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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

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2ー9 秘密の漏洩?

 身バレはしていないと思うんだけれど、自宅周辺の監視カメラまで確認されて、アリバイまで追及されたらわからないな。

 監視カメラ映像は普通そんなに長期間保存されていないはずだから大丈夫とは思っているんだが、今回の石垣島の討伐については、昼日中だったからな。


 夜まで待った方が俺にとっては安全だったはずなんだが、中継で被害状況を流されていては、流石に放ってはおけなかった。

 おとぼけができるか?


 家にいた?

 いやぁ、俺が石垣まで行くのに、一応家から出たんだよね。


 そうして隠れた場所から連続転移作業でF市を外れ、九州を経由して久米島まで進出、そこから身一つで飛翔することもできないわけじゃなかったが、安全のためにも魔法の絨毯を使って、そいつが不審人物発見の端緒になったかな。

 誰か目撃者がいたんだろうな。


 それとも宮古島で着地部分で見られたのかな?

 できるだけ見えにくい迷彩柄の絨毯にしてはいるんだけれど、何も無いところでは逆に目立ったのかも知れないな。


 あるいはUFOと思って、見張りを頑張った人がいたかもしれない。

 そんな通報があれば警戒していた自衛隊なんかが総力を挙げて発見しようとして、あちらこちらに高性能の監視カメラを設置したに違いない。


 特に発見された場所周辺を念入りにね。

 俺もそんなことは警戒していなかったからなぁ。


 人気(ひとけ)の少ない場所を狙って離着陸したし、行き帰りとも同じ場所を使ったからな。

 探している方は物凄く楽だったに違いない。


 せめて行き帰りを別々の場所にしておけばよかったかも知れんな。

 いずれにせよ、此処で白黒つけるしかないんだろうな。


 俺が一旦否定しても、四六時中監視の目が付いたら、俺が動きにくくなる。

 俺の家だって、外部から24時間の監視対象になれば問題だよ。


 最近は、離れたところから窓ガラス越しに音声を盗み聞きするハイテク機器もあるらしいからな。

 今後一切モンスター退治をしなければ良い訳なんだが、それではきっと困ることになる。


 北海道や沖縄或いは隣の県にモンスターが現れても動けないことになる。

 多くの被害が出ることを承知していながら、それを見過ごす?


 そいつは俺の信条に反するから、嫌だな。

 俺はため息をついてから言った。


「失礼ながら、内閣府は、僕に何をお望みなんでしょうかねぇ。」


「あなたが、もし一連の事件に関わっているのであれば、申し出ていただきたいのです。

 あなたに特殊な能力があるのなら、内閣府では、自衛隊に特別の部隊組織を編成して、あなたをそこに迎えたいと考えているようです。」


「それは、僕に首輪をつけて鳥籠に入れと言う事でしょうか?」


「いいえ、少なくともそのようなことは考えてはいないかと・・・・。」


「失礼ながら、あなたにその発言の責任が持てますか?

 あなたの上司達は、そんなことを考えてはいないかも知れませんよ。

 特に、政治家ならば個人の権利を無視しても、国家の利益を優先するはずです。

 僕がここで全てを否定しても、明日には国またはその下部組織が僕を拘束しに来るかもしれない。

 で、あなた個人のお考えで結構ですが、・・・。

 仮に僕が全てを否定したとして、それにもかかわらず国もしくは自衛隊等が僕を拘束しに来る可能性はどのぐらいあるのでしょうか?」


「小官ではわかりかねます。」


 暫く、無言が続いた。

 母も、祖父母も聞きたいことは山ほどあろうけれど黙っていてくれた。


「僕の性分(しょうぶん)としては、困っている人が居て、僕に助けることができるのであれば、多分、助けに行くんですよね。

 ですから、否定の為に今後一切の活動を停止して家に引きこもった方が良くっても、僕自身の活動を中止はできないと思うんですよ。

 但し、大人の事情で勝手に振り回されるのは困りますから、例え首に縄を掛けられても、そんなことがあれば拒否しますよ。

 どんなことであれ、僕が納得したものでなければ、国の要請であろうと動かないことがあり得ます。

 このことをあなたの上司にきちんと伝えていただけますか?」


「それは、あなたが該当人物であることを認めると?」


「いいえ、そこまでは言っていないはずですよね。

 録音を聞きますか?」


 俺はポケットからスマホを取り出した。

 猪狩三佐の顔が幾分青ざめ、引き締まった。


「分かりました。

 当方もあなたの発言を持ち帰り、上司に報告します。

 その上で、私又は別の者が改めてお邪魔することになると存じます。」


 まぁ、(なか)ば認めたわけですよね。

 これ以上は無駄な議論だと思うし、今後のことを考えると、政府の枠組みの中に入るのも最終的にはやむを得ないのかなとも思っている俺がいる。


 但し、そうなれば、俺には、こき使われる未来しか思い浮かばねぇぞ。

 おまけにロシアやらアメリカやらの大国が、俺に触手を伸ばしてくることも考えねばならんよな。


 俺としては家族なんかを人質にされたら困るわけで、そういうこともきちんと日本政府が担保できるのかねぇ。

 少なくとも防諜に関する限りは、日本は隙だらけだって聞いているよ。


 他所(よそ)からスパイが入り込んでも、ほとんど何にもできないのと一緒だ。

 少なくとも俺の情報が外に漏れないようにしてくれないとどうにもならんと思っている。


 ここで中途半端にこの二人を追い返すのはその確認の為でもある。

 これで政治家やらが情報漏洩するようなら、一切の協力はしない。


 俺単独で内緒のまま動くしかないよ。

 どうせ、モンスター退治は今のところ、俺にしかできない仕事なんだ。


 その場合は、多分国外を根拠地にして活動することになるだろうけどな。

 そんな時のことを考えていたわけじゃないんだけれど、あちらこちらに跳んでいる時に、金の採掘も並行してやっていたんだ。


 俺の亜空間には500グラムの金塊が、200本余り眠っている。

 こいつには刻印が打たれていないから正規のルートには乗らないのだろうけれど、闇のルートで売れば、これでも6億円から10億円ぐらいにはなるんじゃないかと思うよ。


 俺の場合、言葉には問題が無いから、国外のどこででも何とかなるんじゃないかとは思っている。

 正直なところ、ボッチは嫌だけどな。


 誰か、居ないのかねぇ。

 俺と同じような能力を持っている奴・・・・。


 黄さん曰く、「居ないと思うぞ。」という全く身も蓋もないご託宣でしたね。


 翌日の午前、何の前触れも無しに、地元選出の〇×党の国会議員の某氏が我が家を訪れた。

 また俺が呼ばれて応接室で逢ったが、開口一番、その男が次のような趣旨のことを言った。


「君がドラゴンを退治したそうじゃないか。

 国の為、我が党のため、ぜひとも協力してくれ。」


 実際の発言は、もっともっと長いんだが、要約するとそういうことを言ったな。

 こんなことはすべきじゃないのかも知れないが、俺は、威圧を掛けながら言ったよ。


「仮に、僕がそのドラゴンスレイヤーだとしても、ただいまの申し出には明確にお断りいたします。

 あなたの様に勝手に動かれる人が居るのであれば、到底秘密なんか守れませんよね。

 大変失礼ながら、僕が内閣府の調査対象者の一人になっていることをあなたが知っているのなら、米国や欧州更にはロシア等の秘密機関は当然に知っていると思いますよ。

 その場合、誰が僕の身の安全や、家族の安全を保障できるんですか?

 少なくとも、あなたではないですよね。

 お帰り下さい。

 私からはあなたが当家に来られたことを、内閣府の依頼で動いている猪狩三佐に報告するとともに、今後一切の協力をしないと申し入れしておきます。」


 その議員さん、威圧の所為もあって、流石に青くなっていた。

 仮に俺がドラゴンスレイヤーだとして、そいつを怒らしたらどんなことになるのかわからないということを、今改めて思い知ったのだろう。


 何しろ自衛隊が総力を挙げて敵わなかったドラゴンをたった一人で倒したかもしれない男なのだ。

 議員一人が頑張ったところで、()のツッパリにもならない。


 議員さん何も言えなくなって、無言で帰って行ったな。

 俺の方は、すぐに猪狩三佐に連絡を入れた。


 内容は、たった今議員さんに告げた通りのことだ。

 猪狩三佐は、俺の発言でかなり慌てていたが、取り付く島も与えずに俺は電話を切った。


 その日の夕刻、再度猪狩三佐が我が家を訪れた。

 本当は門前払いにしても良いのかも知れないが、一応会うことにしたよ。


 彼らなりの弁明があると思ってのことだ。


「議員さんがご迷惑をかけたようで申し訳ございません。

 我々でも事実確認をいたしました。

 本来であれば秘密であったはずの情報が漏れていたことを確認しました。

 これ以上の漏洩拡散は無いとは存じますが、既にかなりの与党議員には秘密情報が流れておりまして、そこから先については、我々レベルでは対応できないところまで来ております。

 内閣府からは、とにかくあなたの協力を取りつけてくれとしか言って来ません。

 それで、先ほどの電話では協力できないとのことですが、何とかお考えを改めることはできないでしょうか?」


「その蒸し返しならば、お話は聞きません。

 内閣府では秘密が守れないことを自ら証明したわけですから、未だ僕がドラゴンスレイヤーかわからなくても、今の段階で国内に入り込んでいる諜報機関が動いていますよ。

 僕は僕の考えで動きます。

 政府なり、議員さんの指示で動くことはありません。

 これは現時点での最終決定ですし、仮にこのことが原因で僕の家族に災難が降りかかるようであれば、勝手に僕なりの対応をさせてもらいます。

 その責任はあなた方にあると思ってください。

 お話は以上ですが、他の件で何かございますか?」


 猪狩三佐は歯を食いしばりながら言った。


「いいえ、有りません。

 ですが、我々を含めて大勢の者があなたの協力を切に願っていることだけはご承知おきください。」


「わかりました。

 こんなことが無ければ、親しくお話ができたかもしれないのに残念ですね。

 お気をつけてお帰り下さい。」


 さて、これで国がどう出て来るかな?

 最悪のケースは俺の身柄の確保に出て来ることなんだけれど、家族まで巻き込むつもりかな?


 それによっては、総理大臣のところまで出向いて決着を図る覚悟はあるぜ。

 俺もかなり無茶をしているという自覚はあるよな。


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