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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第三章 大学生活

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3ー4 新たな展開

 大学に入って一年が過ぎ、おれは順調に二回生になったよ。

 大学の講義も、教授や准教授の話の内容がすんなりわかるし、俺の頭に残るんで、どの講義であれ、Aクラスを取るのは造作もない。


 これも、俺に付与されたResistance(レジスタンス)のお陰だよな。

 脳内のニューロンに至る経路の抵抗を下げたまま維持しているから、見たり聞いたりしたことは忘れないんだ。


 大学入学以来、梓ちゃんとも定期的にデートを重ね、大いに大学生生活をエンジョイしている俺なんだが、周囲に群がっている連中もほとんど変化がないな。

 今は、2037年の6月、一連の魔物退治から既に二年近く経つんだから、もうそろそろ俺のことを諦めても良いんじゃないかと思うんだけれど、その兆候が一向に見られないな。


 張り付いている奴のメンバーは、時々替わったりするけれど、数そのものは左程減っていないんだ。

 どっちかと言うと資金源の少ない関係機関が一つか二つ減ったぐらいなのかな?


 逆に、米国なんかは陸軍の諜報部隊が増えたぐらいなんだ。

 まぁ、そんな状況もある程度は見越していたから、変化のうちには入らない。


 その意味ではこれが定常状態なんだろうね。

 但し、東南アジア周辺で少々厄介な事案が発生しているようだ。


 俺が出張るまでもないモンスターがじわりじわりと増えているようだな。

 こいつらは、少し大きめの犬のような魔物だよ。


 体長は170センチほどで体重は150キロもあるそうだ。

 まぁ、大型犬でも普通は1m未満の体長だから、(ひょう)の大きな奴と思えばいいかもしれないな。


 但し、猫型ではなくって、どちらかというとウルフ系なんだろうな。

 東南アジアでは、|Hmāpā sī dả《黒狼》として恐れられているようだ。


 人や家畜を襲うんだが、夜行性で敏捷な上に、群れで行動していることから一般人ではとても対応できないモンスターのようだ。

 しかも繁殖力が強いんで、ベトナム、ラオス、ミャンマーの北部では軍が出動して討伐を繰り返しているようだが、なかなか数が減らないようだ。


 無論、軍隊が保有する自動小銃で退治できる程度の魔物だから、俺も様子見状態なんだが、弾の発射速度の遅い拳銃等では討伐も難しいようで、少なくともライフル以上が必要らしい。

 黄さんのネットワークにより、現地方面からSOSでも来れば、俺も動かざるを得ないんだが、・・・・。


 そのうちに、別の脅威が発生してしまったようだ。

 場所は、中央アジア、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地周辺だ。


 この5月末に当該宇宙基地の作業員が、奇病にかかったという報告が国際社会に対してロシアからなされたんだ。

 症状の詳細は、ロシアが余り知らせないので不明ながらも、出血熱の症状に似て全身が内出血のために黒ずみ、発症から三日ほどで組織細胞が腐食を始めるという話らしい。


 欧州では、ウィルス説が唱えられているようだが、今のところ、既存の出血熱とは異なるとされており、元凶となるウィルスも発見されてはいない。

 俺もカザフスタンではかなりの魔物を倒しているんだが、当時はバイコヌール基地も大型モンスター侵攻の影響で従業員等が全員避難をしていて、俺が討伐に行った時には基地自体が閉鎖されていて無人だったはずなんだが、モンスター討伐の半終息宣言が出された後、1か月後ぐらいにはロシア軍が基地に入り、2036年10月頃には基地機能が復活していたようだな。


 困ったことに、この奇病は感染症のようで、カザフスタン域内で大いに猛威を振るっているらしい。

 発症から三日ほどで体細胞の腐食が始まり、概ね五日目には死亡するという恐ろしい病気のようであり、今のところ潜伏期間も不明で有効な治癒方法はない。


 このため、バイコヌール基地を中心とした広範囲な地域が物理的に閉鎖されたようだ。

 患者も健常な人も全員隔離するという手法で、みんなバリケード内に閉じ込められているらしい。


 学者達は、魔物と一緒に運ばれてきたウィルスが原因ではないかと推測しているが、真実はわからない。

 因みにこの時点ではD国内に出現した亀裂の情報について、米国等から衛星写真等の証拠が提示されており、何らかの事由で異次元界との間に亀裂が生じ、その亀裂を通ってモンスターが出現したものと推定されている。


 しかしながら未だに残留放射能が多いために、D国内での現地調査は進んでいないのが実情だ。

 問題は、俺が原子力発電所を停止させただけなので、D国が開発中の装置はそのまま残っていることだな。


 仮に、どこかの阿呆が装置を始動させれば、再度亀裂が発生するかも知れないわけだ。

 まぁ、仮に装置をぶっ壊したにしても、D国のいずれかの場所に関連する知識の情報が保管されている可能性もあり、俺が下手に動く必要はないと考えている。


 一度起きたことは、将来的に再度起きる可能性があるもんだ。

 人が未知の知識を追い求める以上は、そうならざるを得ないんだ。


 まぁ、そんな話は置いといて・・・・。

 6月終わりには、この新たな感染症の関係で各国が連携して調査研究を始めているところだ。


 但し、現地にはロシア政府の思惑で研究者であっても簡単には入れない状況が続いているようだ。

 そんな中でも、特に、モンスターの遺体(腐乱死体を含む)が数体分も保存してある日本では、国立研究機関や大学の研究機関が中心となって、飛竜やワイバーンの体内にある微生物やウィルスの研究が盛んに行なわれているようだ。


 厄介なことに、梓ちゃんのゼミの担当教授も国が指定した研究チームの一員になっており、梓ちゃんも助手として巻き込まれているようなんだよ。

 こいつはちょっと怖いよな。


 梓ちゃんが、未知の病原菌やらウィルスに感染する恐れもあるんだぜ。

 薬科大学だから、微生物研究所的な仕事はしないんだが、別の微生物研究所(国立感染症研究所や各大学の微生物研究機関)等で入手した情報や検体を入手できる立場にあり、その対抗薬を研究することになっているようだ。


 無論、K薬科大学だけではなくって、数か所の大学の薬学部や薬科大学にも作業が振り分けられているんだが、K薬科大学では、|バイオ・セーフティ・レベル《BSL》―3の研究所が急遽造られて、入手された微生物検体の対抗薬を生み出す研究が始まったようだ。

 未だ三回生の梓ちゃんが最前線の研究にタッチすることは余り無いようなんだが、補助的な実験や動物実験には携わることもあるようなんだよ。


 こいつは、とっても危なさそうで俺としては気がかりだよな。

 ワイバーンや黒龍の討伐は、2034年の話だから既に3年以上も経過しており、仮にカザフスタンで発生したような感染症が有るのであれば、()うに国内で感染症が発生している筈だろうな。

 だから、多分、俺や自衛隊が退治した魔物ではカザフスタンで起きた感染症はまず無いとは思っているんだけれど、やっぱり心配だよね。


 特に、微生物やウィルスっていうのは、突然変異もあり得るからね。

 対抗薬の実験で新たな危険な微生物やウィルスが生まれないとも限らない。


 で、詳細な話を聞こうとしたら、梓ちゃんに拒否された。

 何でも、この研究に携わっている人達全員に対して、国から守秘義務を課されているんだそうだ。


 梓ちゃんも例外ではないらしい。

 仕方がないから、自分で情報を集めることにしたよ。


 こんな時に役立つのは、黄さんの守護霊ネットワークだよね。

 三日と経たずに膨大な情報が集まったよ。


 何しろ複数の機構や大学研究機関の情報だからね。

 非常に専門的な上に、量が多いから、読むだけでも時間がかかる。


 それでも情報入手から約三週間で、概ね現状の把握ができたよ。

 カザフスタンでの感染症発生と似たような状況が、東南アジアの域内で発生する可能性は大いにあるよな。


 特に軍隊が出動して退治できるような危険性の少ない小型モンスターは、俺が討伐を放置していたからな。

 もし仮に、そいつらが未知のウィルスや微生物を運んでいるなら、東南アジアでもこれまでにない奇病が発症する恐れはあるんだ。


 さて、俺がこの方面でどれほど貢献できるかはそれこそ未知数だよな。

 危険を冒す必要は無いとわかってはいても、放置はできない。


 損な性分だと自分でも思うよ。

 モンスターの討伐だって、仮に放置したにしても黙っていれば、誰からも非難されなかったかもしれないし、各国の軍隊が何とか退治していた可能性もある。


 だが、俺は身バレの危険を冒してまでもモンスター討伐を決行し、高校三年を留年して、大学入試の機会も一度見送ったわけだ。

 まぁ、そのことに未練は無いんだけれど、もっと長引いていたら、きっと俺の人生に大きな狂いが生じていたんだろうな。


 いずれにしても。感染症については放置はできないだろうからできる範囲で動くことにする。

 今度は感染症が相手だから、俺が勝手に動くにしても流石に危ないので、無人島を使って対応することにするよ。


 俺が選んだのは、南太平洋の南緯24度22分、西経128度20分付近にある英領のヘンダーソン島なんだが、この島は1988年に世界遺産の自然遺産に指定されており、無人島ではあるものの、研究施設の一部や別荘の跡地などが残っている。

 従って、滅多に人が訪れる場所ではないにしても、島の表面に施設は作れないから例によって夜間に地下基地を造ったよ。


 しかも|バイオ・セーフティ・レベル《BSL》―4の施設だ。

 こいつは、スエーデンの国立感染症対策研究所にあるBSL―4を参考に、俺が自力で造ったよ。


 勿論、俺がそんなことをしているとは周囲に気づかせないように、動くのは夜の午前一時から概ね二時間だけだな。

 地下深くに施設の外枠を造り、内部に必要な品は、米国東海岸のボストン等で手に入れた。


 当然のことながら密出国に密入国だし、俺の証明書なんかも無いんだが、黄さんの伝手で闇の身分証明書(D国系米国人:三世)を入手したよ。

 顔は変装しているし、できた写真を合成しているから、仮に証明書の写真を分析しても俺とはわからない。


 更に、日本で俺のシルエット等から追跡されたので、見た目の俺の体形を少し変えてみた。

 単純にパッド等を使っていかり肩にし、太めの体形にしただけなんだ。


 少なくとも、表に出る顔の部分は写真に似せて、俺の周辺空間を少し(いじ)っているから、AIでチェックしても、見た目俺の顔にはヒットしないようにしている。


 FBIを含め、米国の各種捜査機関等に目をつけらそうな怪しい機器類は購入していないんだぜ。

 ごく普通に一般人が入手できるような機器類だけでも、BSL―4相当の施設は俺の能力が有れば作れるんだ。


 但し、時間はかかったな。

 地下空間を造り始めてから、半年以上はかかったぜ。


 やっぱりね、一日二時間程度の作業時間ではできることも限られるんだ。

 それでも何とか研究施設を作り上げ、更には防護服も自作したよ。



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