第四話
「、、、え!、、、あ、はい!ご、ございます!」
私は急いでバックヤードのストックに駆けこみお客様のサイズのジャケットを探した。
(小柄だけど割とふくよかだし胸もありそうだから、、、SサイズよりMのほうがいいかな、、、、いや、もしかしたらLかも、、、)
いろいろ考えながら、ストックにあるMサイズのジャケットを全部抱えて私は店頭に戻った。
「あら、随分たくさん持ってきてくれたのね、、、これからお客様に会うために着たいから紺か黒がいいかしらね〜」
そう言われ紺色と黒色のジャケットを試着してもらった。
「どっちがいいかしらね〜どう思う?あなた」
「・・・」
しばらくの沈黙。
(正直どっちも似合ってるしサイズも合ってる、、、どっちがいいんだろう)
以前、同じような場面で何も言えず「ちょっと考えるわ」と言われて帰ってしまったお客様がいたことがあった。お客様が帰られたあと柏木先輩から「まったくもう!何やってるのよ!とりあえず自分がいいと思う方言わないとダメじゃない!!何で黙って帰すの!!」とめちゃくちゃに怒られたことがあった。
それを思い出し「黒がいいと思います(理由はないけどとりあえず!)」と言おうとした時、
「うん、そうね!紺にするわ!こちら頂きます」
と、お客様が言った。
(え?あれ?)
柏木先輩の話と違う、、、。
戸惑いながらも、
「もう着て行っちゃうからタグ切ってね!」
とお客様に言われるがまま、お会計をした。