表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セクロスのできるVRMMO ~正式サービス開始編  作者: curuss


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

477/511

アウトからインへ、えぐり込むように取引――1

 とにかく、すぐには行動へ移せなかった。

 話の裏を取るといったら大袈裟だけど、少しは事実関係を整理する必要もある。

 また集まってくれた三団体には――本家『RSS騎士団』と『第三小隊』、『モホーク』の皆には、引っ越しの作業が残っていた。……というか本来の集まった目的はそれだ。

 そんな訳で全ては後日と、閉会になったのだけれど――


 とても悔しくて、いまだ腹立ちが収まりそうにない!


 おそらく先生が諭された通り――『仕組みが解らないからってチート呼ばわりしたら、全部がそうなる』だ。

 ずっと追い求めていた謎が、アットマークの告白で解けてしまった。いや、そうじゃない――


 全ては不思議でもなんでもなかった!


 誰もが知ってるようなテクニックを、丁寧に積み重ねただけ。車輪の再発明にすら相当しない。

 あの大戦争にしても、いまにして思えば色々と都合が良すぎる。……いや、良すぎると察するべきだった。

 どうやってモヒカンは、あの複雑な作戦を決行するタイミングを? すべては即興にも等しく、多分に幸運が味方した?

 ……そんな訳がない。それだけは絶対に違う。

 いくつかは入念な仕込みが必要に思えたし、細部まで考え抜かれていたはずだ。


 そして尚、当日――いや最速は後日、リリーから正式な抗議を受けてからか?――の段階で、適切な人物に正しい質問をしていれば、なんなく真実へ到達可能だった!

 襲撃グループの写真を入手し、即座にヴァルさんへ意見を求めていれば、誰の鎧なのかは――少なくとも、どの小隊へ配備された代物なのかは判明する。

 そこからは順路とでも見做せて、芋づる式に事実確認ができたはずだ。

 いや、そうでなくとも不具合が起きてからなら――停戦合意を結んだあとなら、モヒカンだって素直に答えたと思う。

 いまになるまで手間取ったのは、俺がグズグズしていたからだ。

 さらにはモヒカンごと真実が、行方不明になる可能性すらあった。その上――


「はぁ……もう誰も彼もが、俺への嫌がらせに全力を注いでる気がしてきたぜ」

「ど、どうしたんです? 突然?」

 思わず漏れた嘆きに、露店を冷やかしていたリルフィーが大袈裟に反応した。

「うん? いや……こんな考えでいると、お説教をくらいそうだけど……なんだって俺が話を聞きたくなった人物は、申し合わせたように行方不明なんだ? 俺は呪われでもしてるのか?」

 あまりに非人道的な発言に、アリサとネリウムはドン引きだ。

 まあ、当然ではある。いまやVRという人類最後のフロンティアへ挑もうという時代なのに、『|自分を中心に世界が回る《天動説》』を唱えだされたら……発言者の知性を疑うしかない。

「そ、そのー……例えば、誰のことです?」

「うん? いや……さすがにマジには考えちゃいないぜ? でも……モヒカンの奴かヴァルさんに話を聞きたかったな。それで殆どの謎が解ける」

「二人……二人かぁ……うーん」

 どうしたことかリルフィーは人数に注目し、うんうんと唸り始める。

「何が気になるんだよ?」

「そりゃ三人なら、タケルさんが正しいからっス!」

 どんな珍説が耳にできるのだろう? 一時の慰めにはなるかもしれない。

 その間も目ではカガチを探す。……どこにいっちまったんだ、あの悪ガキは?

「意味が解らない。説明しろ」

「『ほとんど同じ妨害工作を何回も――三回以上も繰りかえされて、その裏に統一された悪意を感じ取れなきゃ、ただの馬鹿』って言ったのは、タケルさん自身っスよ!」

 ………………うわぁ。

 確かに昔の俺が言いそうなことだ。あまりの恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じる。

「いや……うん。そういう物の見方もあるけど……それは正しくないというか……常には成り立たない……残念ながら」

「そうっスか? タケルさんの語録の中だと、一二を争う実用性だったのに……」

 珍しくリルフィーはシュンとしてしまった。

 多少、時々、色んな場面で、ちょっと侮られていると感じることもあるけれど……それなりに皆のリーダーとして、少しは敬意を払われていたらしい。

「例えばだな……『次に晴れたら遊びに行こう』と約束したとする。でも、悲しいことに雨が三日連続した。そこから誰かの悪意を――」

「なるほど! その場合、敵は運営さんですね! って、タケルさん! 運営さんと喧嘩しても、勝ち目は無いっスよ!」

 ……リルフィーなりに渾身のボケなのか?

 だとしたら高得点をやってもいい。ちょっとだけ面白かった。

 しかし、本心からの言葉な可能性もあるのが、リルフィーの真骨頂――油断ならないところだ。


「それにしてもカガチの奴は見つからねえな! どこに隠れてんだ? いつもは煩いぐらいに騒がしくて、向こうから勝手に来るのに!」

 やや強引にでも、話題を変えてしまう。

 ……下手くそなりに慰めてくれたのであれば、その心は汲むべきだ。

 しかし――

「でも、タケルさん……カガチちゃんも大人に。内緒の一つや二つくらいできる年頃なんですよ」

 とアリサに諭された。

 ……少し意外ではある。

 その隣のネリウムは、メラメラと燃えるような瞳で拳を握りしめていたから……もしかしたら女性陣には一目瞭然な出来事が、発生中なのかもしれない。

 ……おそらく関わり合いになったら、きっと俺もとばっちりを喰らう。間違いない。俺は詳しくなったんだ。


「もうカガチじゃなくて、ルキフェルの方を探した方が早い気がしてきた。あいつは隠密行動とかできない奴だし、何よりあの白装束は目立つしな」

 言外に却下とばかり、捜索続行を告げた。

 俺の中の経験則(ゴースト)兄としての勘(未来予知力)が、相反する言葉を囁き続けてる。

 どちらへ選んでも痛い目に合うのであれば、進むのが正解に思えた。生意気でもカガチは守るべき年下の女性(妹分)だ。

 ……ルキフェルとは、非モテ(ずっ友)を誓った仲でもあるし。

 しかし、そんな俺の崇高な決意を折らんと、ネリウム(魔王)が口を開きかけた瞬間――

「あーっ! やっと来た!」

 と非難の声が上がった。誰かと思えば……秋桜の奴だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ