交わる糸
文章が多分稚拙になっていくと思われます。。。
気分更新ですので。
もし、自分が違う誰かの立場だったとしたら。
そう思わずにいられないのはなんでだろう。
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乾いた土のにおい。汗のにおい。血のにおい。これだけで気分は最悪だっていうのに。今日は友達を五人も亡くしてしまった。
カチャカチャと金属が擦れる音と馬の足音。疲れている兵士は誰一人話さない。話す気力もない。
今回の戦に勝利した兵士の列は無言で王都を目指していた。その列の先頭にいるのは、百戦錬磨と知られる英雄シザード・ヴェティカ将軍。そのすぐ後ろにいるのは息子のテイリア・ヴェティカ。まだ青年になったばかりではあるが、戦歴は輝かしいものである。親譲りの艶のある黒髪と精悍な顔つきは王城の女中の注目を集める。
そんなテイリアの気分は最悪なものだ。とても喜ばしい気分ではないが、これから王城にて勝利の祝杯を挙げることになるだろう。輝かしいドレスに身を包んだ淑女達。にっこりと笑みを張り付けた紳士達。誰を相手にするにしても気が乗らないし、喋る気にさえなりはしない。
溜め息を着きそうになるのを抑えて、前を進む父シザードの姿を見る。いつみても頼りがいのある背中だ。息子であるテイリアが真似をしようにもできないほどの気迫と存在感を放っている。こういう人物だから皆がついてくるんだ、と敗北感のような感情を少々感じるも、心の底からシザードを尊敬している故嫌いにはなれなかった。
やがて国が見えてきた。遠くからでも見える、そびえ建つ城は圧巻である。だがテイリアにとって自慢できる国、とは言い難かった。外見そのものは自慢できるのだが、蓋を開ければ空っぽなんだと、誰かに言ってやりたいものの、気軽に言える立場ではないものだから口を閉ざす。
青い十字架が三つ。真ん中の十字架が一番が大きく、その左右にある中くらいの十字架、これらを合わせて三つだ。その十字架の下に、横に伸びた赤い菱形が台のように描かれている。それが、テイリア達が守る、クディアク王国の国章である。
国民が住む層と王族が住む層と分かれていて、国民といえば、農耕や鍛冶、馬の育成など、生活の根本となることを担っている。だから国民が反乱を起こせばこの国は機能しなくなる。替わって王族といえば、この国を創った血筋の者が王を継ぐ。王族領には貴族領・軍事領がある。国土は二分されているから国土の諍いは今のところない。
はじめの国民領の大通りを通るのだが、これまた大変で、勝利帰還はパレードのような騒ぎだ。王族領の方は対して何もないがテイリアにとってはそちらの方が気が楽だ。静かな道を通り、軍事領で各隊の隊長が号令をかけ、テイリア達と別れる。軍事領で別れた兵士者達はそこで解散だ。テイリア達は更に先へ進み、貴族領へと入る。きらびやかな服を着た貴婦人達がちらほらと見える。彼女達はテイリアを見た瞬間持っていた扇で顔の下半分を隠し、隣の貴婦人達と囁き合う。
見世物になったようで、嫌気の差す顔をするが、これまた絵になるせいかまったく効果を見せない。
毎度のことながら、後ろの大佐殿がくすくすと笑ってくる。何が面白いのやら、呆れ返る。
「美人は苦労するなぁ」
わざわざ口に出さなくとも分かっている。テイリアのむすりとした表情を見ると、さらに笑ってくるのでたちが悪い。
「カヴェール大佐。テイリア少将に失礼ですよ」
「おっと、そうだな。シュザード中佐」
カヴェール・リドルネス大佐。軍事学校の実技をトップで卒業をした実戦向けの兵士だ。いつも左腕に包帯を巻いているが、怪我ではないらしい。自分からあまり話したがらないせいか、好き勝手な噂ばかりが独走している。
カヴェール大佐を諌めたのはシュザード・ラルヘルト中佐だ。軍医大佐も兼任している。後頭部で一括りにしてある黒髪は背中の真ん中くらいまで長い。髪を解けば腰辺りまで長いだろうと予測できる。誰にでも優しい彼は部下の信頼も厚い。
二人の世間話を聞いている間にも、王城へと続く道を後ろに控えた砦へと来た。
シザード将軍が通行書を見せると門番である警備の者達がキレのいい敬礼をし、開門した。
その門をくぐると、一本道。左右は森が見下せる。つまり、森が見下せるほどの高さ。落ちたらきっとひとたまりもないだろう。吹き付けてくる風は冷たくて気持ちがいい。
王城の門前でシザード将軍が名前と部隊名を声を張り上げて告げた。間もなくして門が開かれる。厩に馬を繋ぎ、王城の軍事用の部屋で先程のカヴェール大佐やシュザード中佐などの方たちは待機だ。この後の報告のため国王陛下に直に会うことが許されるのは、軍人兼貴族の立場を持つヴェティカ家の者だけだからだ。
隣の部屋で急ぎ甲冑を脱ぎ、違う服に着替える。
服は、白が基調で肩に金のモールを下げ、肩口にはクディアク王国の国章が縫い付けられている。袖口の線は青い色で三本だ。階級を示したピンを胸ポケットに留め、きらびやかなれど軍人としての威厳を表すようなもの。
着替えるとシザード将軍の後をついて、王の間に行く。王の間に続く廊下の端に咲く季節の花や廊下の柱の模様までもを覚えてしまうほど幾度となく通った。その度に、今回の戦で命を落とした者達のことを考える。
軍事学校に在学中の身であっても、英雄の名を継ぐ身として戦場へと連れて行かれた。軍事学校に入れるくらいの年の頃からならまだマシかもしれない。テイリアは物心つく前から戦場を見てきた。いや、正確には見せられてきた。その度に、お前は軍の最前列に出る者だと、兵士の命を握る者だと、国に富をもたらす者なのだと、耳にタコができるくらい聞かされてきた。それは今も変わらない。
今回もまた、仲間を失った。戦において命を落とすことは仕方のないこと。いやしかし、どこかで助けられたはずだと、後悔しても後の祭り。しかも亡くなった兵士には構わず勝利への祝杯を挙げるという国の考えだ。ヴェティカ家は軍人と貴族の間。たとえ軍人だと名乗っていても貴族の位を持ち続ける限り祝杯に参加しなくてはならない。それがテイリアにとってとても嫌だった。まるで仲間の死を祝っているような、まるで仲間の死に際の願いから目を背けているような、そんな感覚。一体父であるシザードはどんな気持ちで祝杯を挙げているのだろうか。その類の質問をテイリアは一切聞いたことがない。というのも、仕事に関することを聞こうとするとどうしても将軍と少将という立場を意識してしまい結局聞けなくなってしまうのだ。
溜め息をつきそうになって、口を引き締めた。ここはどこだ?王の間を目前とした廊下だ。溜め息など許されるはずもない。
一定の歩幅で一定の速さ。これが軍人の歩き方だ。ピンと伸びた背筋。無駄のない動作。いつ見ても憧れる。憧れるのだけれど、テイリアは戦いを好まない。だからこの歩き方も背筋も動作もあまり好きではない。相変わらず矛盾の多い人間であると、内心苦笑した。
王の間の前には近衛兵が二人立っていた。
ピッと寸分の狂いもない敬礼をしたシザードは自分の名を告げ、その後に続いてテイリアも敬礼をし、名前を告げた。その後シザードが今回の戦の報告に来た、と告げると二人の近衛兵は敬礼をし、一人が扉を開けて中に入る。テイリア達が来たと報告するためだ。間もなくして出てきた一人の近衛兵は中に入れ、と扉を開けた。シザードに続いてテイリアも入った直後バタンと扉が閉まった。いつものことなのでスッとシザードの後について国王陛下の御前まで進み、膝を折って頭を垂れた。
「此度の戦、ご苦労だった。いやしかし今回は早かったな」
「土地の関係もあり、攻めやすい環境にあったので」
「そうか。次もまた期待しておるぞ」
「はっ。ご期待に添えるよう努力して参ります」
「今日は祝杯を挙げるぞ。あぁ、そうだった」
何か思い出したように言う国王陛下のその先の告げようとする言葉にテイリアは嫌な予感がした。
「セルディアが一度でもいいから戦場を視察に行きたいと聞かなくてな。今引きこもっている最中だ」
「セルディア王子ですか?引きこもるほどお行きになりたいのですか・・・」
セルディア・フィルトーン。クディアク王国第二王子だ。顔を拝見したことがないテイリアにとっては未知の存在だった。王宮が嫌いなためあまり近づかなかったのがあだになったようだ。
「うむ。あやつは稀に見る戦好きだ。今度戦にはどうか連れて行ってはもらえまいか?」
「しかし、陛下。戦場とは命の駆け引きの場。たとえ視察であっても命の保証はできかねます」
「そこをなんとか頼むシザード。一度見れば気が済むであろう。だから次回だけだ」
ここまで国王陛下にお願いされて断れる者などいない。戦場とて、国の援助があるから戦えるし生きて帰れる。無下はできないのだ。
「・・・わかりました。一度だけ。私の全力を持ってセルディア王子を守ってみせます」
「そうか。それは助かる。ああ、それと、シザードの後ろにいつもついておるの」
名前すら憶えられていないことに、少しショックを受けたテイリアは声の震えを押し殺して名を告げた。
「テイリア・ヴェティカと申します、陛下」
「そう。テイリア。ほんの少しでいい。セルディアに剣術を教えてくれないか?」
「何よりの名誉。謹んでお引き受け致します」
「うむ。ではこの後、セルディアの元へ案内させよう。シザード、テイリア、下がってよい」
はっ、と短く返事をし、スッと立ち上がるとシザードの後についてテイリアも王の間を出た。スススと出てきた女中が、テイリアを呼ぶ。シザードを一度見、コクリと頷いたのでテイリアは女中の後についていった。
綺麗な花々が輝かしく咲く天気のいい今日。セルディア王子がくだらない自分の我儘で引きこもっていると知ってから、テイリアはセルディア王子に剣術を教えるのが心底嫌な気分だった。しかし、国王陛下に初めて話しかけてもらい、その上名前を憶えてくださり、更には頼みごとまでされてしまっては断る理由がない。ここで断ってしまえば悪い噂が国中に広まってしまうだろう。
仕方ない、と諦めて女中の後についていく。豪奢な廊下を通っていると、女中が止まった。ドアをノックして声をかけた。
「セルディア様。ヴェティカ少将がお越しになられました」
ドタドタと騒がしい音が聞こえた後、ガチャリと勢い良くドアが開いた。揺れる金髪が眩しい。
「おおお!!父上が話を通して下さったのか!!」
セルディア王子とは、精悍な男だった。身長もあり、筋肉もバランスよくついている。人懐こい顔はすぐに親しめそうで、肌は少々日に焼けていた。そしてなによりやる気に満ちている。テイリアとは裏腹に。
「初めまして、セルディア王子。私はテイリア・ヴェティカと申します」
「シザード将軍の息子であるんだろう!!知っている!!」
興奮気味のセルディア王子は任せて、と女中を下げた。
「セルディア王子。まずは部屋に入れさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ。構わない。あ、それと、敬語はよせ。堅苦しい」
途端にむすっとしたセルディア王子はテイリアに椅子を勧め、自分はベッドに腰掛けた。
「で、テイリア。お前は何をするためにここにきた?」
「セルディア王子に剣術を教えるために」
「そうか!!あ、あと、王子はいらない」
どこまでもフレンドリーなセルディア王子を透かして自由を見ているようだ、とテイリアは思った。そう思ってしまうのは自分が自由に生きられない立場にあると自覚しているせいなのだろうか、と内心首を傾げる。
「少し、と言われているのでほんの少し教えるだけです」
「だから敬語、やめろ」
これではセルディア王子の機嫌を損ねることになる、と理解し、渋々テイリアは了承した。
「剣は持っているか?」
「持ってる。毎日練習してるんだぜ、これでも」
「ほう。じゃあ、見せてみろ」
言うとセルディアがなぜか目を丸くしていた。
「なんだ?」
「テイリアって猫かぶるの上手いのな」
言われても嬉しくないことを聞いて、顰めそうになる表情を無理やり動かして、にっこり笑う。
「そんなことないぞ」
「だってオレ、すぐ顔に出るから兄様に引っこんでろって言われたくらいだぜ」
「そうか。じゃあ、部屋を出よう」
「なんで?」
「ここじゃ、危ないだろ」
「全然。広いし。大丈夫だよ」
「オレは蒸れた部屋にいるのは御免だ」
部屋から出ていくと後ろからセルディアが慌ててついていた。
「分かった。外でやるからぁっ」
すたすたと歩いていると、後ろに圧倒的な存在感を感じる。それにテイリアよりもセルディアの方が身長が高いせいか、存在感は一段と増している。少々憤りを覚えるが、そんなことで腹を立てているのも馬鹿らしい。澄ました顔で廊下を歩いていると、通りすがりの女中達が部屋から出てきたセルディアに驚きつつも、テイリアの美貌に頬を赤く染める。
人気のない中庭へ来ると足を止め、後ろへ向く。セルディアも自然と足を止めた。
「じゃあ、ここで剣を構えてみろ」
途端に嬉しそうな顔をしたセルディアが言われた通り剣を構えてみせた。よくできている。誰かに教わったのだろうか?と疑問に思い、聞いてみたところ自分で調べて学んのだと返ってきた。熱心だな、とどこか冷めた自分がいた。
「構えはそれで合っている。敵がいることを想像して剣を振ってみろ」
構えができていても、振り方が違っていれば敵は斬れない。構えと同時に斬り方を学ぶのだからこれができていなければ戦場になど到底連れていけない。
ブンッと振った剣はしっかりと安定していて、足さばきも完璧だ。教えることなど何もないじゃないかと息をつこうとしたテイリアのことをジッと見ているセルディアに気付いたテイリアの顔が曇る。
「なんだ」
「どうだ?」
「ああ、完璧だ。オレが教えることはなにもなさそうだな」
「いや、それでは困る。もっと知りたいことがあるんだ」
「・・・短刀は持っているか?」
「いや、持っていない」
そもそも持つ理由もないか、とテイリアは自分の着ている服の下から短刀の入ったホルダーを外してセルディアに渡した。
「どこか目につかないところに付けておけ」
「何故?」
「日常生活的にお前は無防備だな。普通短刀の一つくらい持っていてもいいと思うが?」
「と言ってもいつも周りに護衛がいるし、隠密の者だってついていると聞いてる。その状況下でそういうことはあり得ない」
「王宮内ではな。戦時下、そうはいかない。獲物があるからと安心する奴もいるが短刀は大切だ。敵が隙を見せた時に止めを刺せなければ意味がない。一瞬の隙だ。獲物では瞬時に動けない時もある。そんな時に役立つのが短刀だ。手先の様に使えるからな。他にも、敵に捕まった時の縄解きとか、獲物が手から離れた時の代理とかな。仲間に知らせる目印とかにも使うが、目印は敵に追われる可能性があるから使うのは薦めない」
「なるほど」
短刀の入ったホルダーをテイリアが着けていた位置と同じ位置に着けたセルディアは嬉しそうに頬笑んだ。
「いや、それにしても、テイリアみたいな人にこうやって教わるのは嬉しいなあ」
「オレなんかよりももっと適任がいただろうがな」
「いやいや、オレはテイリアで良かったよ。同い年っぽいし」
同い年だから安心する、というのも変な話だ。年上にしたって子供っぽい人もるし、逆に年下でも大人びた奴はいる。セルディアの感覚をいまいち理解できず首を傾げるテイリアだが、剣を教えるのも一時。理解しなくても別に構わないだろうと結論付けた。
「本当嬉しいよ。今度の戦にも出ることができるんだし。引きこもった甲斐があった」
戦に行きたいがために引きこもるなどテイリアにとって考えられないことだ。これも、戦場を見てきた者と戦場を見てこないできた者の違いだろうか。
「・・・戦に出る?」
「ん?だってそうだろう?戦に出るためこうやって剣を習って・・・」
「今、お前が剣を習っているのは護身用のためだ。オレはお前が視察に行くだけで戦に参加するとは聞いていない」
「えっ!?嘘だろ」
見るからに落ち込んだセルディアがいきなりバッと顔を上げて顔を輝かせていることにテイリアは驚いた。
「いやしかし、視察しているこっちに敵が来るかもしれない」
なんという切り替えの速さだろうか。
「いや、その時は軍の崩壊時だろう」
するとまたセルディアが落ち込んだ。慰めるという行動はテイリアには皆無。
「我が軍が負けるというのは嫌だな・・・」
それは誰でも同じである。軍の崩壊は国の崩壊。とてもじゃないが、近衛兵だけでは敵国から自国を守り切れない。
「何故そんなに戦場へ行きたい?」
「守りたいから」
間髪入れずにそう返ってきた。きっと今までも同じ質問を幾度となくされてきたのだろう。
「何を?」
「全部」
テイリアは胸の奥でドロリとしたものが広がるのを感じた。
「全部なんて無理だろう?」
かつて自分が守ると密かに心に誓った仲間達が目の前で切斬り殺されていく姿をただ何もできずに見送ることしかできない人一人の弱さを今教えるべきなのだろうか。
「いや、最初から諦めては何も始まらないぞ。無理なんて言っているから何もできないんだ」
ムッとするのは図星を突かれたからだろうか。
「じゃあお前にはできるのか?」
「ああ、やってみせるさ。見とけよ。そんでもってオレの名前を国中に広げるんだ」
第二王子の名を知らぬ者はこの国にいないだろうに、と言おうと思ったがやめた。セルディアの希望に満ち溢れた顔を見ると、昔の自分を見ているようで嫌だった。
「話過ぎたな。剣の素振りをやるぞ」
「おう」
そうして、セルディアの剣の素振りを注意深く見ながら、自分も暇なので素振りをやり始めるテイリアだったが、その素振りを目標回数までやり終わると、セルディアが荒く息をついていることに気が付いた。
体力がなさすぎる。基本の素振りでこうも使いきってしまうほどの体力では戦場では役に立たない。体勢や力の入れ方は間違っていないので、セルディアの体力がなさすぎるということに他ならない。
「今日はここまでにするか」
「お、おう・・・」
「セルディア。明日は体力作りをやるぞ。お前は体力がなさすぎる」
「ああ、今、分かった」
「よし、じゃあさっさとシャワー浴びて今晩の祝杯の準備でもしておけ」
「テイリアは出るのか?」
「出なければヴェティカの情報網が潰れる」
「ああ、そうか。お前も一応貴族か」
嫌そうな顔をしたセルディアだったが、切り替えて満面な笑みを顔に浮かべた。
こう切り替えの早い奴は戦場で生き残れる、と小さなことでも戦場と比べてしまう自分にいい加減嫌気が差すのだが、顔に出さない。
「いいぜ。今日はオレも祝杯に参加しよう」
「じゃあ、また」
「ああ。短刀ありがとうな」
新しいの買えよ、といってセルディアと別れた。
剣の素振りと言っても流石に汗はかく。そうでなくても戦から帰ってきたばかりだ。早く家に帰ってシャワー浴びたい、と思いながら服を着替えた部屋に戻ると女中が一人いた。
「ヴェティカ将軍よりお言葉を預かっております」
「はい」
「解散命令を出した。お前はそのまま屋敷に帰って来い。とのことです」
「了解いたしました」
ピッと女中に敬礼をし、部屋を出た。部屋に置いておいた甲冑その他諸々はどうやらシザード将軍が持っていったらしい。言われた通りそのままの格好で自宅へと向かった。
内容が詰めに詰めた感じですね。
読みにくくてスイマセン。
多分次回からスカスカになると思われますので。