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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第四章 起業

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4―2 製品とセキュリティについての話

 新型MPUは底面に2048、側面1に1024,側面2に2048、側面3に1024,側面4に2048、上面に2048の合計10240の外部接続端子を備えている。

 但し、このうち64ビット版OSで使用するのは底面のみであり、他の側面端子群及び上面端子群はカバーを被せて使用できないようにしてある。


 これら予備の端子群を利用するためには、これまでとは全く異なるマザーボードを構築する必要があるし、新たなOSが必要となるわけで、うちではその新たなOSを目下検討中というわけだ。

 本来の内部素子は、これまでの素子と違って二次元平面ではなく、三次元で構成されており、なおかつ、1ビットは従来の二進数ではなくって、三進数である。


 従って、1バイトは0~15(F)ではなく、0~6560になるはずだが、従来型のOSを展開できるようにするために、特殊な仮プログラムで疑似的な二進数空間に置き換えているために、どうしても本来の性能よりは計算速度は極端に遅くなっている。

 それでも、現在、世界最高峰のMPUの10倍程度は早くなるんだぜ。


 この新型MPUに適合するOSができたなら、おそらく既存のOSは駆逐される可能性が高いだろうね。

 1970年代半ばに登場した8ビットマイコンと現状で最速の64ビットパソコン程度の差が有るはずだから、仮に値段が十倍になっても購入する人は居ると思うよ。


 ビジネスでもホビーでも快適な動作が可能なはずだ。

 もう一つ大事なことは、このMPUには1エクサバイト(≒100万テラバイト)のメモリーが内蔵されていることだ。


 製品になった場合、ハードウェアとしての記憶装置は不要なんだけれど、セキュリティ対策上のバックアップ用メモリーは必要かもね。

 必要に応じて大容量のメモリーチップもそのうちに造ることを考えておこう。


 仮に従前の外部記憶装置をとりつけるとしたなら、アクセスに時間を取られて作業が進まないことになりかねないからね。

 ウチのMPUを入手したメーカーは、先ずこのMPUを乗っけるためのマザーボードを設計しなければならないんだ。


 既存のマザーボードは役に立たないからね。

 一応、底面の外部端子に接続するために必要な技術情報は、製品に付属するトリセツに記載してあるから、それなりのマザーボードは作れるんじゃないかと思うよ。


 少なくとも俺が大学在学中に試験的に無料で配布した試作MPUについては、各社でテスト基盤を制作してテストを重ねたらしいからね。

 試作段階でも、一応、既存のOSが倍以上の速度で走ることは確認済みのはずなんだ。


 それらの企業が先行してマザーボードを製造すれば、他の会社も相応に工夫して製造するだろうと考えているんだ。

 因みにグラフィックス機能も内蔵していて、4K解像度でリフレッシュレート480Hzの化け物だ。


 さらに、音源モジュールやLAN機能もMPUに内蔵しているから、MPU単体でほぼ他のボード関係が不要になる筈。

 特徴的なのは電力消費量が少ないことだ。


 消費電力は64ビットでは20ワット未満だから、MPUの厚みさえ気にしなければ、モバイルコンピューター用としても使えるはずだし、何より発熱量が少ないんだ。

 因みにMPUのサイズはL60mm×W50mm×H40mmになっている。


 但し、MPUの40mmの厚さは流石に薄型のNote-PCには組み込めないから、持ち運びには不便かもしれないな。

 尤も、MPU部分と他の機器(例えばモニター、キーボードなど)を分離してBluetooth等で接続すれば意外とコンパクトにはなるかもしれない。


 発熱に関しては、普通のノートPCでも50度以上の熱風(機種によっては60度を超える?)が本体から吹き出て来るのは当たり前なんだが、このMPUを使った製品は、他の周辺機器の搭載状況にもよるけれど、40度C以下の発熱にとどまるはずだ。

 少なくとも俺が試作的に造ったPCでは、過負荷をかけた状態でMPU上面での最大温度が38度Cだった。


 この温度だと、体温としては高いけれど、手で触れてちょっと熱いかもしれないと思う程度だろう。

 お風呂で38度Cのお湯はぬるま湯に過ぎないだろうからな。


 俺は、風呂に入るときは40度以上にしているし、場合によっては42度に設定している場合もあるんだぜ。

 風呂の話は別として、発熱と電力消費量については、飽くまで従来型のOSを使って64ビットで稼働している時の状態なんで、正規の256ビットで稼働するとなれば、やはり60度C前後にまで上昇するのじゃないかと予想しているけれどね。


 因みに、ウチのMPUに貴金属は多少使用しているものの、所謂レアアースは使用していないんだぜ。

 基本的に花崗岩から抽出できる成分が主な素材であって、配線部分にも金(Au)なんかは使っていないんだ。


 前にも説明したかもしれないが、俺の能力で物質の電気抵抗を下げることができるからな。

 それを配線素材に使っているから、仮に分解したところで素材から役割を判断することは絶対にできないはずなんだ。


 彼らが知っている金属とは性質が異なっているんだから確認の仕様が無いだろう。

 おまけに非常に細かい3Dプリント配線だから、電子顕微鏡で見ても簡単にはわからないほどの回路だし、なおかつ立体構造になっているから、分析するにはまず10年単位の時間が必要だろうね。


 営利を求める企業がそんな悠長(ゆうちょう)な分析に予算を投入するわけもない。

 そんなことをするぐらいなら、企業スパイやら、非合法な手段で製造機器や企業秘密を入手しようとするだろうね。


 あるいは、開発者である俺を狙ってくるかもしれないんだが、そいつは守護霊の黄さんの仲間達が色々と動いてくれていて、今でも現実に二社ほど非合法活動をする関連会社の活動を秘密裏に潰してくれているよ。

 詳細は知らされていないんだが、ある日突然、関係者が消息不明になっているらしい。


 そんなのが二度三度と続くと、流石にその上部組織も手を引くようだね。

 今のところ、俺にも家族や親しい友人等にも直接の被害は及んでいない。


 仮にそんな被害が現実に起きるようなことが有れば、物的証拠が有ろうが無かろうが、当該関連会社を俺が物理的に潰してやるつもりだ。

 会社のビルや工場の構造素材を変質させて、根こそぎ崩壊させるとともに、被害をもたらした事案に関係する人物達の息の根を止めることも辞さないぜ。


 政府や捜査機関が動いたって、何が原因か絶対にわからないようにしてみせる。

 余り、そんな力を発動したくはないから、極力自制はするつもりではいるよ。


 でも、それにだって限界が有るのは間違いないんだ。

 なまじ俺に能力が有るだけに、きっと抑えきれないだろうな。


 ◇◇◇◇


 事業所内のセキュリティにより、少なくとも3枚の強化された隔壁と出入り口ゲートで外界から遮断された事業所内の俺の工房には、64ビットの従来型OSを搭載した自作PCが稼働している。

 こいつも例によって、イントラネットだけにつながっているPCだから、外部からハッキングの恐れは無いんだ。


 但し、事務室の最奥部においてある4台のPCは外部から見た時にダミーとするためと、メール受信のためにインターネットに接続しているんだが、ここのところ結構なハッキング攻撃を受けているようだ。

 システムエンジニア(SE)一条(いちじょう)欣也(きんや)が結構大変みたいだ。


 一番重要なのは顧客情報なんで、暗号フィルターにかけて保管しているんだが、顧客が使っているプロバイダーサイドでメールを抜かれてしまうのは防ぎようがないみたいだ。

 ウチでの当該データは、一旦ポータブル・ストレージに保管してからイントラネットに読み込ませているんだ。


 手間がかかるけれど、インターネットからのハッキングを防ぐ、一つの方法ではある。

 このポータブル・ストレージは特殊なプログラムが組み込まれていて、事業所構内での移動を監視できているし、事業所内にある特定のPC以外では作動しないようになっている。


 構内のセキュリティソーンから、このポータブル・ストレージが出るようなことが有れば警報が鳴ることになる。

 また、事業所で使用されるPCもこのポータブル・ストレージ以外の外部記憶装置は受け付けないようにしているんだ。


 それもこれも、ハッキングやデータの盗難予防のためだ。

 仮に、泥棒君が運よく事業所内に侵入出来ても、使用者が限定されているPCは使えないだろうし、PCを分解してストレージを抜き出しても暗号化されているのでデータは取り出せない。


 因みに無理にストレージを外して、別のPCにつなげば5秒で発火し、溶解することになる。

 数千度にも達する高温だから火災が起きても不思議じゃないし、そんな場合には、発火する前に凶悪なマルウェアを当該PCに移設するから、そのPCが火災を免れたにしても使用不可になるだろうな。


 ◇◇◇◇


 年が明けて、新型MPUの販売開始から概ね三か月後になったが、在庫の半分にあたる10万個以上のMPUが(さば)けた。

 黄さんの情報では、マザーボード大手の台湾メーカー四社が、既にマザーボードの製品化に成功したようだ。


 そのために四社で6万個を超える受注が新たに入ったんだ。

 今のところ、受注を受けて発送した製品で、初期不良等のクレームがついたものは皆無だ。


 尤も、エンジニアのトリセツの読み込み不足と理解不足で、過大な電流を流して破損したケースもあったようだが、きちんと安全係数を見込んだ製品にしているので、重大な事故は無いようだ。

 台湾メーカー4社は、そもそも従来のI社、A社のMPUを搭載できるマザーボードで実績があるし、ウチのMPUを搭載した産業用のMPU組み込みマザーボード (Embedded Motherboard)を半月後には揃って売り出すみたいだな。


 今盛んにインターネットで宣伝を行っているよ。

 同時に個人向け用に新型MPUを搭載していないマザーボードも試作はしているらしいが、何せ新型MPUの種類が一つしかない現状では、販売先が余り見込めないことから今のところ売り出しは手控えているようだ。


 今後、ウチが同じ規格でマイナーチェンジをしたり、種類を増やしたりすれば、秋葉原や大阪日本橋の電気街等がウチのMPUの小売販売を始めることも可能となるから、あるいは自作パソコン愛好家に売れるかもしれないね。

 いずれにしろ、在庫20万個の内の半分が捌けたことから、さらに10万個を生産するために、新型MPUの生産ラインを再稼働させたよ。


 当面は10万個の生産予定なんだが、今後の売れ行きによっては増やすかもしれないな。

 いずれにしろ、この3月には起業から半期の決算をして、従業員等のベースアップをしなければならないな。


 既に売り上げから言うと減価償却も含めて負債はゼロだから、優良企業の一つにはなっているとは思う。

 取り敢えず、4月以降の新体制のために、人材確保にも動く予定にしている。


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