表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/42

2ー3 半島へ出張?

 とある日、俺は、家族にはチョット遠出をしてくると言って、行く先も告げずに出掛けたよ。

 まぁ、一週間以上は戻れないかもしれんから、心配をさせるかもしれんな。


 ただ、思いついたことが有ったので、人気のないところでそれを試してみることにした。

 それは魔法の絨毯(じゅうたん)の様に何かに乗って空を飛ぶことだ。


 ()()使()()()()()()(・・)じゃ流石に尻が痛くなりそうだ。

 やっぱり絨毯が()いよな。


 残念ながら絨毯については、手持ちが無かったのでレジャーシートを広げる。

 ウチに有ったのは、縦2m、幅1.5mほどの薄い色の白灰メッシュの防水仕立ての品が二枚だ。


 ついでに座布団と寝袋も用意したから、しようと思えばこいつの上で寝泊まりもできる。

 このレジャーシート二枚を重ねて、金属を融合させた。


 つまりはレジャーシートに見える固い板を作ったわけだ。

 重量はこのままだと300㎏を軽く超えることになるんで、重力を加減して1㎏内外にまで軽減した。


 その上で結界を張ったんだ。

 こいつは、最近見出(みいだ)した奴だが、周囲の気体の一部を凝縮させて球を作る、このままだと密閉空間になるので上部若しくは下部に小さな穴をかけるんだ。


 するとこいつは銃弾でも防げる結界になるんだぜ。

 とは言いながら、本物の銃では試したことはないんだけどな。


 でも、地上2千mほどにまで飛ばした重さ5キロの岩が、引力にひかれて落ちて来たなら、かなりの速度と落下エネルギーになるはずじゃないか?

 しかも俺の能力の所為で空気抵抗はない。


「1/2×加速度×時間の二乗」が距離になり、「時間×加速度」が速度になる。


 2千mを落下する時間はおよそで20秒、その時の速度は毎秒196mだ。

 時速に直すと時速700キロを超える。


 5キロの重量の石が時速700キロでぶつかった時の衝撃は、至近距離で撃った拳銃の銃弾の威力以上のものがあると思うんだがどうなのかな?

 少なくとも俺が造った結界は、その衝撃に見事に耐えた。


 勿論、人気のある所じゃ危なくて実験ができないから、山の中でやったぜ。

 体力もかなりついているからな。


 F駅からだと北北西に25~26キロぐらいの山中だ。

 多分、山の名前もあるんだろうけれど、俺は知らないし、人気の全くないところだよ。


 最近は、どこの山もハイカーでいっぱいなんだが、この山の中はまだ文明に侵食されていないみたいだな。

 まぁ、そんな山中でやった実験で、『ドガッ』とすごい音はしたが、結界は見事に耐えた。


 で、空飛ぶ絨毯ならぬレジャーシートを重力調整で浮かし、それに結界を張って、これまた重力調整で動かしたい方向に引っ張ってやった。

 見事に結界と絨毯は動いたよ。


 但し、俺が乗っているとチョットばかり気持ちが悪いかな?

 俺の調整の所為で、重力がほぼ前方を向いているんで、ある意味で前方に落ち込んでいるわけなんだが、無重量状態ではないにしても加速度を全開状態にすると、酔うんだ。


 俺は必死に耐えながら飛ぶこと二時間、俺はF市内から500キロ離れた半島の南東岸に達したよ。

 半島の地理なんぞ俺は知らないから、そこから先の方向は黄さん任せだな。


 因みにC国の核攻撃のお陰で、半島一帯が放射能に汚染されている可能性が高いんだよな。

 だから半島に迫ってきた段階で、放射能防護のために、結界の外側に金属の殻を造って密閉空間にしたよ。


 酸欠になるって?

 イヤイヤ、密室空間で一生懸命二酸化炭素を酸素と炭素に分解しているから、酸欠の恐れは無いんだぜ。


 但し、視界がかなり遮られるので道案内は黄さん全部任せた。

 一応、前方と地上が見えるように、殻の前方と下部には鉛を混合させた人工サファイアの小さな窓を造ってあるけどな。


 この小さな窓も、特段の用事が無い限りはシャッターで塞いである。

 一応の放射線対策はしてあるんだ。


 黄さんの適切な案内と高速飛行のお陰で、半島の南東端から約1時間で目的地に着いたぜ。

 確かに千m上空からでも時空亀裂がはっきり目視できるんだから、かなりでかいよな。


 地表に対して約20度に傾いた時空亀裂面があり、その三分の一は地下に埋まっているようだ。

 その下にはコンクリートの瓦礫が見えるから、おそらくは研究所とやらのなれの果てなんだろう。


 黄さんの話によれば、原子力発電所は、そこから約1キロほど離れた地下施設にあるようだ。

 原発の冷却水は、どうやら最寄りの川から引いているみたいだな。


 取水口と放水口が見えたぜ。

 発電所自体は地上には無いんだが、目標としては少し大きめの煙突があるな。


 で、入り口は封鎖されているうえに、その周辺をモンスターどもが徘徊しているんで、モンスターが居ない煙突付近に降り立って、そこから穴掘りだ。

 この際は、宇宙服ならぬ防護服に身を固めているんだぜ。


 一応、鉛を含んだ金属で人型の密閉空間を作り、俺が中に入って重力調整で動かしている感じだ。

 懸命に、地面から素材を分離し、インベントリ擬きに収納して行き、直径2m程の穴を5m程掘ったところで、蓋を造って天井代わりにした。


 これで、簡単にはモンスターは入って来られないはず???

 モグラやワームの化け物が居たら別だけどな。


 それから約一時間ほども格闘して、何とか地下発電所の天井部に到達したよ。

 で、チョコっとこの天井に穴をあけて、宇宙服の覗き穴を使って様子見をした。


 黄さんの話では、モンスターが出現したおかげで、ここに居た職員はいずれも食糧難に(おちい)ったらしく、最終的には脱出を図ったのだが外でモンスターの(えじき)になったらしい。

 このため発電所の作業員での生存者はゼロのようだ。


 因みに、この近くには核兵器四発のうち二発が落ちたんで、周辺の外界は放射能に満ち溢れているらしいぜ。

 少なくともこの発電所周辺の放射線レベルは1万ミリシーベルトを超えていたらしい。


 ここの所員が逃げ出したのは、核の攻撃の前だったらしいが、仮に攻撃の後だったなら外には出られなかっただろう。

 放射線許容量は年間100ミリシーベルトらしく、短時間で1000ミリシーベルトを浴びると吐き気等の症状が現れるはず。


 1万ミリシーベルトを超える放射線をまともに浴びれば、確かに命が危ないよね。

 俺は、半島に到着前から一応防護用の結界と殻を張っていたから大丈夫のはず・・・・。


 黄さんの案内?指示?で集中制御室に入り、黄色さんの指示で原子炉を停止させるシーケンスを何とか起動させたよ。

 多少視界に難点はあっても、近いところで有れば結界越しに空間把握ができるから、ある程度機器類のボタンやらスイッチやらを動かせるんだ。


 原子炉ってのは、動かすのも止めるのも、本来はものすごく時間がかかるらしい。

 一旦、停止のためのシーケンシャルが始まると、後は自動なので、俺にできることはない。


 何か異常が有ったなら、霊界通信で此処に居付いている霊に知らせてもらうことにして、俺達は引き上げた。

 それから十日程経って、時空亀裂がひっそりと閉じたそうだ。


 因みにそれを知っている者は、生きている者では俺だけらしいぞ。

 黄さんなど霊界に居る者は生きているとは言えんからな。


 いずれにしろ、人知れず秘密の作戦を成功裏に終えたために、これ以上のモンスターの流入は避けられたわけだが、既にかなりのモンスターがこの世界に蔓延(はびこ)っている。

 今のところ、日本に直接危害を与えそうなのは、対馬に居る黒龍だけなんだが、・・・。


 対馬みたいな島じゃ餌もないだろうに何をしているんだろうと俺は思っていたよ。

 で、その予感が当たったみたいだ。


 黒龍が動き出して、九州上空に現れたんだ。

 で、九州は、目下のところ、大混乱状態だ。


 それまでに自衛隊の協力で、住民は本州へと避難し始めていたんだが、いかんせん、人口が多すぎた。

 九州には1300万ほどの人口が居るし、離島も多いから避難に手間取ったと云うのが実情だ。


 そうして、またも黄さんが、俺をけしかける。

 黄さんがこのまま放置していては拙いから、俺に黒龍を退治しろと言うんだ。


 半島への出張は、一日で済んだけれど、仮に黒龍退治ともなれば簡単にはいかないんじゃないかなぁ?


「黄さん、相手は自衛隊も手を出せないでいるモンスターだぜ。

 俺が退治できると思っているの?」


「おう、儂のやった異能が有れば、黒龍なんぞ羽の生えた大トカゲじゃよ。

 ただ、奴の心臓は二つ、稀にそれ以上あることもあるでな、狙うときは注意せよ。」


「うん?

 二つってどこに?」


「一つは、まぁ人で言えば胸の中央だな。

 もう一つは丹田付近になるかのぉ。

 前者は翼の生え際を直線で結んだ線の中央辺りだし、後者は、後足の付け根外側を結んだ線を底辺とする正三角形の頂点付近だな。

 この二つを潰せば、龍も生きてはおられん。

 但し、龍という奴は、心の臓を潰されてもしばらくは動き続けるでな。

 特に瀕死になった時に、むやみやたらと攻撃を連発するで、周囲には居らぬ方が良いじゃろう。」


 黄さんの説明で、俺が多少その気になったのは間違いない。

 だが俺としては万全を期したい。


 少なくとも逃げる算段ができないようでは困る。

 今のところ机上の空論にしか過ぎないが、空間転移ができないだろうかと考えているんだ。


 仮にできるのなら、攻撃にも逃走手段にも使えると思うのだ。

 少なくとも物質については、それに近いことをやっている。


 俺のインベントリに入っている物ならば、俺の能力の及ぶ範囲ならば空間転移に似たようなことができているんだ。

 但し、残念ながら俺の身体を移動することは、まだできてはいない。


 やれることは、さほど多くはない。

 俺が居る空間そのものを俺ごと移動することができないかを試しているところなんだ。


 だが、結構精神力を使うんだな、これが。

 一日に二度試すだけで、身体がフラフラすることになる。


 体力の枯渇じゃないんだが、ものすごく疲れるのは間違いない。


 お知らせです。




 以下の新作の投稿を始めました。




「転生したら幽閉王子でした~これどうすんの」




  https://ncode.syosetu.com/n5150ku/




 宜しければ、どうぞご一読ください。



   By サクラ近衛将監



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ