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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第三章 大学生活

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3-8 打ち明け話 その二

 車の中での俺と梓ちゃんの会話が続いている。


「でも、そんな話とても信じられないような話だけれど・・・・。

 何故、今になって私にそんな話を?

 だってよその人には話していないんでしょう?」


「あぁ、政府関係者や外国の人には特にね。

 でもうちの家族には明言はしていないけれど、モンスターの討伐者が俺だって言うことは知られているけれど、外には漏れていない。

 本当は、梓ちゃんにも内緒にしておくつもりだった。

 でも、周囲の状況が変わったからね。

 多くの人が困るような事態が起きつつある。

 だから、梓ちゃんにも打ち明けた上で、できれば手伝ってほしいなと思ってね。」


「手伝うって、まさかモンスター退治?

 私は普通の大学生で、何も特殊な能力なんかないわよ。」


「もうモンスター退治は、九分九厘無いと思うけれど・・・。

 梓ちゃんも知っているでしょう?

 カザフ出血熱のこと。」


「ええ、カザフスタンで発生した未だに治療法が見つかっていない病気ね。

 それがどうかしたの?」


「日本政府も、当該感染症の恐ろしさを知っているから、各種研究機関にオーダーを出しているけれど、あの病気が、モンスターの持ち込んだ病原体だと言ったらどう思う?」


「え、・・・・。

 そんな話が出ているのかしら?」


「梓ちゃんが守秘義務の契約書にサインをしたかどうかは知らないけれど、K薬科大学にも国の研究機関からのオーダーで、特殊な薬剤の開発のオーダーが来ているよね。

 君のゼミの担当教授である山下博士がそれを請け負っている筈。」


 梓ちゃんの顔が一瞬青ざめた。


「どうして、そんなことを栄一郎さんが知っているの?」


「さっきも言ったでしょう?

 僕には鑑定の能力が有るって。

 他にも能力が有ってね。

 家に居ながらにして、あちらこちらの情報を集められる。

 僕の守護霊がネットワークを持っていてね。

 支障のない範囲で色々と調べてくれるんだ。

 だから山下教授が、現在、何を調査研究しているのかも知っている。

 梓ちゃんがゼミ生としてそのお手伝いをしてることもね。」


「まさか・・・・。

 山下先生の研究は大切なものなのよ。

 仮に栄一郎さんがその内容を知っているとしても、外部には絶対漏らさないでね。」


「その点は安心して大丈夫だよ。

 僕も(すね)に傷持つ身で、半分政府のお尋ね者になっているからね。

 余計なことにまで首を突っ込んだら、それこそお縄になっちゃうよ。

 ただね、現在政府が懸念しているのは、自然発生したとは思えないモンスターが危険な病原体やウィルスを異界から持ち込んでいないかどうかということなんだ。

 阿蘇山の黒龍や石垣島の飛竜が退治されて既に二年半近くが経っているから、かなり危険性は薄れているけれどね。

 でも実際にモンスターが討伐された後のカザフスタンで、カザフ出血熱が見つかった。

 だから、阿蘇山で退治された黒龍と、石垣島で退治された飛龍については、特にその体内から見つかった未知の原生物や酵素それに病原体に危険性が無いかどうか確認をすることを急遽調査範囲を拡大して推し進めているんだ。

 K薬科大学の|バイオ・セーフティ・レベル《BSL》―3のラボは、まさにその研究をするために造られた施設だよ。

 因みに施設の建造費のほとんどは国が出しているしね。

 で、肝心の話だけれど、僕も退治したモンスターのサンプルを用いて、危険性のチェックを行っているんだ。

 無論、日本じゃ危険すぎるから、国外の無人島の地下に研究施設を造って、そこ限定で研究調査している。

 肝心の話はね。

 梓ちゃんにも手伝ってもらいたいってことなんだ。」


「私に?

 それは無理じゃないかしら?

 だって、私は薬学生としてもそもそも半人前だし、病理学者じゃないから病原体の調査研究なんて無理よ。」


「そんなこと言ったら、僕だって米国東海岸で入手出来た洋書の専門書だけを頼りに、勝手に調査研究をやっている全くのど素人だぜ。

 でもそんなど素人でも、異界から持ち込まれた可能性のある病原体をいくつか見つけることができたんだ。

 因みに日本で現在確認されているのは67種類だったかな。

 K薬科大学に依頼されているのは、ある程度安全性が確認されている病原体の一つのはずだよ。

 僕の方は、その67種類の病原体とは別に新たな11種類の病原体を発見しているんだ。

 そのうち最も危険性の高い病原体にX-1と勝手に名付けた。

 因みに日本の研究機関では、X-1の存在に気づいていないか、若しくは、そもそもサンプルの検体に含まれていなかったのかもしれないね。

 モルモット代わりの小動物で実験をしていると、カザフスタンで発生した感染症に似た症状を呈する病原体だということが分かったんだ。

 今のところ、この病原体は、異界に存在していた病原体がこの世界に移転してきたことにより、現地の病原体と会合することで突然変異が生じて、変質した病原体の可能性があると思っている。

 但し、カザフ出血熱とは少し症状が異なっているんだが、おそらくは置かれた環境が違うことで突然変異の様相が異なっているんだろうと思う。

 いずれにしろ、色々と動物実験を繰り返しているうちに、このX-1の抗体らしきものを発見したんだ。

 カタツムリの粘液に抗体が含まれることが分かったんだけれど、その物質の特定が面倒でね。

 とにかく労力がかかりそうなんだ。

 それで、梓ちゃんに土曜か日曜の1日ぐらいを手助けしてもらえないかと思ってね。

 それにいずれ冬季休業で大学も休みに入るだろう。

 梓ちゃんにどこかで暇な時間が有れば、手伝ってもらいたいんだ。

 だからそのお願いするのと合わせて、俺の秘密を打ち明けることにしたんだ。」


「そう・・・・。

 でも私じゃあまり役に立てないかもしれないよ。」


「うん、まぁ、最初はX-1病原体の正体であろう病原体溶血性レンサ球菌の勉強をしてもらうことと、カタツムリの粘液に含まれるムチンという物質に含まれるアミノ酸と糖鎖からなる巨大分子を切り離す方法を勉強することから始めることになりそうだね。

 最終的には、X-1病原体に効果のある抗体を特定するのが僕の依頼する仕事になる。」


 暫く迷っていたようだが、やがて梓ちゃんが同意してくれた。


「でも、栄一郎さんがどうして危険な病原体の研究をするようになったの?」


「うーん、カザフ出血熱の発生が直接の原因だけれど、今現実に東南アジアで起きている黒狼と言う比較的小型のモンスターの発生が転機だったかも。

 X-1病原体もそうだけれど、モンスターが異界から持ち込んだ病原体は、さっきも言ったように地球の病原体と出会うことにより突然変異を起こした可能性があるんだ。

 だとすれば東南アジアの黒狼も似たような病原体を持っている可能性が高い。

 仮に、そんな病原体が突然変異を起こして東南アジアで感染症が発生すれば日本も当然に巻き込まれる、

 潜伏期間が長い奴は特に危険だからね。

 その意味で異界の病原体を抑え込む抗体が絶対に必要になる。

 だから、パンデミックを防ぐためにも僕もできることをしようと思ったんだ。

 もう一つ大事なことは、異界の病原体は、モンスターが体内に持っているコアの魔力に大いに依存している節があるんだ。

 C国が行った核攻撃にもモンスターが絶えたのは、D国で偶然開かれてしまった亀裂から供給される魔素のような物質の所為なんだ。

 魔素が供給されるとモンスターはほとんど不死身の存在になる。

 但し、コアと心臓が抜かれれば死ぬことになるのは確認済みなんだ。

 だから各国の軍隊が近代兵器を駆使してもなかなか退治できなかったんだ。

 特に黒龍なんか三つも心臓とコアを持っているからね。

 どれか一つでも残っていれば蘇る化け物なんだ。

 その話を黒狼に置き換えると、既に亀裂から供給されていた魔素は尽きているので、黒狼には不死性はほぼ無いと思っている。

 但し、黒狼の内部にあるコアの性質については各国ともまだ知らないはずだ。

 モンスターのコアは実は魔素の供給源ともなる。

 そうしてX-1病原体に魔物のコアを近づけると異様に活動が活発になることが分かったんだ。

 だから、出来ればコアを放置せずに回収して厳重に保管管理をしてもらいたいところだけれど、正直それを知らせる適当な相手も手段も無い。

 可能性としてあるのは、半終息宣言を行った偽名の団体・人物で公表することなんだけれど、実は迷っている。

 この情報を悪用する組織なんかが出て来ると非常に危ういことになるからね。

 異界の病原体を入手し、コアを置いておくだけで、細菌戦の兵器が出来上がる可能性があるからね。

 しかもこいつには、今のところ有効なワクチンが無いからね。

 正直なところ、俺としては人間の善性を信じたいんだけれど、どうしても組織になると危険になるからね。

 だから、この情報は伏せている。」


「うーん、その件について、私から言えることは何もないわ。

 栄一郎さんの判断に任せます。」


 梓ちゃんの予定を聞くと、土曜日はゼミの関係で開いていないことが多いらしい。

 冬季休業中の予定はまだ立っていないようだが、日曜日は、基本的にフリーらしいので、暫定的に日曜日を共同研究の日にした。


 会合場所は、梓ちゃんの賃貸アパートはかなり盗聴の危険性が高いので、俺の賃貸マンションとし、梓ちゃんに来てもらうことから始めるしかない。

 ある程度、抗体の特定ができて佳境に入った時点では、午前0時以降に時間を取ることも必要になるかもしれないな。


 その際には、俺が電気の消えた梓ちゃんの部屋まで迎えに行くことになるんだろうな。

 その伏線として、俺が深夜に無人島で研究をしていることは話しておいたよ。


 その後も色々な関連情報を梓ちゃんに伝えながら、目的地であるO市のU*Jに到着した。

 監視の目には、ハリ*ウッドエリア、ニュー*ークエリア、サンフ*ンシスコエリアデートを巡りながら、俺と梓ちゃんが楽しむ様子をたっぷりと見せつけておいた。



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