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セクロスのできるVRMMO ~正式サービス開始編  作者: curuss


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女性用品店――5

「……良く見れば灯ではありませんか。灯は小学生だったのですか? ……私、タケルさんの方針に口を挟むつもりはありませんでしたが……小学生は如何なものかと」

「やっぱり……タケルさんは付いている方が……」

 ネリウムはなぜか説教を始めるし、アリサは変なことを口走りだすし……収拾がつかなくなってきた。

「心外だ! いいですか、古来より日本には幼女を愛でる風習があるんです。そう源氏物語にも書いてある! それに俺は二次元以外は認めない保守派です!」

 ……嗚呼、違う。こんなことを力説してどうするんだ、俺。

「それは……気持ち悪いですよ?」

「タケルさん……ロリコンは病気ですから……地道に治療を……」

 案の定、アリサとネリウムにドン引きされた。……女はロリコン的な考えに厳しいからなぁ。

 それに架空の……漫画やアニメで愛でるのと、現実の児童が恋愛対象なのは全く違うことを理解してくれない。……これは話すだけ無駄か?

「だいたい、こいつは灯じゃありません。灯の妹ですよ。その……ベースアバターを乗っ取られた方の」

 男と女の深い溝は、俺なんぞでは太刀打ちできない。大人しく話を脱線から戻した。

「初めまして、カガチです。あの……お兄ちゃんが色々とやっちゃったみたいで……ごめんなさい」

 良いタイミングでカガチが自己紹介をした。謝ることはないと思うが……そんな態度をとられれば、こちらも優しく接するしかなかった。

「ふむ……なるほど。灯とは別人のようですね。私はネリウムです」

「そ、そうみたいですね。……私はアリサエマよ。よろしくね、カガチちゃん」

 と二人も自己紹介を返す。ネリウムはいつもの感じだが、アリサは子供に優しいタイプのようだ。意外とは思わなかったが……なんだか新鮮な気がする。

 うん、まあ……とりあえずは落ち着いたし、これからどうするか考えられるな。そう思った矢先に――

「綺麗な人だね! ……タケルお兄ちゃんの彼女?」

 なんて爆弾発言をかましやがった!

 ……子供は空気を読まないから嫌いだ!

 ネリウムは何が楽しいのか満面の笑みだし……アリサはなぜか真剣な顔で俺に注目している。

「な、なにを馬鹿なことを……お、お前は知らないかもしれないが、俺は『RSS騎士団』の一員なんだぜ? い、言わば硬派! 硬派ってやつなんだよ! そ、それに彼女呼ばわりだとか……そんなの…………二人に失礼だろうが」

 と、判り易く説明してやったが――

 ネリウムは鼻で笑うし、なぜかアリサはへそを曲げた。

 ……みんなは知らないだろうが、アリサは怒ると怖い。いつでも気立ての良い女なんて、そんな簡単な性格じゃないのだ。普段、素直で大人しめな分……怒ると大変なことになる。

「とにかく! いい加減に離れろ! 鬱陶しいだろうが!」

「いーやーだー!」

 目先を変えるべく、もう一度引き剥がそうとしたが……頑として離そうとしない。また遊んでくれたと思って、大喜びしやがるし――

「なんだ……タケルお兄ちゃんは彼女もいないんだね。可哀想……カガチがタケルお兄ちゃんの彼女になってあげようか?」

 なんて馬鹿なことを言い出す。

 もう、多少泣かれてもいいから、強く叱りつけるか?

 しかし、そこでアリサが諭してくれた。

「……ね、カガチちゃん? タケルさんが困っているから……そろそろ離れよ?」

 相変わらず何かに怒ったままなのが、俺には判る。それでも表面上は笑顔を作っているのはさすがだ。

 まあ、子供することだ。大人が八つ当たりするなんて――

「やっ! タケルお兄ちゃんはカガチのにする!」

 カガチはそんな風に逆らい、さらに強く抱きついてきた。

 いますぐ止めろ!

 理由は解らないが、アリサはカンカンに腹を立てている。そんな状態のアリサに逆らうなんて、自殺行為に等しい! 俺にもとばっちりが来るだろうが!

 助けを求めてネリウムを見てみれば――

「これは……逸材? 磨けば光るのでしょうか? ここは一つ教育を施して――」

 などと、意味不明のことを呟いている。駄目だ。あてになりそうもない。

 その僅かに余所見をしていた間に、アリサは手に持った杖で自分の影を突いていた。サーバントを呼びだす仕草だ。正気か? 街中だし、相手は子供だぞ?

 いつもは気だるそうな態度のクロなのに、なぜか俊敏な動作で躍り出てくる。

 と、止めなきゃ! なんだってアリサはこんなにも不機嫌なんだ?

 だが、そう思った俺が動く前に、カガチが動く。

「にゃ、にゃんこだぁ!」

 そう言って俺から離れ、クロに抱きついてしまった。

 ……まあ、普通はそうか。街中だもんな。俺が変に気を回しすぎただけか。

 ようするにカガチは、どこまでいっても子供だ。目先を変えてやれば、それに飛びつく。子守と一緒で、適当に遊ばせていればいい。

 子供をあやすのが上手いな、そう思ってアリサを見てみれば――

 ……まだ怒っていた。

 ニコニコと笑っているが、俺には判る。あれは怒り心頭に近い状態だ。それはそれ、これはこれということなんだろうが……どうしたものか。

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