1 創作屋の第一歩
創作屋として歩み始めるにも第一歩というものがある。私だってあった。
今でこそしがないインターネット創作マンをやってる私ですけれど、覚えている限りでは、私が一番最初に作った物語はほたるくんっていう男の子が冒険する話だった。
小学校五年生のとき、即興で友達に話して聞かせたんです。なんかルイス・キャロルみたいでかっこいいでしょう。実際の内容はお察しですけどね。
ほたるくんは身寄りがない青年で、おじいさんとおばあさんに桃太郎よろしく育てられていたんだけど、ある日おじいさんとおばあさんの正体が恐ろしい妖怪だと知って食べられそうになり、育ての親であるおじいさんとおばあさんを殺してしまう。居場所のないほたるくんは自分の出生の秘密を探るという名目で旅に出て、危なくない猫の妖怪や真面目系クズの剣士を仲間にしたりしつつ賑やかな旅をする――というのが大体序盤のあらすじ。
途中で聖剣拾ったり、ツンギレ系の女の子といちゃついたり、世界観がかなり渾沌としてて、ついでにパロディネタだらけの地雷の塊みたいな話だったんだけど、これノート四冊も続いたんですよ未だに自分でも信じられねえ。
小学生の謎のノリってやばみあるわ。自分で挿絵も描いてた。やばみしかないわ。
ちなみにこれ、中学に進んでからエタる形で収束しました。たぶん風呂敷を広げ過ぎたのが原因だった。終わる頃には登場人物が40人超えてたし。多いし。
よく読んでもらえたもんだと思いますが、驚くべきことに、このしょっぱい小説ノート、続きを書くたびに友人たちに貸し出されていたのです。ほんとよくみんな読んでくれたよねって今でも思う。
さて、そんな私ですが、ちゃんと完結させた話もいくつかありました。
女戦士が祖国の恐ろしい計画を知り、敵国へと亡命――かつての恩人や友人と戦いながら、自分の理想の正義を貫く! とか。
魔王継承戦争の助手として蘇らされた少年が自分のマスターに心酔しつつ軍師ポジションとして才能を開花させていく話とか。
こうして言うと聞こえはいいけど、完結させたってだけで内容はほんとお察しだよ。ご都合主義だよ。公募とかにも出したけど落ちたよ。しかたないね。
目指すところは小説ばかりではありませんでしたけども、どうもだめでした。一度ネームの応募可っていうのがあって、五十ページの読み切り漫画を描いて応募しよう! って思ったこともあったんですけど、ネームノートなくしちゃって挫折したよね。ひどいはなしだ。
でも、こうした創作は、今の私の中に生きています。
私が書いてる物語たちは、子供の頃から温め続けてきた物語なのです。形は変わっても、どこかにかつての私が、そして私が望んだキャラクターたちが、姿を残して生きている。
物語の世界って、楽しいのです。だから私も、物語を作りたかった。わりと純粋だった子供時代を終えても、未だ私は、物語という夢を追い続けている。
そして今は、ほんのちょっとは創作屋として成長したんじゃねえかなアと思うけど、実際どうでしょうね。
とりあえず、自分なりの試行錯誤とか、創作裏話とか、そういうの書いていこうと思います。よろしくね。
新作小説を先にしようかと思ったんですけど思ったより時間かかる感じになりそうだったんで先にこっち出すことにしました。人はそれを場繋ぎという。