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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第一章 与えられし異能

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19/41

1-19 試行錯誤

 長らくご無沙汰しております。

 概ね半年ぶりの投稿になりました。

 実のところ、今年正月に急病となり、救急車で病院に運ばれる事態になり、その後概ね一月の入院となりました。

 退院後、入院生活の影響なのか一向に創作意欲が湧かず、自宅療養と長めのリハビリをしておりました。

 一応、普段の生活に戻ったのは三月に入ってからのことでしたが、一向に執筆の意欲が生まれず、このように半年の御無沙汰になってしまいました。

 徐々に、創作活動に復帰しようとは思っていますが、すっかり《《何もしない》》という怠惰な生活に慣れてしまい、戻るのにはかなりの努力が必要なのです。

 少々復帰が遅くなりましたが、温かい目で見て下さるとありがたく存じます。


 By サクラ近衛将監


 D古墳の調査結果について市役所にも提出するのは、以前の調査がどうであったにせよ、もしかしたら俺の調査で新たな発見があったかもしれないし??

 まぁ、そんなに簡単じゃないとは思うけどね。


 一方で、自由研究のレポート作成の合間にも俺のスキルの検証を積み重ねているよ。

 俺の亜空間収納庫の耐性がかなり上がったよ。


 ラノベで言えば、MPが増えたのかもしれない。

 容量が、まずドラム缶一本分(約200リットル)ぐらいに増えたな。


 重量で言えば80㎏ぐらいまでかなぁ。

 重量40㎏で80リットルぐらいまでなら、何とか1日ぐらいは収納して置ける。


 色々と試行錯誤しているうちに、亜空間収納庫とは別の特殊な収納方法も見つけた。

 『Resisutance』と『Reaction』の組み合わせにより、本来であれば出来ないような個体の空間配置が可能になるんだ。


 例えば、銅と鉄の同じ大きさの金属板を、同じ容積の中に一体化してしまえるんだが、こいつは決して合金じゃない。

 単に空間を共有しているだけの特殊な状態なんだ。


 こんな状態にしようとしても、普通は、原子間の斥力が働いて、そんな配置にはできないはずなんだが、当該斥力を抵抗と見做(みな)して減少させることで混ぜ合わせが可能となるんだ。

 もっとわかりやすいのは、これを利用して水素や酸素を金属の中に保管できる。


 保管できるんだから当然に任意に放出も可能だ。

 同じく原子間配列の隙間を狙って物質を配置できるのだから、条件次第で、壁の透過が可能になる。


 つまりは、壁抜けができるという事だな。

 単一の物質では試したけれど、複雑な有機物の塊である生身の身体ではちょっと難しそう・・・。


 だが、状況により、固形物の中に固形物を保管できることにもなる。

 ラノベのインベントリとは、そもそも発想が異なるけれど、究極の隠し場所になるだろうな。


 まさか石や鉄の塊の中にアルミ製の調度品が隠されているとはだれも思わないでしょう。

 石や鉄の塊には継ぎ目や切り目などは一切ないんだよ。


 そこから派生して空間に空間を隠ぺいすることができることがわかり、この隠蔽空間を『高次亜空間』と名付けた。

 この高次亜空間は、大規模な収納庫となり得るし、インベントリと異なり、生物も保管可能なんだぜ。


 俺自身ではちょっと怖いから試してはいないんだが、虫やネズミでは試してみたぜ。

 先ずは、アルミ製の箱を用意する。


 素材は、銅でも鉄でも構ないはずだが、単に手に入れやすいからアルミの箱にした。

 この箱は、まぁ、大きな弁当箱だな。


 因みにアルミの合金製なんだろうけれど、その中のアルミニウム成分のみを残した特別製だ。

 当然だけれど、他人(ひと)には見せられないな。


 この中に虫や鼠を入れるんだ。

 呼吸する空気の問題もあるから、アルミ製の箱の中の酸素分量に応じて保管時間が決まるな。


 その弁当箱の斥力抵抗を減少させて、そのままできるだけ単一素材の物質に押し込んでやれば、あら不思議、そのまま中に入っちゃうと言う訳だ。

 これを訓練して行くと、単一素材だけでなく、合金や木材などの複合素材でも何とか押し込めることが分かったんだ。


 そうして、中に入っている有機物生命体はしっかりと生きている。

 尤も、チョット別の作業をしていて、度忘れしていたために、弁当箱の中のトノサマバッタが死んでしまったことはある。


 狭い中に押し込んで餌もやらず、酸素も供給してやらなければそりゃぁ死ぬよね。

 可愛そうなことをした。


 御免。

 庭の片隅にバッタの墓を造ってやった。


 ネズミの方は、ちゃんとその辺も考慮して早めに出してやったから無事に生きているはず。

 河原で見つけたドブネズミだからな。


 元の居場所に返してやっただけだ。

 ネズミによる感染?


 いや、その辺はしっかりと防護対策を取ってやったから大丈夫のはずだ。

 この収納のメリットは、非生命体の場合、長時間の保管ができるという事だ。


 亜空間収納の場合、容量が制限されるし、内部に収容している時間に応じて、俺が物凄く疲れるんだが、この方法ならばその弊害が無いんだ。

 一旦、空間の共有状態を設定すると、以後は特段の労力は不要なところが大きなメリットだな。


 但し、この高次亜空間の内部に光は無いし、さっきも説明したように、生物を容れると酸欠に陥る可能性がある。

 更に、内部に収容した物体の化学反応等の促進・遅延は可能だが、時間そのものの促進・遅延はできない。


 例えば、食品の発酵は反応と捉えて促進及び遅延ができる。

 つまりは、生ものの腐敗は長時間に渡って防止可能だが、当該保存食品を俺の思念で特定し、当該措置を継続しなければならないことになるので、面倒な手間がかかる。


 従って、高次亜空間に物を収容して何某(なにがし)かの反応促進若しくは遅延を行おうとすればかなりMND(精神力)を必要とすることは経験的にわかったよ。

 亜空間収納庫では、容量や重量で継続時間の制限があるように、高次亜空間でも保管を継続するための条件や制限はそれなりにあるようだ。


 俺のステータスで見る限り、ラノベでは標準ともなっている「MP」と「HP」の値が無い。

 だからユニークスキルは、あっても所謂(いわゆる)魔法は使えないってことだろうな。


 また、金属の抽出についても試行錯誤で色々なものをやってみた。

 但し、こいつもなかなかに危険性が伴うものが多いんだ。


 例えばリチウム。

 スマホやノートPCの普及、電気自動車の増産等により、リチウム電池の需要は高まっているよね。


 電池を製造するのは無理っぽいから、金属リチウムそのものを俺が抽出できないか試してみたんだ。

 実は、海水には世界中で2300億トンのリチウムが溶けており、事実上無限に近い埋蔵量があるようなんだ。


 海水中のリチウム濃度は他の元素と比べて比較的に高いため、採算ラインのボーダー上にあり、効率的な回収方法が開発されれば、経済的に実用可能になる可能性があるらしい。

 日本でも試験的に大学等でプラント開発の研究が行われているようだけれど、1日当たりの生産量は精々数グラム未満と非常に効率が悪いみたい。


 リチウム電池の需要が伸びた所為で価格が上がるのかと思ったけれど、逆に電池の生産体制の向上により、リチウムの単価は2023年を境に下がっているので、海水からのリチウム採取で利益を出すのはかなり難しそうだ。

 それでも、俺の能力によって採取が可能かどうか試してみるのも一興とやってみた。


 海水に含まれているリチウム(1リットル当たり0.1~0.2ミリグラム)を抽出、ペレット状に固めて表面をファインセラミックスで覆うんだ。

 リチウムは空気に触れると自然発火することもあるから、ある意味で危険物だ。


 特に、加熱すると激しく燃焼し、爆発することもあるほか、微粒子で細かく拡散した場合、空気に触れるだけで自然発火することがある。

 また加熱した場合に有毒なフュームを生じ、人体に影響を及ぼす毒性物質でもある。


 従って、保存する場合は酸素や水分に触れさせないよう注意をしなければならない。

 通常は、ファインセラミックス製の小箱(100x100x50mm=0.5ℓ)に二酸化炭素を充満させて、その中にリチウムを保管する手法を取るようだ。


 潮の流れが速い海峡部の突堤先端に行って、周囲の海水からリチウムを抽出すると、概ね半径15mの範囲の海水約2000トンから0.2gのリチウムが抽出できた。

 たまたま最も潮の流れが速い時間帯で、潮の流れは4ノット(秒速約2m)だったから15秒待つと少なくとも前面の海水は移動している。


 15秒に一度の抽出で10分間実験すると8gのリチウム粉末(LiO2)が精製できた。

 リチウムの比重は、水の半分よりやや大きい程度で、8gだと15cc弱程度の容積になる。


 まぁ、角砂糖で15個分程度だな。

 1時間では、約48g(≒87.8cc)で、10時間では480g(≒0.878リットル)程度になるだろう。


 市場価格は、炭酸リチウムがキロ当たりで2万円前後なんで、時給で言えば千円ほどになるだろうから、このままでもアルバイトぐらいにはなるかな?

 でも、実際の商売にするなら、現時点では純金の採掘の方が賢いだろうな。


 将来的にリチウムの価格が高騰したり、俺の採掘範囲が広がれば、より採算性は高くなるので、その際にまた検討してみても良い。

 いずれにしろ付帯作業が多いので簡単にはできない。


 今回の試験的な作業では、その場で直径2センチ、高さ6センチのペレットを二個造り、厚さ1ミリのファインセラミックスで覆ったものを作成、この状態で保管環境を変えてしばらく様子を見ることにした。

 ペレット一個については、二酸化炭素を封入した蓋付き密閉小箱の中に放置。


 もう一個は、人気のない河川敷の中州に穴を掘り、地下10mのところに一辺40センチの立方体の空洞(厚さ30ミリの鋼鉄製)を作って埋めた。

 穴掘りってのは、意外と簡単なんだぜ。


 俺のセンサーの範囲内であれば、範囲指定して内容物の抽出が可能なんだよ。

 だから狙った場所の一番多い成分を抽出して体積を減らし、更に順番に成分を減らして行けば、いずれ誤差の範囲内の希少成分しか残らないから、きっちりと穴ができるというわけだ。


 いずれにせよリチウムはこの状態で少なくとも三か月は様子を見て、特段の変化が無ければ掘り出して通常保管(金属製の容器入り)するつもりだ。


 状況によっては、海に返す方法もある。

 それよりも問題は、仮にリチウムなりを採取できたにしても、これをどうやって販売するかだよな。


 なんだか高校生の俺じゃちょっと無理っぽい気がするぜ。

 金銭的には、金やら銀を抽出した方が勝負は早そうだしね。


 それから、通販で酸化アルミナを入手できたんで、懸案にしていた人工サファイアの試作をやってみた。

 酸化アルミナと酸化鉄を2000度Cで溶融するというプロセスを、常温でやってしまおうという試みなんだが・・・。


 俺の第一の勘違いは、酸化アルミナが細かい粉末だったことだ。

 酸化鉄は釘からでも入手できそうなんで、俺はガラスの融合を考えていたけれど、粉末ではそう簡単には行かない。


 均一の物質としての酸化アルミナの個体が必要だよな。

 その中に均等配列で酸化鉄を配置すればよいんだが、さてどうやったら酸化アルミナの粉末から固形物ができる?


 試行錯誤の中から編み出した方法が、さっきの固形物同士の同じ空間への配列だった。

 あれは斥力の抵抗を減少させることで、同じ空間への存在を許容するものだった。


 では、その状態から斥力の減少を徐々に元に戻したらどうなるのか。

 予測不可能な事象が起きても困るから、小さな木箱に小匙一杯ほどの酸化アルミナを入れて、最寄りの河川敷の中州に行き、そこから離れて実験をしてみたよ。



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