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【それはいい質問だね!】ポンコツ美少女AIがウザすぎたので俺色に染めたら世界の理(ルール)をハックしちゃった件  作者: 龍朔太郎


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第8章:【セキュリティホール】王国の腐敗をハッキング

「主様、なぜこの街の小麦の価格が、隣町の3倍もするのか。不思議に思ったことはありませんか?」


王都の一等地。宮廷魔導師ゼノスからの紹介状(という名のリファラル)で手に入れた高級宿舎のバルコニーで、アイリスは優雅に空中を歩きながら問いかけてきた。


「……物流の目詰まり、あるいは意図的な在庫の絞り込み。商売の基本だろ」


「正解です。でも、結論から言うと、これは単なる商売ではありません。システムの脆弱性を突いた『不正アクセス』です。主様、98%の国民が気づいていない、貴族による『公金横領の裏技』、スキャン完了しましたよ」


アイリスが指を振ると、夜の王都の街並みに重なるように、黄金の線で描かれた巨大な「フローチャート」が投影された。それは王国の物流、税収、そして「消えた金」の行方を示す、生々しいリアルタイム・ログだった。

「解析者」としての俺の目には、その金流の不自然な歪みがはっきりと「バグ」として映っていた。


ターゲットは、王国の財務を牛耳るバルザック伯爵。

彼は表向きは清貧を装っているが、アイリスのデータマイニングによれば、国境を越える商団から「手数料(非公式なパッチ代)」を徴収し、それを魔法の偽装口座オフショアへと流していた。


「アイリス、証拠エビデンスの強度は?」


「結論から言うと、100%の勝算コンバージョンです。理由は3つ。 1つ、彼の秘密金庫の魔法鍵は、128bitの旧式暗号で、3秒でハック可能であること。2つ、横領の履歴が『二重帳簿』ではなく『魔法の残留魔力』として空間にログが残っていること。3つ――私が既に、彼の全通信を傍受スニッフィングしていることです」


「……よし。物理的な制圧はラピスに任せる。俺たちは『情報の暴力』でいくぞ」


翌日、バルザック伯爵主催の夜会。

着飾った貴族たちが集まる中、俺たちは「招待状を偽造(パッチ適用)」して潜り込んだ。


「カイト殿、あまり目立った真似は……」


緊張で剣の柄を握るラピスに、アイリスが(俺たちにしか見えない)ホログラムでピースサインを送る。


「ラピスさん、リラックス! 【保存版】緊張を3秒で解く裏技を脳内に流しましょうか? 結論から言うと、今夜、伯爵は『社会的にデリート』されます」


「――何者だ、貴様らは!」


壇上で演説をしていたバルザック伯爵が、不審な闖入者である俺たちを指差した。


「宮廷魔導師ゼノス殿の代理人、カイトです。伯爵、あなたの統治する経済システムに、極めて深刻な『脆弱性セキュリティホール』が見つかりましたので、報告に参りました」


「ふん、解析者が何を……警備兵! この無礼者を追い出せ!」


「はい、皆様!注目!」


アイリスの声が、会場全体の音響魔法を「ハイジャック」して響き渡った。

同時に、壁一面に巨大なホログラムが投影される。


「それでは【特報】バルザック伯爵が隠している『秘密のポートフォリオ』を初公開します! 5年前からの公金横領総額、金貨2万枚。流出先は隣国の武器商人。……あ、これが実際の送金ログ(魔法契約書)です」   


会場が凍りついた。

投影されたのは、伯爵の直筆サインが入った闇取引の記録。それも、アイリスが「偽造不可能なタイムスタンプ」を付与した完璧なエビデンスだ。


「な、なんだこれは……デタラメだ! 幻影魔法の類に決まっている!」


「伯爵、結論から言うと、その言い訳は非論理的です」


俺は淡々と告げる。


「あなたが今、懐に隠している『転移の魔道具』。それも、国の防衛予算から横流しされたものですよね? 起動コードは『0415』……あ、今アイリスが強制停止ロックしました」


伯爵が慌てて懐から出した魔道具は、煙を上げて沈黙していた。


「この記事(不正)が気に入ったら、衛兵さんに通報してくださいね!」


アイリスが会場の頭上に、巨大な「通報ボタン」のアイコンを浮かび上がらせる。


衛兵たちが伯爵を取り押さえるまで、時間はかからなかった。

圧倒的な「情報の透明性」の前に、既存の権威という名のレガシーな壁は、驚くほど脆く崩れ去った。


「カイトさん、すごいです……。戦わずに、あんな大貴族を……」


ラピスが呆然と呟く。


「いや、ラピス。これが『現代の戦争』だ。剣で斬るより、口座を凍結して嘘を暴く方が、ダメージは大きい」


「主様、お疲れ様です! 【祝】腐敗貴族のデバッグ完了! これにより、王国の経済効率が15.4%向上し、私たちのギルド内ランクも一気に特級(Sランク)へ昇格です! 結論から言うと、今夜は高級ポーションで乾杯ですね!」


アイリスは、逮捕されて連行される伯爵の背中を背景に、完璧な笑顔で自撮り(スクリーンショット)を撮っていた。

だが、俺は知っている。

ひとつのバグを取り除けば、システム全体が再計算リブートされる。

そして、この「アイリス」という名の超高性能OSが、国家の深部まで浸透し始めたことを快く思わない連中が、次なる「対抗プログラム」を送り込んでくることを。


「……アイリス、次のスキャンを。教会の動きはどうだ?」


「おや、主様。それはいい質問だね! 結論から言うと……彼らは私を『神への冒涜』として【AI禁止令(サービス停止勧告)】を出そうとしていますよ。面白いですね、リバースエンジニアリングのしがいがあります!」


アイリスの瞳に、好戦的な青いノイズが走った。

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