映画化!交差点は交わらない。密室殺人!サーファーの美人妻はハットトリック!お菓子とお味噌汁はまかれ、時計は0時で止まる。オーパーツの鏡に雪だるまと助手の顔。転がるサイコロとカセットテープの謎を解けっ
サーファーのジョニーの家で、殺人が起こった。
ギリシャで見つかったと言われているオーパーツの鏡が飾られる密室。
そこで絞殺されていたのは、ジョニーの妻。
映画に出演したことがあるほどの美人だ。
壁にかけられた時計の針は、0時で止まり、部屋の中には、一面に 菓子と味噌汁が、まき散らされていたいう。
床に転がっていた2個のサイコロと、カセットテープが、どんな意味を持つのか。
それは、誰にも分からなかった。名探偵である 雪だるま氏以外には…。
☆ ★ ☆
「ジョニーさん、あなたの妻、
ハットトリックさんが殺された事件の
謎が解けましたよ。」
名探偵 雪だるまの顔と、その助手の顔が、オーパーツの鏡にうつる。その横に小さく見えるのは、所轄の目黒区警部である。
「あなたと、奥様は、
『交わらない交差点』のような関係だった。
殺したのは、あなたですっ。」
ジョニーの顔にタラリと汗が流れた。もちろん、交わらない交差点の比喩の意味が、分からなかったためだ。
「犯行時刻は、時計の針が止まった0時。
お菓子と、お味噌汁は、あなたが転がるサイコロに
つまづいた時に、まけたもの…。
その靴下についた四角いサイコロの跡がその証拠です。
問題は、犯行の凶器。
これには苦労しました。
しかし、油断しましたね。
残されたカセットテープ。
この黒い部分についた指紋。
これが、決定的でした。
あなたは、テープをほぐして奥様の首を絞めたのです。
どうです。何か言うことはありますか?」
名探偵 雪だるまは、人差し指をジョニーの顔に突き付けた。
「切れると思う…。」
ジョニーが、小さく呟く。
「え?なんですか?」
名探偵 雪だるまは、動揺した顔で聞き返した。
「テープで首絞めたら、切れると思う…。」
当たり前だ。カセットテープの強度で、首が締められるわけがない。
その場に居た全員が言葉を失い、部屋は、とても微妙な空気に包まれた。
何も喋れない。誰も動けない…。
しかし、一人だけ、素早く反応したものが居た。
助手である。
サッとコートを探偵の背にかける。そして、ドアをさっと開ける。
「ジョニーさん。これで済むとは思わないでください。」
探偵は、捨て台詞を残して足早にその場を去り、助手はその場で一礼をすると、ドアをパタンと閉めた。
目黒区警部と、ジョニーの目が合い、小さくうなずきあう。
ふたりの声が揃った。
―― あいつ 間違えやがった。
美人妻ハットトリック密室殺人事件。それは、今もなお解けない迷宮入りの事件である。
文字数(空白・改行含まない):1000字
こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。
元のタイトルは、
『交差点は交わらない。密室で殺されたサーファーの美人妻は、映画女優のハットトリック。菓子と味噌汁はまき散らされ、時計の針は0時で止まる。オーパーツの鏡にうつる名探偵、雪だるまと助手の顔。転がるサイコロとカセットテープの謎を解けっ』
でしたが、文字数制限のため、『映画化!・・・』にかえました。100字のタイトルって長いようで短い。
是非、文化放送さんで映画化してほしいです・・・嘘。