「も...し...一ノ瀬先生に...彼女...が...いなかったら...///」

口が止まらない。

自分が何を言うのか...分からない。

「夢追くんっ...!」

女の人...。

誰?

「美穂っ...!///」

一ノ瀬先生...顔が赤くなってる。

「ズキズキ」

胸が...痛い。

な...ん...で...?

「夢追くん久しぶり。ずっと探してた。まさか...引越し、したなんて...知らなかったよ。会えてよかった...言いたい事があって...」

「ごめん。今は無理。この子、送らなきゃいけないから。」

「ドキドキドキ」

女の人じゃなくて...私を優先した...。

嬉しい...。

一ノ瀬先生...好き。

ん?好き?

「わかった。また、暇な日でもいいから教えてね。」

「あぁ。」

「グイッ」

一ノ瀬先生は私の手を握った。

「ドキドキドキドキドキドキ」

手から...ドキドキが伝わってしまいそう...///

私...一ノ瀬先生のこと好き...?

私は知らなかった。

この女の人は一ノ瀬先生の元カノだったなんて...。


翌日。

正門には昨日の女の人がいた。

「あっ...夢追くんの彼女さん。あなたに話したいことがあって来たの。」

え...?私?

『彼女』に見えた?

「ドキドキドキドキドキドキ」

少し...嬉しい。

「今、暇?もし、暇なら駅前のカフェで話しましょ。」

「コクン」

私と女の人はカフェに行った。

「まさか、あの夢追くんが年下に手を出すとは思わなかったわ。しかも年下ってJKだしね。」

この人...私が彼女って本気で思ってる。

誤解...解いた方がいいのかな。

でも、このまま思われたいって気持ちがある。

「夢追くん...あなたの学校で教師になったって噂聞いたけど...違うの?」

私の学校だよ。

その噂...あってる。

「フリフリ」

私は首を横に振った。

「えっ!じゃあ、ダメじゃん!!先生と生徒はカレカノの関係になっちゃダメなのよ!今すぐ、別れなさいよ!!やっぱり夢追くんの隣は私じゃなきゃダメなのよ!」

「ズキズキ」

まず、私と一ノ瀬先生は付き合ってない。

言わなきゃ...。

「別れる気になった?別れて好きじゃなくなる気になった?」

「ズキズキ」

言わなきゃ...。

私の気持ちを...。

「私と...一ノ瀬先生...は...付き合って...ませ...ん。でも...好...き..その気持ち...は...消せ...ま...せん...!!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

言っちゃった...。

「フフッ勝手に好きにいれば?夢追くんはあんたなんか恋愛対象として見てくれないよ。それに比べて私は夢追くんに恋愛対象として見てくれたことがある。」

「ズキン!!!」

な...ん...で...?

「夢追くんもきっと私のこと好きよ。」

「ズキッ」

「じゃあ、話はそれだけよ。」

そう言って女の人は帰っていった。

どうしよ...。

一ノ瀬先生もあの人が好きで...私のこと恋愛対象に見てくれなかったら...。

私...どうしたらいいの?


学級代表の仕事で放課後残った。

「涼風!残らせて悪いな。お詫びに何でもしてやるから今は頑張ってくれないか?」

お詫びに何でも...。

私のこと...恋愛対象として見て。

あの人への恋愛感情なんか忘れて...私のことを『好き』になって...。

欲張りな願い...。

一ノ瀬先生に嫌われてしまう。

「一ノ瀬先生...の...お願...い...なら...いつ...でも...聞きま...す///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生のためになら私は頑張れる。

「ポンポン」

一ノ瀬先生は私の頭を撫でた。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「涼風は優しいな。やっぱ、涼風に学級代表を任せてよかったよ!!」

一ノ瀬先生...。

その笑顔...今は私が一人占めしてる。

授業中に見せる笑顔よりも...好き。

「涼風...大変なら俺も手伝おうか?」

大変なのは...学級代表の仕事よりも...先生を攻略することだよ。

「ギュウウウウウ」

私は一ノ瀬先生を抱きしめた。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「し、涼風?…///」

一ノ瀬先生の鼓動も聞こえる。

一ノ瀬先生もドキドキしてくれてる?

恋愛対象として...今だけでも見てくれる?

「ど...やった...ら...恋愛対象と...して...見て...く...れます...か?…///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

私...今おかしいこと言った。

でも、もうこのままじゃ嫌だ。

「涼風...。」

「グイッ」

一ノ瀬先生は...私を突き放した。

「ズキズキ」

急に胸が痛い...!

「熱でもあるんじゃないか!?」

え...!?

「熱でもあったらダメだからな!もうそろそろ帰れよ!」

「ポンポン」

一ノ瀬先生は私の手を撫でた。

「無理すんなよ。涼風の苦しみは俺の苦しみでもあるからな。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

そ、それって...どういう意味?///

「じゃ、もう帰っていいぞ。俺がこれやっとくから。」

そんなの...私が一ノ瀬先生の迷惑になってるだけ...!!

「ダ...メ...!!」

「え?」

「こ...れは...私の...仕事...一ノ瀬先生が...やる...必要...ない。」

迷惑かけたくない...!!

一ノ瀬先生が『好き』だから...。

好きだから...迷惑かけたくない。

でも、一人占めにしたいの。

「教師が生徒に迷惑かけちゃダメだろ?俺は生徒を助けるのが仕事なんだ。だから無理すんな。」

「ポンポン」

一ノ瀬先生は私の頭を撫でた。

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生...。

どうしよ...この想い止まらない。

今、気づいた。

この想いはこのまま加速してしまう。

少しでも印象に残したい。

誰よりも...特別に。

「チュッ」

私は一ノ瀬先生にキスをした。

「し、涼風?…///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「熱...あり...ませ...ん...から...///」

私はそう言って教室を出た。

この頃はまだ一ノ瀬先生の心の中にはあの女の人が残っていた。


涼風が帰って教室には俺だけがいた。

『ど...やった...ら...恋愛対象と...して...見て...く...れます...か?…///』

『チュッ』

『熱...あり...ませ...ん...から...///』

「涼風...。」

あれってやっぱ『好き』って事かな。

でも、俺は先生で涼風は生徒。

それに俺は...。

『夢追くん!』

『夢追くん好きだよ...。』

『愛してるに決まってるでしょ?』

『夢追くんは...私の全てだよ。』

「美穂...。好きだよ。」

今でも忘れられない程好き。

俺が美穂を幸せにしたかった。

でも...でも...!!

『夢追くん...ごめんね。』

『私...夢追くん以外で好きな人...出来ちゃった。これ以上...夢追くんと一緒にいれない...。』

『ごめんね。』

『好きだったよ。』

「美穂...。」

そういえば話があるんだよな?

何だろう...好きな人とでも結婚かな。

俺に出来る事は...美穂の幸せを願う事だけ。

「美穂が幸せなら俺はそれでいい。」

だから、美穂の為なら...俺が去ることも出来る。


今日...一ノ瀬先生に会いにくいな。

だって昨日...キス。

「カァァァ~…///」

顔が...熱い。

「ねぇ、すず。」

告羽乃ちゃん...!!

「ちょっと話したいことがあるから着いてきて。ちょっと...ここでは話せないから。」

「コクン」

話って...何だろう。

人気がないところに来た。

「ねぇ、これってすずと一ノ瀬先生だよね?」

告羽乃ちゃんが写真を見せた。

その写真は、昨日、私が一ノ瀬先生に一方的にしたキスだった。

「すずと一ノ瀬先生って付き合ってるの?私は何も言わないよ。もちろん皆にバラしたりしない。ただ...すずは私が高校で出来た初めての友達だから...真実を知りたい。」

告羽乃ちゃん...。

「私...一ノ瀬先生...の...こと...好き。ただ...私が...好き...な...だけ///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「そっか。すずの恋愛だから私からはとやかく言わないけど...あまり教師との恋愛はオススメしないかな。」

え...?

「まっ、すず頑張りなよ!!」

告羽乃ちゃん...やっぱり。

「好き。」

「私もすずの事が好きだよ!!」

告羽乃ちゃんみたいな友達がいて良かった。


「皆、もうすぐテストだな!!」

一ノ瀬先生の授業...。

一ノ瀬先生をどんだけ見ても言われられない。

「それだから、テストの平均点より下のヤツは俺を含んで皆で勉強会しようと思う!」

う...そ。

「じゃ~私、いつも平均点以下だから勉強会に参加出来るじゃん!」

「うちも!!」

そんな...アホの子達があんなにもいるなんて...。

どうしよ...私、今まで...1度も平均点以下とったことないよ!!!

学級代表してても、勉強会に参加出来なかったら距離が縮まらないよ~!

「勉強会は放課後だぞ。めんどくさいとか思うやつは勉強するんだな!笑」

一ノ瀬先生と少しでもそばにいたい。

でも...平均点以上とか...勉強しなくてもとれる。

どうしよ...!!

いつの間にか休み時間になった。

「すず!!」

告羽乃ちゃん...!!

「すず、チャンスだね!!」

え...!?

ど、どこが?

「勉強会じゃん!すず、そこでアピールとかしたらいいじゃん!!」

アピールしたいけど...勉強会に参加出来ないよ。

「すずは賢いからさ、勉強会に参加出来ないって言ってたけど...わざとテストで間違えたらいいじゃん!」

「ハッ!」

その手があったんだ...!!

「すずが別にいいならその手使いなよ!」

「コクンコクン」

勉強会...!

楽しみだな...!!


今日...一ノ瀬先生に会いにくいな。

だって昨日...キス。

「カァァァ~…///」

顔が...熱い。

「ねぇ、すず。」

告羽乃ちゃん...!!

「ちょっと話したいことがあるから着いてきて。ちょっと...ここでは話せないから。」

「コクン」

話って...何だろう。

人気がないところに来た。

「ねぇ、これってすずと一ノ瀬先生だよね?」

告羽乃ちゃんが写真を見せた。

その写真は、昨日、私が一ノ瀬先生に一方的にしたキスだった。

「すずと一ノ瀬先生って付き合ってるの?私は何も言わないよ。もちろん皆にバラしたりしない。ただ...すずは私が高校で出来た初めての友達だから...真実を知りたい。」

告羽乃ちゃん...。

「私...一ノ瀬先生...の...こと...好き。ただ...私が...好き...な...だけ///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「そっか。すずの恋愛だから私からはとやかく言わないけど...あまり教師との恋愛はオススメしないかな。」

え...?

「まっ、すず頑張りなよ!!」

告羽乃ちゃん...やっぱり。

「好き。」

「私もすずの事が好きだよ!!」

告羽乃ちゃんみたいな友達がいて良かった。


私はテストで一ノ瀬先生の教科だけ0点をとった。

そして、今...一ノ瀬先生と2人っきり。

嬉しい...!!

「涼風ぁ~…この点数は何だ?」

一ノ瀬先生は私に0点のテストを見せてきた。

「他のテストは100点だったらしいな。」

「コクン」

「俺の大好きな教科も頑張ってくれよ!」

ご、ごめんね...。

私...一ノ瀬先生と勉強会したくて...!

まさか2人っきりとは思わなくて...!!

「まっ、これから大好きにしてやるから...覚悟しとけよ?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

わ、わぁぁ~…///

べ、勉強のことって分かってても...その言葉嬉しいよ~!!

「じゃ、まずどこから分からない?」

一ノ瀬先生の瞳が私を見てる...。

それがどうしようもなく嬉しい...。

「キュウウウ」

胸が...苦しい。

「最初のとこから分からない?」

少しでも...長くいたい。

「コクン」

「分かった。じゃ、ここは~…」

一ノ瀬先生の瞳...本当に綺麗だな。

手も大きくて...カッコイイ。

好き...だな。

「ポスッ」

教科書で一ノ瀬先生が私の頭を軽く叩いた。

「ちゃんと俺の話を聞いてたか?」

「フリフリ」

「ちょっ...一生懸命に話してたのに!!俺...悲しいぞ。」

「キュン」

一ノ瀬先生...可愛い。

ほんと...大好き。

「こーら。また聞いてないんじゃないか?」

「コクン」

「じゃ~今からミッション。外周10周しろ。それから土下座して『一ノ瀬様の話をこれからちゃんと聞きます』と言いなさい。」

え...!?

「フリフリ」

「話を聞かない子にはお仕置きが必要だからな。あっ、涼風...外周もっとしたかった?」

「フリフリ」

「今から...外周...し...てきま...す!」

「ダッ」

私は走り出した。

「「プハッ」」

私も一ノ瀬先生も笑ったのだ。

一ノ瀬先生...可愛い。

でも、意外とS。

新しい発見。

今までのどの瞬間よりも嬉しい!

「ハハハッ...涼風可愛いな。ヤバイ...いじめたくなる♪」

教師と生徒の間に何かが芽生えだした。


一ノ瀬先生の授業が多くて嬉しいな。

一ノ瀬先生...。

昨日、楽しかった。

あんなにも笑ったの...初めてだった。

この気持ち...一ノ瀬先生に伝えたい。

あれ?一ノ瀬先生...口をパクパクしてる。

『ちゃ・ん・と・聞・け・!』

「フリフリ」

一ノ瀬先生と私だけの合図。

嬉しい...嬉しい。

「ニコッ」

0点とって良かった...。

「静ちゃんが笑ってる!!」

そう...誰かが言った。

「え?マジ!?」

皆...私を見だした。

「静ちゃん笑ってねーじゃん。」

『静ちゃん』って私...?

でも、私...名字が『涼風』だし。

「おーい。お前らがそう騒ぎ出すから涼風が困ってるだろ。」

「でも、先生!!あの...『静ちゃん』だよ!?話さないし笑わないんだよ?そんな子が笑ってたら見たくなるでしょ!!」

あ...やっぱり皆のイメージは『静か』なんだ。

まぁ、いつもそんな感じだし。

慣れてるから...大丈夫。

「涼風は話すし、笑うからな。お前らが知らないだけ。」

「「えええええええええ!!!!」」

皆、叫び出した。

一ノ瀬先生...ごめんね。

私...告羽乃ちゃんと一ノ瀬先生と家族以外で話したり笑ったりしたことない。

小学校と中学校の友達は...今はあまり会わなくなって話さなくなった。

「皆、驚き過ぎ!!一ノ瀬先生の言う通り...すずは話すし笑うからね!!」

「え...告羽乃見た事あるの!?」

「もちろんあるよ♪だって...すずは私の親友だもん♪」

「そういえば...最近、静ちゃんと郁矢ずっと一緒にいるよな。」

「パンパン」

一ノ瀬先生は手を叩いた。

「涼風の話はそこまで!!授業するぞ!」

「「はーい。」」

一ノ瀬先生の言葉で皆の雰囲気が変わる...!!

凄い...。

やっぱり...好きだな。


俺は授業が終わり職員室に行った。

LINEが来てる。

LINEを送っきた人は...美穂だった。

『夢追くん。今日暇かな??

もし、暇じゃないなら会お!』

会って...何話すんだろう?

でも、今日は涼風と勉強会で、明日の授業の準備をしなきゃいけない。

『ごめん。今日は放課後に勉強会をして、明日の授業の準備する予定。』

俺はそう送った。

『それだけなら...私、待っとくから。夢追くんが働いてる学校の前でずっと待っとくよ!』

美穂...。

LINE...久しぶりだな。

『いや、待たせるのは悪いから、また埋め合わせしよう。』

俺はそう送った。

『やだ。今すぐにでも話したいことなの。』

美穂はそう送ったが俺は気づかなかった。

恋の歯車が大きく動き出した。


今日も、一ノ瀬先生と2人っきりで勉強会だ。

「はい。」

一ノ瀬先生は私にプリントを渡した。

何でだろう?

「この問題解いてみろ。もし、解けたら『ご褒美』あげるよ。」

「ほ...ん...と?」

「あぁ。」

ご褒美...!!

何にしよう。

好きって言ってもらうとか?

付き合うとか?

迷っちゃうよ...。

「まっ、解けたらだからな。無理だったらお仕置き...するからな?」

「解け...ま...す。先生が...教えて...くれ...た...ところ...だから///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

元からこの問題は解けるけど...先生が教えてくれたから...この問題も好きになる。

「ポンポン」

「ありがとうな!!その言葉だけで嬉しいよ!!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生...好き。

やっぱり...私の力で『好き』って言って欲しいし、付き合って欲しい。

「じゃ、今から10分な!」

「コクン」

私は全部埋めた。

時間...いっぱい余ったなぁ。

「おおおおっ!!出来たのか!?」

「コクン」

「凄い凄い!!じゃ、採点するな!」

「コクン」

満点...なはず!

「バッ!!!」

一ノ瀬先生は私にプリント見せてきた。

「すげぇな!!1日授業しただけでこんなにも覚えてるんだな!!やっぱやれば出来るじゃん!!」

一ノ瀬先生...喜んでる。

嬉しい...。

「ニコッ」

私も笑顔になった。

「じゃ~『ご褒美』何がいい?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

図々しくないかな?

「...名......前で...呼んっで...くだ...さい///」

「名前?」

「ドキン!!」

「コクン」

困ってる...かな。

やっぱ、図々しいよね...。

「すず。」

「ドキン!!」

「呼んで...くれた...///」

「当たり前だろ?でも、名前だけでいいの?他にいいのあんじゃねぇのか?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「そっれ...以上に...いいのなんか...な...い...よ///」

名前で読んでくれてるだけで、急激に仲良くなった気がする。

嬉しい!!

「何か、すずが照れるからこっちも照れるじゃん…///」

「キュウウウ」

可愛い~…///

一ノ瀬先生可愛いすぎる!!

「まっ、油断したらダメだからな。じゃあ、今から集中してすんぞ!!」

「コクン」

一ノ瀬先生...少しは私のこと恋愛対象で見てくれてる?


「よし、今日はここまで!!暗いから...すず気をつけろよ!!」

まだ...離れたくない。

「クイッ」

私は一ノ瀬先生の服の裾を引っ張った。

「すず...?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「送って...欲し...い///」

一分一秒長く...一ノ瀬先生といたい!!

「すず...。前にもこんな事があったよな?」

「コクン」

覚えてたんだ...。

嬉しい...。

「教師ってさ...生徒の願いなどを少しでも叶えなきゃいけない。でも、教師は一人の生徒を特別扱いしちゃダメなんだ。もちろんこの2人っきりの勉強会もヤバイかもしれない。」

一ノ瀬先生...?

胸が...ザワつく。

「前にキスだってしただろ?あれも...他の奴に見られたら、俺は退職しなきゃいけなくなる。だから...遊び半分でもあんな事はダメなんだ!!」

「プルプル」

そんな...。

体が震え出す。

「だから、すずを家まで俺は送れない。言うの遅くなって...ごめん。」

「フルフル」

私は首を横に振った。

「でも、出来るだけ...すずの願いとかは俺が叶えるからっ!!すずの力に...俺がなるから...!!それだけは...忘れんなよ。」

「ドキン!!」

その言葉は...私が一ノ瀬先生の生徒だから言ってるんだよね?

決して好きではない...。

だけど...胸がときめく。

「一人で...心細いかもしれない。だけど今は一人で帰るんだぞ。」

「ポンポン」

一ノ瀬先生は私の頭を撫でた。

やっぱり...一緒にいたい。

「校...門まで...送って...くだ...さ......」

声が震える。

どうしよ。断られたら...!!

「いいよ。校内で生徒と一緒にいても大丈夫だし。」

一ノ瀬先生...やっぱり私の事...恋愛対象として...見てくれないね。


校門まで一ノ瀬先生と一緒に歩いた。

校門には...女の人が立ってた。

あの人は...!!

「夢追くん!!仕事終わったの?」

「美穂...。いや、この子を校門まで送りに来ただけ。それより、美穂...いつから待ってたの?」

「ついさっきだよ!私...仕事終わってから来たもん♪」

「そっか。美穂...話って何?」

「チュッ」

女の人の唇が...一ノ瀬先生の唇に...。

「ズキズキ」

「美...穂...?///」

一ノ瀬先生...顔赤い。

私がした時よりも...。

「私...やっぱり、夢追くんの事が...好きなの…///」

「美穂…///」

やだ。それ以上続き言っちゃ...。

「俺」

「ダメ!!!!!」

私は叫んだ。

「すず?」

一ノ瀬先生と女の人は驚いた顔をした。

私...最低だ。

でも...嫌なの。

「それ...以上...言っちゃ...ダ...メ...。」

ただのワガママだ...。

「ポロポロ」

私はいつの間にか涙が溢れていた。

涙は止まらない。

何で...?止まって...。

「ギュッ」

一ノ瀬先生は私を抱きしめた。

な...ん...で...?

「ドキドキドキドキドキドキ」

「すず...ごめん。すずのこと...大切なのに...泣かして...ごめんっ!!」

一ノ瀬先生...。

好き、好き。

これは...夢じゃないよね?

「一ノ瀬先生...が...心配...して...くれるだけ...で...充分...嬉しい...です。」

距離が...縮まってゆく春。


今日は土曜日。

久しぶりの休みって感じだな。

「LINEだ...。」

LINEは美穂からだった。

『新しい夢追くんの家に行ってみたいな!

今日はダメかな??』

美穂...。

話って、昨日のことだよな。

「今でも信じられねぇ...。」

俺は1回...美穂に振られてる。

『いいよ。俺が今から美穂の家まで行くから待ってて。』

俺はそう送った。

『うん!夢追くんの為ならいくらでも待つよ!!』

美穂...。まるであの頃の俺達に戻ったみたいだな。

だけど、あの頃と全く違う。

俺は自転車で美穂の家に向かった。

「い、一ノ瀬先生...?」

俺は振り向いた。

そしたら、すずがいた。

「すず!!偶然だな!ここで会うなんて。」

「コクン」

「すずは...どこに行くの?」

「図...書館に...行き...ます///」

図書館かぁ...。

すずも真面目だな。

「一ノ瀬先生...は...何処に...行く...のです...か?///」

美穂の家。

何故か...この事はすずに知られたくないと思った。

「友達の家だよ。」

何で...嘘なんかついたんだろう?

「そう...ですか...。楽し...ん...で...きて...くださ...い!」

そう言ってすずは歩き出した。

やっぱり...嘘をつくのは嫌だ!!

「ガシャン!」

俺は自転車をほおり投げて、すずの方に向かって走った。

「グイッ」

俺はすずの腕を掴んだ。

「い、一ノ瀬先生...?///」

「ハァハァ...ごめんっ!...さっきの嘘で...ハァハァ...ホントは...美穂の家行くんだ...。」

すずは落ち込んだ顔をした。

「でも...すずが...嫌なら...俺は美穂の家に行かないから!!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

お、俺...何言ってんだろ…///

いくら生徒と言っても前からやりすぎじゃねぇか?

「一ノ瀬先生...が...行きたいなら...行って...ください。私...のせいで...一ノ瀬先生の...幸せを...奪いたくな...い///」

「ドキドキ」

すずは本当...いい奴だな。

こんな生徒を持って俺は幸せだな。

「ポンポン」

俺はすずの頭を撫でた。

「ありがとうな。」

すずの顔は赤くなった。

本当...可愛い。

俺は自転車を取りに行った。

「美穂と...ちゃんと向き合わなきゃな。」

俺は美穂の家に向かって、また自転車をこぎだした。

俺はまだ気づかない。

本当の好きな人を。


美穂の家の前には美穂がいた。

「美穂...ずっと外で待ってたの?」

「うん。」

「ポンポン」

俺は美穂の頭を撫でた。

「家で待っとけばいいのに...でも、外で待っちゃうのが美穂らしいよな!!」

「楽しみだから...外で待っちゃうの!」

「そっか、そっか!じゃ、俺ん家に行くから後ろ...美穂乗れよ。」

「ありがとう。」

そう言って美穂は俺の後ろに乗った。

「こらっ!ちゃんと捕まっとけよ!」

「グイッ」

俺は美穂の手を俺の腰に絡ませた。

「ゆ、夢追く…///」

「じゃ、行くぞ!!」

俺はめっちゃ速くこいだ。

「よし、着いたぞ!!」

「結構距離...あるね。」

「まぁな。」

俺と美穂は自転車から降りて俺の家に入った。

「で、美穂は俺の家に来て何が目的?」

美穂は固まった。

「昨日さぁ...俺に告白したけど、あれ嘘じゃないの?俺を振って...新しい彼氏つくったじゃん。新しい彼氏とうまくいかなかったの?」

「...違う...ヒック...ウゥ...」

「美穂...?」

美穂は泣き出した。

「私...夢追くんと...離れて...初めて気づいたの!!...私は、夢追くんじゃなきゃ...ダメ...だって。」

「夢追くんが...好き。夢追くんじゃなきゃ嫌なの!!!」

美穂...。

「ねぇ...昨日の返事の続き...聞かせて。」

「ギュッ」

美穂は俺に抱きついてきた。

「...美穂。」

「俺に...時間くれない?」

美穂は驚いた顔をした。

俺自身驚いてる。

美穂に告白されて...嬉しいはずなのに...あまり嬉しくない。

俺が言われたい言葉なのに...。

「夢追くん...まさか自分の生徒に恋しちゃった?」

「ドクッ」

「ねぇ、夢追くん。夢追くんが1番分かってるよね?」

「先生と生徒が...恋しちゃダメって...。」

「そんなの分かってるよ。」

それに...俺はすずが好きじゃない。

すずは俺の大事な生徒。

ちょっと可愛いからいじめたくなるだけ。

これは先生と生徒のスキンシップ。

「ねぇ、あの子の事が好きになったの?」

「ドキン!!」

「ち、違うっ!!…///」

「じゃあ、何で私の告白の返事に迷ってるの?」

あ...れ...?

本当だ。

俺...何で迷ってんだろ?

「好きだよ。夢追くん。私が夢追くんを幸せにするからね。」

「バッ!!!」

俺は美穂を突き放した。

「ごめん...。俺、今のままじゃ美穂と付き合えない。」

「え...?」

「美穂は...俺の事を真剣に思ってくれてるのに...俺は、美穂の言葉に素直に喜べない。ごめん。」

何でだろう?

でも、俺は...。

幸せにしたい、守りたいって思えるのは...。

「今の所は1歩引くけど...もし、夢追くんの好きな人があの子なら、私、諦めないから。」

そう言って美穂は帰った。

「...別に俺、好きな人いねぇし。」

すずの事も...好きじゃねえよ…///

「ドキドキドキドキドキドキ」

「あつっ…///」

この熱さの正体を俺は知ってしまった。


月曜日だ。

一ノ瀬先生に会うの...嫌だと思ったのは初めてかも。

一ノ瀬先生は土曜日にあの女の人と二人乗りしてた。

私...見てしまった。

「ズキン!」

これは...完璧失恋。

やっぱり、私の事なんか恋愛対象として見てくれないよね...。

あぁ...。何だか眠たいな。

そういえば、私...寝不足だった。


「スースー」


「ポン!」

ん?

教科書で...頭叩かれた?

「すず。お前...俺の授業で寝るなんて...俺めっちゃ悲しいぞ。」

い、一ノ瀬先生!?…///

てか...私寝てた!?

は、恥ずかしいぃ~…///

「ザワザワ」

「あの静ちゃんが寝るなんて...。」

皆、騒ぎ出した。

「ヒソッ」

「後でた~~っぷり......俺の犬になってもらうから。」

え...?

それって...どうゆう...。

「ポンポン」

一ノ瀬先生は私の頭を撫でた。

「覚悟しとけよ。」

「ドキン!!」

そう言って一ノ瀬先生は前に行った。

「一ノ瀬先生~私の頭も撫でて~!」

「私も~!」

や、やだ。

頭を撫でるのは私だけがいい!!

「え~俺の手...チョークついてて汚いよ?やめといた方がいいよ。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生...それって。

私以外の子は頭を撫でないってこと?

でも、一ノ瀬先生はあの女の人と付き合っている。

きっと...抱き合って、手を繋いで、キスをするんだろうな...。

「ズキズキ」

胸が...痛い。


放課後。

私は一ノ瀬先生を教室で待った。

「ガラッ」

「すず。待った?」

一ノ瀬先生...。

犬になるってどういうことだろう?

もう...嫌われちゃったかな?

「フリフリ」

「そっか。」

「ポン!」

え...?

「ドキドキドキドキドキドキ」

「い、一ノ瀬先生...な、何...して...るん...です...か…///」

「え?すずを膝の上に乗せてる。あと...『一ノ瀬先生』って呼ぶの禁止。『夢追様』と呼べよ。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

ええええええええええ!?!

ゆ、夢追様!?

む、無理だよ…///

「ほら...早く呼べよ。」

「ドッキーーーーーン!」

「ゆ、ゆ...夢......追...様///」

「はい。よく出来ました♪」

「ドキドキドキドキドキドキ」

き、急に一ノ瀬先生...どうしたんだろう?

「すずは俺の事...好き?」

「ドキドキドキドキドキドキ」

え、え...?///

そ、そんなの…///

「まっ、好きじゃないって絶対言わせねぇけどな。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生…///

俺様×ドSキャラだったの!?!

この事...きっとあの女の人は知ってるんだろうな...。

私は一ノ瀬先生の『1番』になれない。

「すずから俺を抱きしめて?」

「ドキン!」

どうせ...ドキドキするだけ無駄なんだ。

この感情は...。

「パチン!!」

私は一ノ瀬先生のほっぺを叩いた。

その拍子に一ノ瀬先生の膝の上から降りた。

「..ヒック...好...き...でも......ウゥ..な...いのに...ヒック...そん..ウゥゥ......な事...ウグッ...言わ...ヒック...ない...ウゥ...で。」

そう言って私は教室から出た。

一ノ瀬先生なんか...嫌い!!

大ッ嫌い!!

そう...なればどんなに楽だろうか。

「..ヒック...ウゥ......」

でも無理なの。

嫌いになんかなれない。

ドキドキが止まらない。

恋の辛さを初めて知った瞬間だった。


すずを泣かせてしまった...。

「ハァァァ」

『すずから俺を抱きしめて?』

あんなの...普通に引くわ。

俺でも引く。

自分が...気持ち悪い。

でも、今更、追いかけて俺が何出来るって言うんだよ!!

「俺は教師だろ...?教師なんだから...生徒をちゃんと守らなきゃ...。」

なのに、俺がすずを傷つけて...。

俺、マジ最低。

「バタン!!!」

階段の方から人が倒れる音が聞こえた。

生徒が落ちたのか...?

「ダッ」

俺は走って階段の方に行った。

そうだ...俺は多分意識が低いのだろう。

『教師』という意識が...。

ここに誓おう...。

俺はもう2度と生徒が傷つくようなことをしないと...。


痛い...。

そうだ。

私...階段で落ちちゃったんだ。

その時に確か男の人かな?

『大丈夫か!?!』

って必死に言ってた。

それでふわっとなって...。

「パチッ」

目が覚めたら、一ノ瀬先生がいた。

「...一ノ瀬先生?」

「ギュウウウウ」

一ノ瀬先生は私を力強く抱きしめた。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「すずっ!!大丈夫か!?!痛い所はないか!?」

一ノ瀬先生...心配してる。

私...さっき一ノ瀬先生の事ビンタしたのに...。

「大...丈夫...///」

痛みが消えてゆく。

「フゥ...良かった。すずが無事でよかった。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

一ノ瀬先生…///

「...ヒック..ウゥ......」

「すず!?何処か...痛いのか!?」

「...好...ヒック...き...です。」

「え?」

「一ノ瀬先生が......好...き...です...ウゥ...」

好き...大好き。

想いが止まらない。

「すず。俺...前に言ったよな?」

知ってる。特別扱い出来ないってことだよね...。

でも、もうイヤなの。

好きなの。

「恋愛も特別扱いの一つになる。だから、早く俺なんかやめて他の男のところに行けよ。」

「フリフリ」

「他の...人......は...無...理。一ノ瀬先生が...いい...の///」

一ノ瀬先生は驚いた顔をした。

「...ごめんな。」

そう言って一ノ瀬先生は保健室から出て行った。

あぁ...私、振られたんだ。

「...ヒック..ウゥ...ウグッ......」

涙が...止まらない。

一ノ瀬先生...好き。

大好き。

先生に恋することはこんなにもダメなの?


今日は...一ノ瀬先生に会いたくない。

私は保健室のベッドの中にいる。

仮病なんて...初めて。

「......好...き。」

一ノ瀬先生が好き。

なのに、この想いは消さなきゃいけないの。

嫌だよ...。そんなこと。

「ポロポロ」

涙が溢れでた。

この涙は...とても熱くて...まるで、一ノ瀬先生のこと好きって言ってるみたいだ。

「...一ノ瀬...先生...。」

「バッ!」

誰かが私が被ってた布団をとった。

「すずっ!!...ハァハァ...」

「...一ノ瀬...先生...?」

何で...来たの?

「ギュウウウウ」

一ノ瀬先生は私を抱きしめた。

「ごめんな。俺のせいで...こんなに傷つけて...。」

あぁ...やっぱり、その事を気にしてるの...?

一ノ瀬先生は優しい。

だから、私の事も自分の事みたいに思ってくれる。

だから...今は辛い。

「私...なんかと...いた...ら...彼女...さんが...怒...るよ...?」

「彼女??俺...彼女いないよ?」

「え...?」

じゃ、何で女の人の家に行ったの?

でも、私にも希望があるんだよね...?

今は1%でも...その希望にすがりたい。

「......好...き///」

一ノ瀬先生は驚いた顔をした。

「ドキドキドキドキ」

「一ノ瀬先生が......好...きで///」

「ただ....大好...き...で///」

「どう...しようも...ない...くらい...一ノ瀬先生に......恋...して...ます///」

好きなの...大好きなの。

一ノ瀬先生以外...何もいらない。

「...ごめんな。」

そう言って一ノ瀬先生は何処かに行こうとした。

「クイッ!!」

私は一ノ瀬先生の服の裾を引っ張った。

一ノ瀬先生は振り返った。

「ドクッ...」

「一ノ瀬先生...顔......真っ赤///」

「は、はぁぁああ!?!う、嘘だろ!?…///」

「フリフリ」

私は首を横に振った。

「......まじかよ///」

一ノ瀬先生も...好き?

一ノ瀬先生の本音が聞きたい。

「...一ノ瀬先生...今から...イエスか...ノー...で...答えて...ください///」

「お...おう。」

お願い...。

イエスって言って。

「ドキドキドキドキ」

「私...の...こと...好...き...ですか?///」

一ノ瀬先生は固まった。

みるみる顔は赤く染まってゆく。

「...好き...じゃないっ!!///」

「...顔...赤い///」

一ノ瀬先生の優しさに...私...つけこんでる...。

最低だ。

でも...そんな顔を赤くされたら...気になっちゃうよ。

「...俺はすずを幸せにする保証がない。むしろ...傷つける方が多いかもしれない。」

「でも...その代わりにっ!!!いっぱい愛してあげる保証がある...。」

そう言って一ノ瀬先生は私の方に近づき...。

「チュッ」

キスをした。

「プハッ」

「俺もすずが好きだ...。返品交換は受け付けねぇからな。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

そう言ってから...もう一度一ノ瀬先生はキスをした。


俺が保健室に行く前のことだ。

「は~い。出席とるから皆、座れよ!」

俺は出席をとり始めた。

あれ?すずがいない?

「皆...すずは休みなのか?」

「すずは保健室に行ったよ!!」

そう言ったのは、すずの友達の郁矢だ。

「了解。」

すずが保健室かぁ...。

大丈夫かな。

出席をとり終わって、休み時間になった時に郁矢が俺のところに来た。

「一ノ瀬先生。すずの事で話したいことがあるから、ちょっと来て!!」

「グイッ」

俺は郁矢に手を引っ張られた。

すずの事...?

何かあったのか?

人気のないところまで来た。

「一ノ瀬先生。すずと何かあったの?」

「ギクッ」

告白された...これはさすがに言えない。

「何もなかったよ!」

「へぇ~、やっぱ一ノ瀬先生は私の事、警戒してるんだね!!」

「え?...俺は郁矢のこと信頼してるよ!!だって...俺の大切な生徒だから!!生徒を信頼しないわけないだろ!?」

「別に、昨日あったこと話さなくていいけど...すずは真面目でいい子だから、仮病なんておかしいなって思っただけ。」

「スッ」

郁矢は俺にすずと郁矢のLINEを見せられた。

『告羽乃ちゃん。仮病だから心配しなくていいよ。』

その文字が見えた。

まさかっ...!!

昨日のことで傷ついて...!?

「郁矢っ...!!ごめんな!!郁矢が心配することはないから!!」

「ダッ」

俺は走り出した。

でも、どうせ...この恋を始めても...終わらせなきゃいけなくなるかもしれないから...それなら、強く突き放した方がいいと思った。

でも、そのせいで...すずが傷つくのはやっぱり嫌だ!!

美穂...ごめん。俺はすずが好きだ。


あれから、一ノ瀬先生に私はデートに誘われた。

駅前に待ち合わせ。

私...おかしくないかな?

「...一ノ瀬...先生...お...はよ...ございま...す///」

「すず...おはよ♪」

一ノ瀬先生は髪型を少し変えて、伊達メガネをしていた。

「グイッ」

一ノ瀬先生に私はアゴクイされた。

「チュッ」

そして...キスをされた...。

「ドキドキドキドキドキドキ」

「これから、『一ノ瀬先生』って言うのと敬語...禁止な。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「え...?で..も...一ノ瀬先生って...呼ばな...きゃ...すぐに...バレ...ま...す///」

「ハハッ...そこをうまく使い分ければ何とかなるんだよ。」

一ノ瀬先生...じゃなくて、夢追くん?

でも、私より年上だから...夢追さんか...。

「ギュッ」

一ノ瀬先生...夢追さんは私の手を握った。

「今日は遊園地に行くぞっ!」

「ドキドキドキドキドキドキ」

「いっぱい...楽...しも...う...ね///」

「あぁ。そうだな。」

「グイッ」

私はアゴクイされた。

「チュッ」

そして...キスを...。

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

「いっぱい...イチャつこうなっ!!」

そう...夢追さんは笑った。

「コクン」

私は頷くだけで精一杯だった。

私と夢追さんのデートは始まったばかり。


遊園地に着いた。

好きな人と一緒にいる...それだけで心臓が踊り出す...。

「グイッ」

夢追さんは急に私の手を引っ張った。

「夢追さ...」

「ギュウウウウ」

そして、私を抱きしめた。

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

み、皆...見てるよ...///

は、恥ずかしい~…///

「よしっ、どっか行った。」

「パッ」

夢追さんは私から離れた。

「誰...か...いた...の...?」

「あぁ。3組の金城月星。」

金城月星くん...。

前のテストで私が0点をとったから1位の座を奪われた...。

そのことは...悔しくて...悔しくて...忘れられない。

「ポンポン」

夢追さんは私の頭を撫でた。

「大丈夫だよ。俺がすずを守るから。」

「ドキドキドキドキドキドキ」

夢追さんがいる...それだけで心強く感じる。

「...あ...りが...と///」

「チュッ」

え...。

「可愛いからしちゃった…///」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

ゆ、夢追さんの方が可愛いよぉ~…///

てか、今のズルい...。

「な~に。もっとしてほしい?ニヤッ」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

「フリフリフリフリフリフリ」

思わず...首を横に振りすぎた...。

「フッ...顔赤いけど?」

「み...みな...い...で///」

は、恥ずかしい~…///

「見ないでって言われたら見たくなるな♪」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

う、うわぁぁ…///

ドキドキが止まらない!!…///

この時は知らなかった。

私と夢追さんの写真が撮られたことを...。


最後に...観覧車に乗った。

夢追さんは知ってる...?

この観覧車のジンクスを...。

「ねぇ、すず。この観覧車にジンクスがある事...知ってる?」

「コクンコクン」

私はうなづいた。

「ドンッ!!」

私は夢追さんに壁ドンされた。

「ゆ、夢追さ...ん...?///」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

甘い甘いトキ。

私と夢追さんの世界...。

「夢追『さん』禁止。夢追って呼べよ。」

「チュッ」

夢追...は...私にキスをした。

観覧車がてっぺんの時に...。

『この観覧車がてっぺんの時にキスをしたら、そのキスをした相手とずっと一緒にいれる。』

「プハッ」

「すず...愛してる。」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

「私も...愛し...て...る///」

愛してる。

夢追のこと本当に愛してる。

ちょっと自分でも怖い...。

この想いは、もう二度と止まらない。

「ハムッ」

「ビクッ!」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

な、何...?

い、今...耳...舐められた...?

「可愛い♪もっと舐めてやろ。」

え...えぇ!?…///

「パカッ」

観覧車のドアが開いた。

あ...下まで来たんだ。

私と夢追は降りた。

「ギュッ」

夢追は私の手を握った。

「もう...暗いから帰るぞ。」

「コクン」

私は頷いた。

今日は...素敵な時間だった。

また...デートしたいな。


翌日。

私達の教室に金城月星くんが来た。

「ねぇ...涼風すずさん呼んでくれないかな?」

「きゃあああああああ!!!月星くん!!」

「てか、何で静ちゃん!?」

女子の皆が騒ぎ出した。

「すず!!金城と知り合いなの?」

金城月星くん。

私の1位の座を奪った...。

私の...大好きなあの場所を。

「カキカキ」

私は紙に『It is somethinq for me?』(私に何か用ですか)って書いた。

「タッ」

私は金城月星くんの方に行った。

「ピラッ」

そして、さっき書いた紙を見せた。

「プハッ...ハハハッ...ハハッ...!!」

何...笑ってるの?

何が面白いの?

これだから...夢追以外の男の人は苦手。

「涼風さん面白いなぁ~。僕、こんなふうに英語で書いた紙渡されたの初めてだよ。」

馬鹿にしてるの?

1位とったからって...。

「I have something I want to show you.Let's go to a whole where there is no popoular for.」

(君に見せたいものがある。人気のないところに行こう。)

私に...見せたいもの?

今...ここで見せればいいのに。

「カキカキ」

私はポケットに入れてあったペンで英語を書き出した。

『Please tell me what you want to display.』

(見せたいものを教えて。)

「ピラッ」

私は金城月星くんに紙を見せた。

「ヒソッ...boyfriend」

(彼氏)

えっ...彼氏って...金城月星くんは...私と夢追の関係を知ってる?

どうしよ...どうしよ。

もし...バレてたら...!!

「グイッ」

「ゆ...一ノ瀬先生…///」

私は...一ノ瀬先生に後ろに向かって手を引っ張られた。

「金城っ!!もうすぐ授業が始まるから自分の教室に帰れよ。」

「はい。分かりました。じゃ、涼風さん。また次の休み時間に来るね。」

夢追...。

助けてくれた?

夢追が私を助けてくれたように私も夢追を助けるね。


私は授業が終わってから金城月星くんのクラスに行った。

女の子...いっぱいだな。

金城月星くんの周りは女の子だらけ。

「あっ!涼風さん!わざわざ来てくれたんだ。」

「コクン」

戦いに来たよ...。

「じゃ、ちょっと着いてきて!」

「コクン」

金城月星くんは裏庭まで来た。

「ピラッ」

金城月星くんは写真を見せてきた。

「これって...涼風さんと彼氏だよね。1位奪われたのに...余裕だね。」 「コクン」

次は...負ける気しないから。

「静かで真面目な涼風さんが彼氏とデートしたって言ったら皆...どんな反応するだろう?」

「ドクッ!」

金城月星くんはバラすつもり!?

もしかしたら...この写真で夢追って気づく人がいるかもしれないのに。

どうしよ...。

「まっ、こんなふうに彼氏と遊んでるから俺に1位奪われたんじゃない?彼氏もどうせろくな男じゃないんでしょ?」

「ピキッ」

血管が...1つ切れた音がした。

許さない。

ただでさえ...私のあの場所をとられたのに...その上、夢追の悪口なんて!!

「涼風さんも何か話したらどう?」

話さなきゃ...。

今...夢追の授業だと思って...。

授業だと思って喋るの...。

「スゥー」

私は大きく息を吸った。

「Much is business ? I immediately regained the first place of the seat . Not ride in tone .」

(用件はそれだけ?私がすぐに1位の座を奪い返す。調子に乗らないで。)

私はそう言ってから教室に向かって歩いた。

「ヤバいなぁ~彼氏のことだけを想ってる一途ちゃん。超...俺の好み。」

そう金城月星くんは呟いた。


放課後、私と夢追は教室に残った。

今日は...特別な居残り。

「すず...。」

「チュッチュッ」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

さっきから...キスばっかり…///

ド、ドキドキが止まらない...。

私の心臓が爆発しそう...!!

「すずって金城とどうゆう関係なの?」

一応...知り合いかな?

「何か今日、少し...金城が近かったりしたから...妬いた…///」

「ドキン!!」

夢追も妬いたりするんだ...。

今...凄く愛おしい。

「チュッ」

私から夢追にキスをした。

「す...すず?…///」

夢追...顔、赤い。

「キ、キス...した...かった...か...ら///」

「ドキドキドキドキドキドキ」

自分で言いながら照れるな…///

「すずヤバい...。超、可愛い…///」

「ドキン!!」

夢追の瞳に吸い込まれそう...。

言葉じゃ...言い表せない。

好き...。

「チュッ」

私達は再びキスをした。


授業が終わった後、私は日直だから次の授業で使うものを教室に運ばなきゃいけなかった。

量...多いな。

でも、頑張らなきゃ...。

「バッ」

私は荷物を持った。

お、重い...。

「フラフラ」

私はフラフラして歩きだした。

どうしよ...。

今からでも落としそう...。

「ヒョイッ!」

誰かが私の持ってた荷物をとった。

もしかして...夢追!?

そう思って後ろを振り向いたら...。

金城月星くんだった。

「涼風さん。重いでしょ?俺が持つよ。」

金城月星くんに仮を作るのは嫌だな...。

何せよ...1番とられた相手。

「return it. I have . I do not want to rely on you something .」

(返して。私が持つ。あなたなんかに頼りたくない。)

言い過ぎたかな...。

謝らないと。

「ハハッ...やっぱ、俺に1位とられたこと悔しかったんだ?」

え...?何で金城月星くんがわかるの...?

「てか、涼風さんの彼氏って年上でしょ?ちょっと大人っぽい。」

「ドクンドクン」

「俺の予想なんだけど...涼風さんの彼氏って一ノ瀬先生のお兄ちゃん?」

「ホッ」

あっ...外れた。

「ちょっと...一ノ瀬先生に似てるよね?」

「ドクッ!」

金城月星くんは何処まで知ってる?

これ以上...関わっちゃダメ。

「涼風さんも何か言ったら?」

「ダッ」

私は走り出した。

「え!?ちょっ...涼風さん!!」

「ハァハァ...ハァッ...」

逃げなきゃっ!!

バレたくない!!

バレたら...夢追との恋が終わっちゃう。

「グイッ」

私は金城月星くんに手を引っ張られた。

「涼風さ...泣いてる?」

え...?私...泣いてる?

どうしよ...。こんなのじゃ...。

「ザワザワ」

「あの金城が静ちゃん泣かせてる?」

あっ...騒ぎ出した。

見られたくない!!

「バッ」

金城月星くんは私にブレザーを被せて顔を見せないようにした。

「ギュッ」

そして...抱きしめた。

やだ...。夢追以外の人に抱きしめられるなんて...。

嫌っ!!

「ごめんな。意地悪言いすぎた。でも...俺は涼風さんのこと嫌いじゃないから。友達になりたいって思ってるから。」

「トクットクットクッ」

金城月星くん...。

友達になりたい...。

「私......言い...過ぎて...ごめなさ...」

上手く言えない。

だって...男友達なんて...初めてだから...。

「別に気にしてねぇよ。」

その一言が安心できた。

友達...。

その言葉に心が弾む。

まだ...苦手だけど、でも仲良くはなりたいな。


放課後...夢追が渡したいものがあるから待っててって言った。

渡したいものって何だろう...?

まさか...問題集?

1位をとるには丁度いいかもしれない。

「ガラッ」

「やっほ。すず。」

「ドキン!!」

夢追を見た瞬間...急に胸が高く跳ね上がる。

「すず...目閉じてくれない?」

「コクン」

私は頷いてから目を閉じた。

な、何を...するんだろ...。

「カチャッ」

「目開けていいよ。」

私は目を開けた。

そしたら...夢追が私にネックレスをつけてくれたことに気づいた。

「ゆ、夢追...。このネックレス...」

「昨日、たまたま見つけたんだ。すずに似合うと思って...すぐ買っちゃったハハッ」

嬉しい...。

何処にいても...夢追の頭の中は...私。

その事が何よりも嬉しい。

「...あり...が...と///」

好き...大好き。

「夢追...大...好き///」

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

夢追に好きって言うのは何回目だろう。

「俺も...すずのこと大好き///」

「チュッ」

私達はキスをした。

キスは愛を表すためにやるもの。

だから...私達はキスをする。

これからも...ずっとキスをする。

そう...思ってた。


翌日。

休み時間になったら、金城月星くんが私の教室に来た。

「すずちゃん......と郁矢さん。」

何で...名前呼び!?

「あれ?すず...金城とは知り合いじゃなかったくない?」

告羽乃ちゃん...。

あの時は知り合いじゃなかったけど...今は友達になった...って何か言いにくいな。

金城月星くんは女子にモテモテ。

だから、友達とか皆に知られたら...私どうなるだろう...。

「ギュッ」

金城月星くんは私を抱きしめた。

「俺とすずちゃんは友達になったんだ。」

や、やだ...!!

離れて...!!

「グイッ」

押しても押しても無理だった。

私...夢追以外の男子に触れられるのは嫌...!!

「グイッ」

「わっ!」

誰かが...金城月星くんを私から突き放してくれた。

「金城。お前...近すぎじゃないか?友達の距離じゃねぇぞ。」

「ドキン!!」

夢追っ...!!

夢追は...私のヒーローだ。

私が困ってたら助けてくれる。

好き...だな。

「一ノ瀬先生...。外国ならハグは友達同士なら絶対しますよ。それに...キスだって。」

「チュッ」

金城月星くんは私の...私の...唇にキスをした。

「きゃあああああああ!!!」

「月星くううううううん!!!!」

女子は騒ぎ始めた。

「ゴシッ」

私は唇をこすった。

「ダッ」

そして、走って教室から出て行った。

「ウゥ...ヒック...フゥゥ...フェェ...」

涙が溢れでた。

もう嫌だ。

何で...夢追の前でキスをしたの?

何で...私にキスをしたの?

金城月星くんなんか...もう知らない。

やっぱり、男友達なんていらない。


「すずっ!!」

「ドキン!!」

この声は...夢追だ。

「ギュッ」

私は夢追に抱きついた。

「すず...。」

「...ウゥ..ヒック...嫌...夢追以...外...の...唇が...ついた...体...なんか。嫌...。嫌い。」

嫌だ!!こんな体!!

「グイッ」

夢追は私をアゴクイした。

そして...。

「チュッ」

キスをした。

「消毒...な。」

「チュッ」

再びキスをした。

やっぱり...私に触れていいのは夢追だけ。

夢追は安心できる...。

「ガタッ!」

私と夢追はキスを止めて音が鳴った方を見た。

「郁矢っ!!」

「......告羽乃...ちゃん...。」

「す...ず...。」

どうしよ...。でも、告羽乃ちゃんなら...分かってくれるよね。

「一ノ瀬先生...すずと付き合ったの?」

「...付き合ってないよ。」

夢追...?

な...ん...で?

え...?私達...付き合ってるよね?

「さっきのキスは俺が勝手にしただけ。すずは関係ない。」

あっ...夢追は私をかばってくれてる!!

ダメ...そんなの...ダメ!!

「私が...ムゴッ」

夢追は私の口を...手で抑えた。

「一ノ瀬先生...それでも教師なの!?自分から...勝手にしたって...すずの気持ちも知らないでっ...!!」

違う...告羽乃ちゃん。

「私...恋するのは自由だと思うけど...教師と生徒が付き合ったりキスしたりするのは...やっぱダメだと思う。」

「ダッ」

そう言って告羽乃ちゃんは走っていった。

「ソッ」

私の口にあった夢追の手が離された。

私はその瞬間に声を出した。

「夢追っ!!」

今まで...1番大きい声だろう。

「何?すず。」

「何...で...私の事...かばった...の?」

「彼女を守るのが俺の役目だろ?かばって当たり前じゃん。」

「バ...カ...。私...達...付き...合ってる...から...罪は...半分...半分...だ...よ。1人で...全部...背負わ...ないで...。」

私に...もっと頼って。

夢追の彼女なんだから...。

「そうだな。2人で一緒に罪を分け合っていこうな。」

「ギュッ」

そう言って夢追は私を抱きしめた。

「ウゥ...ヒック...夢...追..」

だけど、夢追のこの言葉は嘘だった。

夢追は初めから...1人で罪を背負うつもりだった。


すずと一ノ瀬先生...。

「パサッ」

私は、前にすずから一ノ瀬先生にキスをした写真を出した。

この写真を校長に見せれば、一ノ瀬先生には罰がくるだろう。

でも...一ノ瀬先生はさっきあんな事言ってたけど、いざとなったら自分の為に嘘をつく。

「教師なんてっ...ろくでもないっ!!」

すずの為にも...すずと一ノ瀬先生の恋を潰さなきゃ!!

「郁矢さん!すずちゃん何処にいるか知らない?」

「金城っ!!」

金城は多分...すずのこと好きだろう。

でも...本当にそうかわからない。

もし、すずのこと好きじゃなかったら裏目に出る場合がある!!

確認のためにも聞かなきゃ...!!

「金城って...すずのこと好き?」

「えっ…///な、何...急に!?…///」

「別に私は言いふらしたりしないよ!!」

「う...うん///好き…///」

よし。使えるな。

「ねぇ...私...金城に相談したいことがあるの。」

「何かな?」

「実は...一ノ瀬先生がすずにキスをしたんだよね。2人が付き合ってるか分からないけど...でも、教師と生徒が恋愛なんてっ...!!」

「郁矢さん。何の冗談?すずちゃんは男子は特に苦手なんだよ?それに...すずちゃんには彼氏がいるから。」

え...?どうゆうこと?

「ピラッ」

私は写真を金城に見せた。

「え...?一ノ瀬先生と...すずちゃん?」

金城は驚いた顔をした。

「さっきも、キスしてる現場を見たの。その時に一ノ瀬先生が自分から勝手にしたって言ったの。」

「じ、じゃ...これも...一ノ瀬先生...?」

「ピラッ」

金城は私に写真を見せてきた。

男の方はメガネをかけていて、少し一ノ瀬先生と髪型が違ったが、目とか一ノ瀬先生だ。

「多分。一ノ瀬先生だと思う。」

「っ...許さねぇ!!あんの...ロリコン教師っ!!」

「バッ!!」

金城は私が持ってた写真を奪った。

「ちょっと貸して。」

「いいよ!!」

そう言ったあと、金城は校長室に行った。

良かった...。ろくでもない教師との恋愛を終わらせれる。


私は前に教師に恋愛した。

そしたら、教師はろくでもない男だって知った。

あれは...私が中2の頃。

私はバスケ部に入っていた。

いつも部活がある前には...美術部に行ってた。

「ガラッ」

「ドキドキドキドキ」

「田中先生。また...1人で描いてるんですか?…///」

「あっ...郁矢さん。うん。そうだよ。今日も...誰も来てくれなくてね...。」

「ドン!」

私は田中先生の近くにあった椅子に腰をかけた。

田中先生...田中圭介。

田中先生は美術部を作りたくって...いつも皆に入ってもらえるように呼びかけてるけど、誰も来なくて...いつも1人で絵を描いてる。

「ドキドキドキドキ」

「田中先生...1人なのに楽しそうに描きますね…///」

「今は、郁矢さんがいるから1人じゃないよ。」

私は田中先生が好き。

好きだから...つい敬語で話してしまう。

皆と話してるみたいにタメで話したいのに...。

「バカじゃないですか?私がいるって言っても...私はバスケ部で...美術部、誰もいないじゃないですかっ…///」

「ハハッ...郁矢さんの言う通りだね。」

田中先生、好き。

「ガタッ!」

田中先生は筆を落とした。

「ソッ」

私と田中先生の手は重なった。

「ドキドキドキドキドキドキドキ」

「は、早く...どけたらどうですか!?…///」

このままじゃ...心臓爆発しそう!!

「ギュッ」

田中先生は私の手を強く握りしめた。

「僕...郁矢さんのことが好き。」

え...?嘘...?

「僕と付き合ってください。」

「ドキドキドキドキドキドキドキドキ」

「よ、喜んでっ!!!!!」

夢みたい...。

でも、田中先生と付き合ってしまったせいで...私は教師というものを信用出来なくなった。


「ガラッ」

あの日から美術室では...私と田中先生の時間になった。

「チュッ」

田中先生のキスは優しくて...でも濃厚で...とろけてしまいそう。

「プハッ」

「ハァ...ハァ...ちょっ...待ってくださ...ハァハァ...」

息がもたないキスも嫌いじゃなかった。

むしろ、好きだった。

「敬語禁止。」

「チュッ」

田中先生...。

「プハッ」

「ハァ...ハァ...」

「ハハッ...郁矢さん...いや、告羽乃は可愛いね。」

「ドキン!!」

ずるい...。

田中先生ばっか、大人で...。

少し、焦ってしまう。

「チュッ」

私から田中先生の首すじにキスした。

「っ!!…///」

「プハッ」

私は田中先生の首すじにキスマークをつけた。

「し、仕返しっ!!…///」

「俺も...しるしつけといていい?」

「え...?」

「チュッ」

田中先生は私の首すじにキスをした。

「んんっ…///」

「...ハッ」

田中先生は私の首すじにキスマークをつけたのだ。

「好きだよ。告羽乃。」

「わ、私も...好き///」

この関係がバレるまでは幸せだった。

キスをするだけで...田中先生のものって思えた。

それが何よりの幸せだった。

今になってはバカバカしい。


あの日は私の人生最悪の日。

私が体育館に行こうとした時。

「チュッ」

圭介がいきなり私にキスしてきた。

「ちょっ...圭介っ!!ば、バレたら…///」

「今は誰もいないよ。」

「チュッ」

私と圭介はキスをした。

「告羽乃!?」

え...?

何で皆いるの?

この後、私と圭介は校長室に行った。

「田中先生。これはどうゆうことですか!?」

圭介...。

「校長先生。実はっ...郁矢さんが僕にキスを...してきたんです。」

え...?

「僕からは...やってません。」

「ヒソッ」

「僕に合わせて。僕達が付き合うためには...合わせて。」

私はその言葉にのめり込んでしまった。

本当は...圭介のわがままだったのに。

「そう!!私が無理矢理...田中先生にキスをしました。本当にごめんなさい!!」

「まぁ...それなら...今回だけは甘くみてあげるよ。次、このようなことがあれば...田中先生は退職ですよ?」

「はい...。わかりました。」

こうして...私と圭介は校長室から出た。

「告羽乃。ごめんな...。」

「圭介っ!!私は...大丈夫だよ!!」

「僕達...別れよっか。」

「えっ...嫌だ!!」

「タッ」

圭介は歩きだした。

「ちょっ...圭介っ!!何で...」

「ウワァァァァァ!!!!」

私は泣いた。

翌日、学校に行ったら皆の目は変わってた。

「告羽乃が田中先生に言い寄るなんて...。」

「正直ちょっと...私、告羽乃みたいな性格苦手なんだよね。」

大丈夫...。

今で言ったら...すずみたいな友達がいたのだ。

だけど...その友達にも。

「美由羽っ!!おはよう!!」

「プイッ」

無視されたんだ。

「俺...郁矢、さっぱり系でいいと思ってたけど...まさか先生が好きとか...ないわぁ!!」

男子まで...!!

私は一人ぼっちだ。

やっぱり...私、田中先生がいい!!

放課後になったら、私は美術室に行った。

美術室の前に誰かいる?

私は隠れた。

「田中先生…///」

「ん?森永さんどうしたの?」

「田中先生っていつも楽しそうに絵を描きますよね...。」

「うん。絵が...僕の生き甲斐だからね。」

「私...そんな先生が好きです!!…///」

「僕も...森永さんが好きだよ。こっちにおいで?」

「タッ」

女の子は美術室に入っていった。

あぁ...。先生ってそういうものなんだ。

バレたら捨てる。

まるで...生徒をおもちゃのように扱うんだ。

「ウゥ...ヒック...ウゥ......」

圭介...。私はこんなにも辛いんだよ?

クラスのムードメーカーだったのに...今では浮いてるんだよ?

「ウゥ...ヒック...圭介の...ウゥ...バカ...ヒック...」

だから、私はこれから、自分の身の回りで先生との恋愛は阻止しようと思った。

だって...教師はろくでもない。


翌日。

『一ノ瀬先生と1年4組の涼風すずさんは校長室まで来るように。』

何だろう...?

私は校長室に入ったら、校長先生と夢追がいた。

「一ノ瀬先生これはどうゆうことですか!?生徒とキスをして...」

え...?何でそのこと...?

告羽乃ちゃんが言った?

でも...告羽乃ちゃんは。

「校長先生。すみません。俺が涼風さんに恋をしてしまったあまりに...キスをして、本当にすみません。」

え...。

「一ノ瀬先生っ!!あなたはっ...教師の自覚を...!!」

嫌だ...怒らないで!!

「バッ!!」

夢追は私の口を塞いだ。

多分...私が言いたいこと分かったのだろう。

「本当に...すみません。」

「今から、涼風さんのお母さんも来てもらいますっ!!涼風さんはあちらの部屋で待って...一ノ瀬先生はここにいなさい。」

「わかりました。」

そんな...。

どうしよ。私のせいで...!!

私は言われた部屋で待った。

「ガチャ」

「夢追っ...。」

そう言って見たら...お母さんがいた。

「バチン!!!!」

鬼の顔で私のほっぺたを叩いた。

「お...母さ...」

「あなたは何でそうなのよっ!!元々あまり喋らないし、笑わないしっ!!前のテストも0点の教科もあったし...その上...先生と恋なんてっ...。」

「ごめ...な...さ...」

「夢追って先生よね!?先生と付き合ってるの!?」

どうしよ...。

きっと、答えたら...お母さんはもっと怒る...。

「早く答えなさいっ!!!」

「バッ!!」

叩かれるっ...!!

私は目を閉じた。

「パシッ!」

誰かが...止めた...?

私は目を開けた。

そしたら...夢追がいた。

「お母さん。止めてください。お子さんは何も悪くないんです。僕が...勝手に...キスをしたんです!!」

「ポロポロ」

私はもう...涙が溢れ出した。

違うの...。

夢追は悪くない...。

「あなたっ...教師のくせにっ!!どうゆうつもりでっ...!!」

「すみません。謝って許されることでないと分かってます。でも...今はただひたすら謝らせてください。」

夢追...。

「グイッ」

お母さんは私の手を引っ張った。

「もうっ...こんな学校嫌ですっ...!!帰って新しい高校を探しますっ!!」

え...?嫌だ...。

お母さんはそう言って歩きだした。

嫌だよ。夢追と会えなくなるなんてっ!!

別れの季節がきた。


「バッ!!」

私は廊下でお母さんの手を離した。

「すずっ!!あなた...こんな学校から出るわよっ!!」

「私っ...こ、この...学...校...が...いい!」

声が震える...。

でも、私は...夢追の側でいたい!!

「何を言うの!?生徒に手を出すような先生がいる学校に安心して娘を連れていけるわけないじゃな...」

「夢追を悪く言うなっ!!!!!」

私は叫んだ。

「ハァ...ハァ...」

今までで、一番大きい声だった。

お母さんは驚いている。

「夢追...の...こと...知ら...ない...くせに...悪く...言う...な。」

「誰に向かってその口を聞いてるの!?」

「お...母さん...に...向かって...。」

「バチン!!!!」

私はお母さんにまた、ほっぺたを叩かれた。

「あの...クソ教師で変わったのね。違う学校行く前に...家で頭を冷やしなさい。当分、休むわよ。」

「い...や...。」

「グイッ」

お母さんは私の手を引っ張った。

「助...けて...。夢追...夢追。」

私の声が届かない。

お願い...!!

夢追...助けに来て!!

「夢追っ!!!」

「グイッ」

私とお母さんを離してくれた。

「お母さん。無理矢理はやめてください。」

あぁ...夢追だ。

夢追...。

「あなたには関係ありません!!すずから離れてください!!」

「嫌ですっ!!こんなにも...彼女が傷ついてるのに...僕はほっとけません!!」

「ギュッ」

夢追は私を抱きしめた。

「やめてっ!!私の娘がっ...娘がああ!!」

夢追...。

「解放してあげてください。お母さんのせいで...今は娘さんが傷ついてます。」

やっぱり...好き。

好きっ...!!

「あなたが娘の何を知ってるんですか!?」

「少なくとも、悲しんでたり、傷ついたりしたら分かりますよ。僕は...すずが好きの前に...すずの『先生』ですから!!」

夢追...。

お母さんも泣いていた。

「娘から...離れてください。どんな綺麗な事を言っても罪は変わりません。」

嫌...。私、夢追から離れたくない。

「もう...娘さんを傷つけないって約束出来ますか?出来なければ、やっぱり離れれません。」

夢追...。

「今まで、何回もすずを傷つけてきたかもしれません。私がいつも一番にこだわるから...。」

お母さん...。

「だから...私以外の人からも傷ついてほしくないの...。だから、あなたとすずを離そうとした。でも...あなたはすずを一番に考えてくれてるわよね。」

「キスだって...すずをかばってくれたんでしょ?本当は...すずとあなたは両想いなんでしょ?」

「ドキン!!」

お母さん...分かるんだ。

「無理に引き裂くのはやめます。もう...すずを傷つけるのもやめるわ。」

お母さん...!!

「ドン!」

夢追は私の背中を押した。

「幸せになれよ。」

「コクン」

私は笑いながら頷いた。

私は知らなかった。

この...『幸せになれよ』って言葉は『さようなら』って意味だったって。


翌日。

お母さんが笑顔でいってらっしゃいって言ってくれた。

これも...夢追のお陰。

「キーンコーンカーンコーン」

皆、席に座った。

「ガラッ」

え...?夢追じゃ...ない。

「今日から皆の新しい担任となる吉田芽衣です。宜しくお願いします。」

「えええええ!?」

皆、騒ぎ出した。

「先生ぇ...一ノ瀬先生は!?」

「前の先生は...訳ありで退職しちゃったの。」

嘘...。

「私ね、前の先生から皆への手紙預かってるの。今から配るね。」

手紙が配られた。

私は読み始めた。



すずはいつも優しくて面白い素敵な女の子だったよね。

そんなすずにいつの間にか...恋に落ちてしまちゃった。

すずのことになると...段々コントロール出来なくなってしまった。

すずと付き合って...あまり時間が経ってないけど、凄く楽しかった。

ヤキモチだって妬いてしまうし...でも、すずが真っ直ぐな瞳で見てくれて...それだけで幸せだった。

好きって言葉じゃ、言い表せられない。

幸せな日々をありがとう。

さようなら。




「ガタッ!」

私は立ち上がった。

今すぐ...夢追に会いたい...!!

「ガラッ」

教室から出て行った。

そして...校長室に入った。

校長先生はいた。

「ハァハァ...校長...先生。」

「涼風さん。どうしたのですか?」

「夢...一ノ瀬先生...は...何処...に...住...んで...ます...か...?」

「え?急にどうしたのですか?」

「お願い...しま...す...。」

早く会いたい...!!

さようならなんて嫌だ。

「はい。住所です。」

「バッ!!」

私はすぐに受け取った。

「あり...がと...ござい...ます。」

私は走った。

早く...会いたい。

私...まだ伝えられてないことがある!!

夢追の家まで着いた。

だけど...。

さっきからピンポン鳴らしても出ないし、部屋の灯りがついてない。

「あら、あなた...ここの家の人...昨日、出て行ったのよ。」

え...?

私は後ろを振り向いた。

「夢...一ノ瀬先...一ノ瀬さんは...住んで...ない...んですか...?」

「ええ。そうなのよ。凄くいい人だったのに。私...凄くショックだったわ。」

「ウワァァァァァ!!!!」

こんなに泣いたのはいつぶりだろう。

でも、もう...私は夢追に会えないんだ。

好きって伝えられなくて、触れられないんだ。

嫌だよ...。

「...ウゥ...ヒック...好き...ウゥ...」

好きだよ。夢追。

離れるなんて...嫌だよ。

会いたい。

会いたいよ...。


あれから10年という月日が経った。

私は事務の仕事をしている。

今でも...夢追を探してる。

「...夢追は今何処で何してる?ボソッ」

私...今まで喋るのだって頑張ったよ。

夢追に会いたい...!!

「夢追っ...!!」

「グイッ」

私は腕を引っ張った。

「えっと...」

あ...夢追じゃなかった。

「ごめんなさい。人違いです。」

私は手を離して歩いた。

夢追...。

「ウゥ...ヒック...ウゥ......」

涙が溢れ出した。

今日も願う。

『夢追に会いたい』



夢追が好きだよ。

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