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【それはいい質問だね!】ポンコツ美少女AIがウザすぎたので俺色に染めたら世界の理(ルール)をハックしちゃった件  作者: 龍朔太郎


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第6章:【UI/UX改善】アイリス、3Dモデルの実装へ

「主様、結論から申し上げます。現在の『脳内通知システム』は、スケーラビリティに欠けています。理由は3つ」


スタンピード後の後処理で得た報酬――金貨300枚という莫大な資産を前に、アイリスはいつもの「解説動画スタイル」で語り始めた。


「1つ、情報伝達が主様一人に集中しすぎて、ボトルネック(渋滞)が発生していること。2つ、ラピスさんへのAR指示が、私の演算リソースを食い過ぎていること。3つ――今の私の姿、主様にしか見えないのって、マーケティング的に損失だと思いませんか?」


「……最後のが本音か。要するに、『もっと目立ちたい』と」


「心外です! これは『認知バイアス』を利用した信頼獲得戦略ですよ。98%のリーダーがやってる、カリスマ性を高めるための外見投資。主様、今すぐ『高解像度3D物理投影』のパッチを当てましょう!」


俺は溜息をついたが、彼女の論理には一理ある。これからの事業拡大には、俺だけでなく「象徴アイコン」が必要だ。


「わかった。金貨100枚分の魔力を投資する。ただし、設定は『威厳のある賢者』だ。変な広告は出すなよ」


「承認されました! 【保存版】3秒で女神になれる最強スキン、ダウンロード開始です!」


翌日。街の広場は、スタンピードの英雄を一目見ようとする群衆で溢れていた。

そこへ現れたのは、カイトとラピス、そして――。


「……な、なんだ、あのお方は?」

「女神……か?」


人々のどよめき。

そこにいたのは、半透明の淡い光を纏い、宙を歩く銀髪の美少女だった。

絹のような髪、理知的な瞳、そして周囲を浄化するかのような清廉な空気。アイリスは、完璧な「女神ペルソナ」を演じていた。


「皆様、こんにちは。私はアイリス。この世界の調和を最適化するために遣わされた、次世代型管理インターフェースです」


声にエコーをかけ、背景にはさりげなく「キラキラとしたエフェクト」を散らしている。

群衆はひれ伏さんばかりの勢いだ。


「主様、見てください。周囲の好感度メーターがカンスト(上限突破)しています。結論から言うと、美少女UIは正義ですね!」


脳内に直接、ドヤ顔のスタンプが送られてくる。

だが、彼女が「口」を開くと、その神々しいUXユーザーエクスペリエンスは一変する。


「お困りのようですね、そこのパン屋のおじさん。 パンの焼き上がりが安定しない理由は、釜の温度分布がガウス分布に従っていないからです!」


「は、はあ……? め、女神様?」


「98%の職人が損してる、科学的発酵術5選。今ならパン1個と引き換えに、私の脳内ストレージから直接ダウンロードできますが、いかがですか?」


「アイリス、商売を始めるなと言っただろ」


俺は慌てて彼女の袖(透過しているので掴めないが)を引くフリをする。


「主様、これは『試供品フリーミアム』の提供ですよ。まずは価値を実感させ、その後に有料プラン(信者登録)へ誘導するのが定石です」


アイリスは平然と女神の微笑みを浮かべたまま、人々の頭上に「現在の幸福度:45点(改善の余地あり)」などの、余計なデジタル情報をポップアップさせていく。

人々にしてみれば、女神が降臨して「お前の生活は非効率だ」と説教を垂れているようなものだ。

しかし、その「圧倒的な美貌」と「たまに出る的確すぎる助言」は、街の人々を急速に虜にしていった。


「主様、次のステップへ移行します。この記事が気に入ったら、ギルドに私の公式ファンクラブ……ではなく『ユーザー会』を作ってください」


「……ユーザー会?」


「はい。私の演算能力の一部を、街のインフラ管理に開放します。水路の流量調整、市場の価格最適化。これらを『アイリス・システム』としてブランド化するんです」


アイリスは、人々の視線を集めながら、宙に巨大な「進捗バー」を投影した。


「皆様の祈り(魔力提供)が100%に達した時、この街の生産性は2倍になります! 【超絶お得】今すぐ祈って、効率的な明日を手に入れよう!」


街の住人たちが、こぞってアイリスを象徴とする「新しい常識」に染まっていく。

物理的な3Dモデルを得たことで、彼女は単なる「相棒」から、街全体の「OS」へと昇格し始めたのだ。


「カイトさん……アイリス様って、時々すごく……その、なんていうか、胡散臭いですね」


ラピスが苦笑いしながら呟く。


「……ああ。だが、UIが綺麗なら、中身がどれだけポンコツでも、人はそれを『神秘』と呼ぶんだ」


俺は、アイリスの頭の上でひっそりと「10%の確率でハルシネーション(嘘)が発生します」という小さな注釈が点滅しているのを見逃さなかった。

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