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その声の先へ

作者:N64
水面に映る『少女』のお話。
 その意識は、ゆらゆらと水中を彷徨う。帰る場所をなくした私は一人、水の中に切り落とされた。そのことが、とても哀しい合図だったんだと、私は気づいた。
 あの少女は死んでしまった。答えも得ないまま、死んでしまった。
 なのに、私はここにいる。
 私は、少女のはずだった。少女は、私のはずだった。私たちはただの鏡写しのはずだった。なのに、今私は、自分の意識を確かに持ってる。心を持ってる。あの少女が、一生持ち得なかったものだ。
 それを、今生まれたばかりの私は、既に持っていた。
 なんて、残酷で、理不尽なんだろう。もし、神様がいるなら、もう少しどうにか出来なかったのでしょうか。

 痛覚はない。呼吸も必要ない。だから、声も出ない。ただ、ふわふわとして、この水面に未だに縛り付けられている。
 そこから眺める街の姿は、退屈だった。唯一の住民を失った街は、悲しみに暮れて、涙を流し続ける。朝が沈んでも、ただずっと流し続けた。声も聞こえない。魚もいない。拍手みたいな雨音だけが、街にあるだけだった。
 孤独になった街は、これからどうなるのだろうか。
 私は、そんな途方もないことを考えて、何もできない時間を潰した。

 何日経っただろうか。
 未だに、空は厚い雲が覆って、涙を垂らす。大きな雫は、凶器となって、街を蝕んでいく。きっと、街の存在理由はなくなったから、消えようとしているのだろう。残念だけど、私に止めることは出来ない。それがこの街の、選択だから。
 でも、やっぱり残念だ。
 きっと、この街も愛されたかったはずだ。

 街が溺れていく。
 あの少女が流されていく。あのまま、どこへいくのだろうか。死体すらも、消えないなんて。せめて、それが水葬のようになることを、ただ祈るばかり。
 声のでない私には、泣くことも、叫ぶことも出来ず、ただ祈るだけだった。

 酷く、悪い夢を見た。
 眠る、起きるの区別のない私でも夢を見るのだな、とどうでもいいことを思いながら、夢の内容を思い起こす。すると、不思議なことに内容までは覚えていなかった。ただ、悪い夢、という感想だけが宙ぶらりんで残っていて、違和を感じずにはいられなかった。私にとって、所詮その程度だったと言うことだろうか。
 どちらにせよ、悪い夢の内容なんてさして重要じゃない。重要なのは、悪い夢を見たことなんだよ。

 街は沈んだ。
 未だ私は水面に縛り付けられている。
 誰もいない世界。私はずっとこの場所にいる。
 なんて残酷で、理不尽なんだ。あの少女に心を与えなかったのも、私に心を与えたのも。全て、この為だったのですか。神様なんて、本当はとても悪者なのかもしれない。
 でも、お願いします、神様。
 どうか、私を殺してください。
 返事がない明日が来ても、私にはどうすることも出来ません。
 だから、お願いします。
 私のことを今すぐに殺して。明日が来て、また絶望が始まる前に。
 殺して。
童話によくある教訓やら、ストーリー性は皆無なこの文章はどうしたものでしょうか。

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