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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第一章 与えられし異能

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1ー24 デート中にクマさんが・・・

 掛け軸の安いものもあったけれど、結構逸品が揃っていたな。

 中でもびっくりなのは、慶長大判が二十枚、同じく慶長小判と正徳小判がかなりの枚数入っている(ひつ)が有った。


 慶長小判で数百万円になるモノもあるらしいが、俺の鑑定では80~250万円かな。

 正徳小判も同程度で、大判になると1200~3000万円程度になるみたい。


 この櫃に入っている大判・小判だけで一財産になるよね。

 すげぇーと叫びたかったが、小林家の皆さんが居るのでじっと我慢の子だった。


 そんなこんなで夕方近くになって、俺は辞去した。

 小林家の皆さんから随分と感謝されました。


 土蔵の外扉については、別の錠前をつくるそうですし、内扉の鍵は普通のシリンダー錠に変えるそうです。

 大判・小判を見つけたらもっと大騒ぎになるんだろうけれど、この(ひつ)は少し奥まったところにあるし、上に別の櫃が重しの様に乗っかっているから、発見するのはかなり後になるだろうね。


 夕刻にも近かったので、俺は家の前で梓ちゃんと別れた。

 梓ちゃんが送ってきたら、家まで送り返さねばならない時刻になっちゃうからね。


◇◇◇◇


 10月第二月曜日が国民の祝日になるので8日(土曜日)から10日までが三連休になる。

 で、今日10日は梓ちゃんとデートでS山〇▼寺に行くことにしている。


 〇▼寺まで参道を往復という方法もあるんだが、安易な方法で、行きは参道、帰りはロープウエィを使うことにしたよ。

 〇▼寺の境内はとっても広くって、全部を回ると三時間はかかるらしい。


 ロープウエィの料金も、片道700円、往復だと少し安いがそれでも1,200円も取られるし、入山料も500円が別途必要みたいだ。

 これまでお小遣いをため込んでいた俺はともかく、梓ちゃんは小遣いをそんなにふんだんにもらっているわけじゃないから、やっぱり節約しなけりゃならんのよ。


 因みにお昼は弁当の予定だ。

 下界に降りたら食堂なんかも色々あるんだけれど、山頂には余り食堂は無いようだ。


 山寺らしく、精進料理が食べられるところもあるらしいけれど、そもそもが五人以上で一週間以上も前に予約しなければならないらしい。


 俺と梓ちゃんの二人だけではどうやっても無理だな。

 後は、茶屋が一軒あるらしいけれど、そこでは、うどん・おにぎり・おでんのみの販売らしい。


 ならば、弁当でという事になったわけだ。

 梓ちゃんが作ってくれることになっているんだが、俺もちょびっと何かを作って持って行くことにした。


 まぁ、男料理だかんな。

 余り期待はしないでほしい。


 実際の登山は結構な坂道だったぜ。

 そもそもこの登山ルートは、お坊さんの修行のための登山道だったらしく、そこそこに休憩所跡はあるんだが、急な斜面を登るところも結構あるんだ。


 そのために登山口では、杖まで用意してある。

 無料で貸してもらえるんだが、帰りに戻す必要があるようだ。


 まぁ、俺と梓ちゃんは若いからな大丈夫だ。

 そんなこんなで上ったんだが、途中の参道でとんでもないものに出くわした。


 ツキノワグマだよ。

 小さくは無かったな。


 結構でかいやつだ。

 体長は多分1.5mぐらい、体重は百キロぐらいは間違いなくありそうだ。


 そいつがいきなり襲って来たんだが、梓ちゃんが居るから俺だけ逃げるわけには行かない。

 で、とっさにクマの足元の抵抗を片側だけなくした。


 全部なくすとスケートよろしく突っ込んで来られるからな。

 四つ足の右側二本がズルっとくれば、クマもまともには進めないで、ずっこけて窪地に落ちたよ。


 それで逃げてくれりゃぁいいのに、性懲(しょうこ)りもなく、俺に向かって来るからやむを得ないよな。

 正当防衛で俺もクマを殺しにかかったよ。


 方法は、()()()()だ。

 クマの心臓を狙って、俺の亜空間に入っていた銅の塊を送り込むんだ。


 そのためにクマの肉体の斥力を一旦弱め、銅の塊を転移で放り込む、次いで斥力の抵抗を元に戻すとクマの心臓と銅の塊が一瞬で同化する。

 この間わずかに0.3秒ぐらいの早業だ。


 別にこんなことを予想していたわけじゃないんだが、これまで木材やら石で色々と実験していたからな。

 ある意味で手慣れた作業の一環なんだ。


 当然に有機物の心臓に銅の塊が入れば、心臓が動くはずもなく、クマがそのまま横倒しにこけて、びくびくと痙攣(けいれん)している。

 傍で見ている梓ちゃんには、きっと何が起きているのかわからないだろうな。


 クマが突然現れたと思ったら、襲ってくるような雰囲気だったのに、なぜかずっこけて、再度体勢を立て直して向かって来るかと思ったら、今度は横倒しになって目の前で盛大に痙攣しているんだもんな。

 クマの痙攣が収まってから、クマの体内から銅の塊を回収し、俺の亜空間に収容したから証拠は残っていない。


 このクマの心臓がどうなっているのかは知らん。

 結局、クマ一匹を殺しはしたが、別に後悔は無いぞ。


 梓ちゃんを守れて良かったと思うだけだ。

 まぁ、でもこの後が大変かな?


 一応スマホが通じる場所に出たら警察に通報することにしよう。

 何とも言い様がないから、『クマが出て来たけれど、何だか病気だったのか突然目の前で死にました。』と、真実は隠して、(はた)から見える事実のみを言うしかないな。


 後は、警察等の判断に任せるしかない。

 その日の夕刊の片隅にちょっとだけ記事が載ったね。


 S山の参道でクマが死体で発見されたと・・・。

 いや、違うでしょう。


 生きていたんだけれど、目の前で死んだの。

 でも、まぁ、わざわざ訂正を要求する必要もないよな。


 S山の方は、二人で汗をかいたけれど、ちゃんと上ったし、あちらこちらのお堂を見て回り、ロープウェイで無事に下界に戻ったよ。

 弁当は、登山途中の休憩所で食べた。


 梓ちゃんの弁当は美味しかったぜ。

 俺が作って行ったのは、〇ットケーキ〇ックスを使ったデザートの〇トー〇ョコラだ。


 レシピ通り造れば誰でも作れるようだったが、俺の料理スキル、実はLV3にまで上がっているからな。

 かなり上手に作れたんじゃないかと思えるよ。


 きっとパティシェにでもなろうと思えば、なれるかもしれない。

 まぁ、俺にパティシェになる気は無いが、梓ちゃんの為なら何でも作ってやるつもりだぜ。


 俺のデザートは、梓ちゃんのお気に召したようだ。

 このデザートを運ぶためにわざわざ冷凍食品用の収納具と保冷剤を用意した。


 最低でも二時間から三時間保たせる必要があったからな。

 ドライアイスと保冷材のコンビで何とかできたようだ。


 俺の亜空間等で保管しても、さすがに時間の遅延はできないからな。

 熱放出の抵抗値を上げてやれば、あるいは冷えたものが温まらないで済むかもしれないと思って、試しにやってみたら、とんでもなく疲れることが分かったから諦めた。


 下手をすると、登山中に俺が倒れるかもしれん。

 いずれにせよ、ケーキの材料代よりもケーキの保存対策で使った経費の方が高かったぐらいだな。


 ◇◇◇◇


 11月になって、梓ちゃんの誕生日がやって来た。

 かねて用意のサファイアをメインにした宝飾セットをプレゼントした。


 純鉄に異種金属を混ぜて、強靭だけど柔軟性に富む白銀に輝く合金を生み出したんだ。

 これを基盤にしたバングルに、小さな弧状破片のサファイアを帯状に埋め込み、周囲にルビーやらエメラルドなど色取り取りの小さな宝石を埋め込んであり、それを変性ダイアモンドの薄膜で覆っている逸品だ。


 綺麗にできているけれど、そんな珍しい素材だとは気づかないだろう。

 全部俺の自作した人造宝石と素材だからね。


 全体にかなりの強度を持っているから、仮に、高いビルの屋上から落としてもこのバングルには傷一つつかないはずだ。

 バングルの裏には、きちんと誕生日の日付を刻印し、E.H to A.Kの文字も入れてある。


 梓ちゃん、とっても喜んでいたな。



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