表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/42

2ー13 偽装工作と訪問者

 家族一緒に、朝食を食べながら、大人たちとこれからのことを相談だ。

 俺が秦山家に戻ったことを知れば、内閣府や自衛隊などの政府筋が間違いなく動くはずだ。


 その対応を間違えると、色々と面倒ごとが起きそうなんで、その予防を含めた相談だ。

 食卓に着いているみんなには、くれぐれも俺が帰っていることを、対外的に秘密にするようお願いした。


 早ければ明日、遅くても三日以内には、正式に俺が家に戻るから、それまでは絶対の秘密ということで皆に納得してもらったよ。

 その日午後から、俺は密かに北海道へ飛び、変装をしたうえでネットカフェの個室で独り静かにパソコンを叩いていた。


 『●Tube』と文字情報専門の『XX』に投稿するための準備だ。

 ネットカフェで電源は使わせてもらうが、ネットにはつなげていない。


 こいつはマレーシアで購入したパソコンだからな。

 ここでネットにつなげば、その存在がばれてしまう恐れもある。


 従って、Wi-Fi機能などの通信系は設定上停止したままだ。

 ●tubeの動画の表示文章に利用するのは、画面下部に英語、画面上部にスペイン語で表示させ、日本語は外している。


 見る者がこの情報をどう捉えるかは本人の自由だ。

 動画はないけれど、50枚ほどの未公開静止画像を順次背景に載せている。


 実のところは、動画もいくつか撮ってあるので掲載しようと思えばできないことはないんだが、場合によっては子供まで視聴できるから、エグかったり、グロすぎるのが多いので掲載はやめたんだ。

 わずかに6分足らずの投稿画像なんだが、●tube投稿用に作成し、XXでは200語未満の文章で公開できるようにした。


 因みに投稿者のアカウントは、マレー国籍のTan Yǒngxiángタン・ヨンシャンなんだが、組織名を“Pemburu”にしている。

 「Tan Yǒngxiáng」は、シンガポールで作った偽のパスポートとは別に、マレーシアの闇ルートで入手した偽の身分証を元に作ったアカウントであり、いかなる政府筋だろうと背景を探っても何も出てこない。


 まぁ、闇ルートの人間がネタをばらせば別だけどな。

 尤も、闇ルートの人間も、髪と瞳の色を若干変えた別人の顔を覚えているだけのことだし、正規の名前は知らないんだ。


 そうしてその日の夕刻には、クアラルンプールの某カフェのWi-Fiを経由して、USBに保存していた中身を投稿したよ。

 表題は、「モンスター討伐の半ば終息宣言」にしておいた。


 内容は概ね以下の通りだね。


【D国から発した大量のモンスター出現の脅威に対して、<その討伐を志向する個人若しくは団体 ( PEMBURU ) >が、各国の軍隊では対応できないようなドラゴンなど大型のモンスター討伐をこの日1200(GTM)までにほぼ終えて、本日ここに『半ば終息宣言』を発出するに至った。

 ここでいう「半ば」とは、飽くまで、PEMBURUが捜索した結果、感知できた危険なモンスターを討伐し終えたという意味であり、D国から出現したモンスター全ての討伐を成し終えたわけではないことを明記しておく。

 このために、現時点では、各国の軍隊若しくはその連合軍が対処できないようなモンスターはほとんど残っていないと推測している。

 因みにD国のモンスター発生源については、既に塞いでおり、これ以上の新たなモンスターの出現はないと思われる。

 その一方で、すべてのモンスターが討伐されたわけではないことも事実であり、この関連で、今後とも各国軍隊が対応できないようなモンスターが出現したような場合には、PEMBURUの個人若しくは団体が、国境を越えて討伐に動く可能性があることを示唆しておく。

  2036年5月25日 投稿・執筆責任者 Tan Yǒngxiáng】



 この投稿による反響は凄まじく、その日、マレーシアの深夜には世界中で1000万回を超える同接があったようだ。

 欧州域では、マレーシアとマイナス6時間前後の時差があるからな。


 夕刻から深夜にかけてピークに達したのだろうが、これからスペイン語を解する中南米と南米諸国がピークに達するだろう。

 ロンドンに比べるとブラジルのリオデジャネイロは三時間、チリのリマは四時間遅れているからな。


 また、日本で騒ぎがピークに達するのは、きっと明日の朝以降だろうな。

 その頃には、我が家にも政府筋の先遣隊がやってくるかもしれないな。


 俺の予定としては、翌朝9時過ぎには我が家に正式に帰るつもりなんだ。

 その際は、できるだけ裏通りを通って家に戻ることにしている。


 2036年5月26日午前9時過ぎ、予定通り、俺は裏門から我が家に戻ったよ。

 服装は、昨年の夏(7月?)に家を出て行った時のまんまだな。


 台湾辺りで購入した衣装もあるんだが、台湾製の衣類を着ていることがばれたらそれだけで問題になりかねない。

 従って、用心に用心を重ねて家出当時の服装にしたわけだ。


 尤も、家出に際して、俺が出て行ったところは、誰にも見られてはいないはず。

 5月も下旬とはいえ、半袖姿はちょっと目立ったかも知れないが、幸いその日は気温が比較的高かったんだ。


 Tシャツにジーンズ、某有名メーカーのランニングシューズと、どこにでもいる十代の若者の扮装ではある。

 手荷物は一切なく身軽だよね。


 この様子は、しっかりと監視者に見られていたんだろうな。

 その日の午後には、猪狩三佐ともう一人が予告もなく我が家を訪れたよ。


 昨年、家で会った際には、神山一尉という人がついていたはずだが、今回は別の人がついてきた。

 もしかすると、神山一尉は転勤にでもなったのかも知れない。


 公務員ってのは、転勤が多いからな。

 今回ついてきたのは、岡島二尉という人だった。


 またまた、我が家の応接室での面会だな。

 日曜日だったから、親父とお袋も同席していたな。


 猪狩三佐から聞かれたのは、一言でいえば、『これまで、何処で、どのようにして暮らしていたのか』ということに収束するんだが、全てノーコメントで押し通した。

 別に、犯罪を犯して取り調べを受けているわけじゃないはずしね。


 そもそも犯罪者の取り調べだって、黙秘権があるはずだろう。

 まぁ、黙秘すれば、余計に疑われるだろうけれど、これまでしっかりと疑われているはずだから、特段の問題はない筈。


 向こうもこれまで俺を探すために色々な場所を監視し、捜索はしていても、俺の姿がどこにも見つからず、突如今朝になっていくつかのF市内の防犯カメラに引っ掛かった程度の情報しかないはずだ。

 しかも、秘密裏に家の監視をしたなどとは、口が裂けても言えないだろうな。


 家出中の生活費はどうしたとか、どこに住んでいたのかなど、多岐にわたる質問が出たが、一々答えるときっとぼろが出るからね、一切をノーコメントで押し通した。

 そうして、最後に聞いてきたのが、ネット情報の関連だった。


「|Tan Yǒngxiángタン・ヨンシャンなる人物が、●tubeとXXで画像と文字情報を掲載しておりますが、この件については何か御存知でしょうか?」


「いいえ、今朝帰って来たばかりで、スマホもPCも(いじ)ってはいませんから、何も知りません。

 それが何か?」


「はぁ、・・・・。

 ネットでこれまで非公開のモンスターの静止画像をかなりの枚数公開し、同時に英語とスペイン語でモンスター討伐の終息宣言をしています。

 この件に関して何かコメントは?」


「僕には関係の無いことでしょうし、内容も見ていませんからコメントのしようもありませんね。」


「左様ですか・・・・。

 あと、明日以降になろうかと思いますが、内閣府担当課長の近藤さんという方が、こちらに来る予定と伺っております。

 仮に明日朝に東京を発っても、F駅到着は昼頃になるでしょうか。

 予定が分かった段階で、事前にこちらに電話をしてから訪問することになろうかと思いますが、午後には、私が案内して参りますので、お会いしていただけますか?」


「失礼ながら、東京の偉いさんが私に会いに来ても有益な情報は何も得られないと存じますけれど、それでも東京から出ていらっしゃると?」


「はい、そう伺っております。」


「では、仕方がないですね。

 御客人のお出でをお待ちしています。

 但し、僕も、この一年近く学校を休んでいましたので、色々と手続きをしなければならないようですから、これから個人的にも忙しくなりそうです。

 その意味でも、面会時間はなるべく手短にするようお願いいたします。」


 まぁ、予定通りそっけない感じで最初の面会は終わったな。

 『内閣府』だから、そこを「本省」と云うのかどうかもよくわからないけれど、中央省庁の課長さんなら、やっぱり偉い人なんだろうね。


 猪狩三佐がわざわざ案内役を務めるほどなんだから・・・。

 三佐って言えば、昔の少佐でしょう?


 軍人としては結構偉い方なんだよね。


 ◇◇◇◇


 翌日午前中に猪狩三佐からアポイントの電話があり、午後二時に近藤さんを案内して我が家に来ることになった。

 遠来の客人が来て、びっくりしたのは、内閣府の近藤課長さんが女性であったこと・・・・。


 別に女性だからって差別しているわけじゃないんだよ。

 ただ、どちらかというとモンスター対策の危機管理的な部署の課長さんではなかろうかと思ったわけですよ。


 女性蔑視のつもりはありませんけれど、そういう職種は余り女性は向かないのじゃないのかなと思った次第。

 年の頃は、四十代半ばでしょうかねぇ?


 きりっとした目つきの美人さんだとは思いますね。

 で、初対面のご挨拶を受けているわけですが・・・・。


「初めまして、私は、内閣府の怪獣対策担当大臣の指揮下にある渉外担当課長の近藤レミと申します。」


 たまたま俺は知らなかったけれど、特命大臣で怪獣対策担当大臣が居るんだよね。

 どうも、俺が日本を離れている間にできたようだ。


 黒龍が九州に来た時は、内閣官房の内閣危機管理監が一元的に対応していたらしいけれど、沖縄石垣島にも台湾経由で飛竜が飛来してから、政府内で特別大臣を設置する動きが生じ、俺が家出をしてから本決まりになったみたい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ