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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

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2ー11 討伐の進度とその状況

 可能であれば、転移先の位置を覚えた場所には、視界に入らなくても転移できるようにしなけりゃと思っているところだけれど、どうしたらできるか目下模索中だよ。

 インドの北に(そび)えるヒマラヤ山脈は、飛翔するモンスターでも流石に超えられない障害物のようだ。


 チベット自治区の場合は、山岳部の所為かモンスターの侵入がほとんどなく、有っても、左程の時間を置かずに北へ移動するようだ。

 ヤッパリ、モンスターと言えども生き物だから、餌の少なく地形の厳しいところでは生活がしにくいのかな?


 そんな中でも山間の峡谷に入り込んでいた地竜が居るらしいので、そこに行って退治したよ。

 うん、黄さんの霊界ネットワーク恐るべしだね。


 次の目標は、中央アジアの領域な。

 最前線はカスピ海を超えてアゼルバイジャン領域にまで侵攻しており、EU軍が頑張って対抗しているようだけれど、此処まで侵攻している奴は、やっぱりドラゴン級でしかも飛翔型だから、軍の持つ通常兵器では対応できずにかなり押し込まれている模様だ。


 取り敢えず、俺としては出っ張っている前衛と思しき奴らを片付けて、日本海や東シナ海に向けて討伐を続けるつもり。

 で、アゼルバイジャンに巣くっていた飛翔型ドラゴン5匹を二日で討伐したよ。


 後始末はそれぞれの地域の国又は軍に任せ、俺は北上する。

 西カザフスタンからロシア領域にかけてやはり先遣部隊のような強いモンスターが出張っているんだ。


 ここは地域が広大なこともあって、討伐するのに十日掛かったよ。

 時々は安全な街に戻って食料も買ったりするんだが、そもそも品数が少ない上に非常に高値なんであまり買い占めるようなことはできないな。


 仕方がないんで、トルコとかブルガリアへ魔法の絨毯で飛んで食料品を購入したよ。

 トルコでも闇ルートで金塊をさばき、台湾よりも安値で取引する羽目になったな。


 いずれにせよ、現地通貨やら米ドルに換えて、現金はあるので、それなりに贅沢はできる。

 折角、外国に来ているんだから、土産になりそうなものもあちらこちらで買い込んで、最寄りのアジトにため込んでいるところだ。


 もし全部片付いたら、家や梓ちゃんへの土産にしようと思っている。

 でも片付くのかなぁ。


 そうして、モンスター退治とは別に、C国南部や中央アジアでは、人気のないところを狙って金の採掘をやってみた。

 せっかく、ここまで出張ってきたんだから、できる範囲で将来の軍資金を貯めておこうと思ったわけだ。


 俺の亜空間には、かなりの量の金のインゴットが入っている。

 全部扱いやすい500グラムのインゴットにしているんだ。


 但し、正規のものなら入っているべき刻印が無いものだ。

 だから闇ルートでしか売りに出せない代物なんだろうな。


 こいつ一個だけで、本来は6万ドル(約900万円)以上もするはずなんだけどな。

 正確な数は覚えていないが、間違いなく五千個以上はあるんじゃないかと思うから、今の時点でも俺はとっても大金持ちだな。


 この頃には、結構俺のことが評判になっているようだぜ。

 ()()()がモンスターを退治しまくっているって・・・。


 俺の姿を明確に見た者や画像に撮った者は居ないけれど、それまで猛威を振るっていた強力なモンスターたちがある日突然いなくなったり、死体で発見されているんだから、現地の政府筋はその異変に気付いているわねぇ。

 何しろあちらこちらに巨大なモンスターの死体が残されているんだから。


 但し、人が入っていない場所もあるから気づかれているのは三分の一ぐらいじゃないかと思う。

 尤も、偵察衛星でモンスターを監視していた連中なら明らかなモンスターの減少を把握しているはずだけれど、彼らは知った事実を公表していないようだな。


 まぁね、東南アジアから南回りで、軍隊では討伐の難しそうな大きなモンスターばかりをかなり倒しているからね。

 自分たちで倒したモンスターじゃないと、誰かさんはきっと気づいているはずだ。


 ちゃっかりと自分の手柄にしているような政府も居るんだけど、別に俺から文句を言う筋合いでもない。

 実際のところは、外部から、あの貧弱な軍事力でモンスターに勝てるわけがないから、あれは絶対に嘘だとネットでバッシングされているよ。


 俺は、ロシア連邦タタールスタン共和国のカザンに迫っていたモンスターを片付け、そこから南北にミシンを縫うように移動しつつ、徐々に東へと討伐を始めたよ。

 一日の東進距離は、精々50キロぐらいかなぁ


 何せ南北に300キロから400キロぐらいの距離を折り返ししつつ、東へ進出しなければならないから時間がかかるんだ。

 ここは、モンスターも結構ばらけているのでまとめて討伐という訳には行かないからかなり非効率だ。


 もう一つ、何故かこの近辺は、黄さんのネットワークから外れちゃっているみたい。

 霊界の連中って、ロシア正教辺りの連中とは仲が悪いのかな。


 黄さんもその辺の理由については教えてくれないが、とにかくこの周辺はモンスターの情報が取りにくいようだから、俺のセンサーや目視能力に頼るしかないんだ。


 途中で11月に入ってしまい、かなり寒いんだけれど、一応北緯60度線ぐらいまでは頑張って確認をするようにしているんだぜ。

 カザン辺りまではロシア軍の航空機も頻繁に飛んでいたけれど、カザンから500キロほど東に行くとロシア軍の航空機も飛ばなくなるし、ロシア陸軍もそこまで遠征はしていないようだ。


 まぁ、現地に残された部隊が居るのかも知れないけれど、航空機が飛来してくる心配は無いんで、俺も魔法の絨毯で比較的高度を取って地表を捜索しているよ。

 地竜みたいに魔力の大きい奴は、仮に隠れていてもその存在が感じ取れるようになっているんだが、流石に地中に潜られるとわからないぜ。


 そんなのは俺の目から漏れている可能性もあるな。

 特に、黄さんの霊界ネットワークがあまり機能していないところはなおさらだ。


 多少の不安は残るけれど、できる限り東進する。

 万が一、サハリンにモンスターの再侵攻が有ったり、直接日本に侵攻があった場合は即座に極東に向かうつもりなんだが、冬場に入って、爬虫類系は余り北上せずに、逆に南下するんじゃないかと思うんだよな。


 それからエカテリンブルグ辺りまで進出するのに、およそ二週間を要したな。

 更にノボシビルスクまでは3週間ちょっとかな。


 この辺は、食料の調達がかなり難しいので、時折トルコまで戻っている。

 そうしてさらに東のシベリア・イルクーツク州までは一月近くかかったな。


 イルクーツク州からは南北の振れがもっと大きくなるんだ。

 ここからは、南は四川省までの範囲をカバーするんで、およそ3000キロの振れ幅になるな。


 それでも魔法の絨毯の速力が上がったので、一振り往復で約6000キロを概ね7時間から8時間かけて移動しているよ。

 その際のセンサー範囲は、概ね30キロ前後なので、一日の東進距離は60キロ未満と思う。


 モンゴルの大草原にもかなりのモンスターが入り込んでいた。

 おそらく、C国の西、ウィグル自治区辺りは砂漠が多くて、モンスターも住みにくいので、北の草原地帯に侵攻していたんじゃないかと思われる。


 モンゴルから、アルタイ地方の穀倉地帯を経て、カザフスタン、カスピ海にまで至っていたんだろう。

 いずれにしろ、この調子だと沿海州の海岸に到達するまでには、二か月ぐらいかかるかも知れないね。


 それでも何とか取り敢えずの見通しがついてきたので、何とはなしにほっとしているところだ。

 残敵掃討が更に二か月ぐらいとして、俺の討伐行脚は四か月後ぐらいには何とか目途が付きそうだなと思っている。


 事後の問題については、残ったままだけどな。

 モンスターを討伐した立役者であろうと、正規の国軍に勝る武力を持った者を、国家群が放置するとも思えないんだよなぁ。


 おそらくは、何らかの制限なしには元の生活には戻れないだろうなと思っているよ。

 『過ぎたるは猶及ばざるが如し』ってな。


 強すぎるのも絶対に問題視されるんだよな。

 まぁ、その前に俺から半ば()()()()を出すのが一番かなとも考えている。


 半ば終息ってのは、そもそも国軍でも始末できないような大型のモンスターをメインにして討伐してきたのであって、小型のモンスターや地中に潜っている奴など全ての魔物が討伐されたとは限らないからだ。

 特に冬場なんかでは、熊さんよろしくどこかの洞穴で冬眠している奴がいるかも知れないからな。


 そんな奴が残存している限り、俺の存在価値はそこそこあるんだろうな。

 そんな問題点を残しながら俺が超目立っておけば、密出国や密入国の罪人ではあるけれど、いきなり捕獲だの暗殺だのってのは無いんじゃないだろうか?


 そんな安易な考えに浸っている俺だが、此処で悲惨な結末を考えちゃうとこれ以上進めないからな。

 いずれにせよ、みんなのために頑張るしかないんだ。


 みんな元気かなぁ。

 黄さんのネットワークによれば、うちの家族等には特段の問題は生じていないようだ。


 俺については、公的には家出少年(?)として処理されており、2035年7月下旬から行方不明のままだな。

 一時、日本政府が俺の足取りを追おうとしていたようだけれど、流石に中央アジア辺りまで来ると手が足りないし脚が無いみたいだな。


 俺の場合、日中は迷彩柄、夜間は黒色衣装なんで、偵察衛星でも余程ピンポイントに狙わないと見つからないはずだ。

 まぁ、そんな尾行者に当たったらその時に考えよう。


 ◇◇◇◇


 四川省の成都を過ぎる付近(東経104度線付近)から急にモンスターの密度が濃くなってきたね。

 特に南方域に密度が高いようだ。


 やっぱり増えているのかねぇ。

 餌不足なのかモンスター同士の死闘も見られたな。


 お互いに闘って自滅してくれるのが一番なんだけど、そうは問屋が卸さないだろうな。

 ジュラ紀の怪獣戦争のようなもんだ。


 流石にこの一年で進化はしていないと思うのだけれど、弱くても繁殖率の高い奴は生存率が高い。

 おまけにそんな奴は中小型のモンスターで結構素早いもんだから、俺も討伐には苦労している。


 軍隊で処理できそうなやつは、全部を討伐するつもりもないんだが、増殖して大きな軍団にまで育ちそうな奴らを放置しておくわけにも行かないよな。

 もうすぐ2035年も年の瀬が近い。


 あと数か月頑張ればと思っていたのに、C国南部域で意外とモンスターが残っている状況を見る限り、こりゃぁ予定を大幅に超過しそうだぜ。

 この分だと、ベトナム北部、ラオス、ミャンマーについては、もう一度探査をしなければならないかも知れない。


 いたちごっこにはなりたくないんだがなぁ・・・・。



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