チャイナガール
何となく書いたやつ
気になる子がいる。
最近学校に転校してきた子だ。
うちの高校は制服制度なのだが、転校してきてすぐだからだとか何とかで中国の伝統衣装であるチャイナドレスを着ている。
...今どきいくら中国から来たからと言っても中国チャイナドレスを普段着にする奴がいるか?
まだ、その子の気になる部分はある。
なんと、語尾が「アル」なのだ。
典型的なチャイナガールだ。
好奇心的に気になっていた。
夏休みに入ったある日、僕はお昼ご飯でも食べようかと道を歩いていると「ねぇ、いいじゃんかぁ」「暇でしょ〜?」といかにもなチャラ男コンビにチャイナガールがナンパされてるのに出会ってしまった。
生憎と僕はお人好しでは無いのだが、このまま放っていくと寝覚めが悪くなりそうなので、間に割って入った。
「お兄さん達、ごめんね。この子、僕の彼女なんだ」
「なんだってぇ!?それなら仕方ないなぁ...」
あれ?随分と物分りがいいんだな...
と思っていると
「お前最近寝盗られてたもんなぁwww」とチャラ男の友達が言った
...なるほど。ご愁傷さまです。。。
片方はゲラゲラ笑いながら、もう片方は相方を殴りながら少し肩を落として歩いて行った
「あの...」
「ん?」
「ありがとう...」
「いいよ。そのままにしてたらついて行ってしまいそうだったからね」
「そうアルね...ご飯を奢ってくれるって言ってたから...」
「それはナンパの時の常套句だよ?」
「そうアルか...」少し肩を落として言うチャイナガールに
「...俺が奢ってやろうか?」となんとなくの気まぐれで言うと
食い気味で「ほんとアルか!?」と言ってきた
「まぁ、いいよ。バイトの給料入ったし」
「...ナンパアルか?」
「ちげぇよ!」
笑いながら「冗談アルよ」と言われた
そうして、チャイナガールをつれて歩き出した。
「そういえば、名前すら聞いてなかったアルな」
「そうだな」
「私は王蘭アル。君は?」
「僕は―――――」
「いい名前アルねーーーーー」
「君もな」と言うと
「そうアルかぁ?//」と照れる
素直ないい子のようだ
「そういえば、何を食べる?全然決まってなくてブラブラしてたけど」
「ーーーーーに任せるアル」
「そっか。なら...」
ちょうど全国展開中華料理チェーン店が目に付いたのでそこで食べることにした
...チャイナガールと一緒に。
...違う。決して考え無しだったわけじゃない。口が餃子を欲していたんだ!...ホントダヨ
「お〜、ニホンの中華料理屋は初めてアル」と蘭は言う。
「そっ、そうか」
お昼としては少し早い時間だったからか、空いていたからすぐに席につけた。
俺は冷やし坦々麺と餃子の単品を頼んだ。
蘭には何でも頼んでいいと言ってあって、天津飯と、半強制的に餃子も頼んだ。
少しして料理が来た。
お互い最初は餃子を頬張った
「本場の味と比べてどう?」
「中国の餃子はそもそもあんまり焼き餃子として出ないアル。ほとんどが水餃子アル。」
「そうなんだ」
「焼き餃子美味しいアルな」
「そりゃよかった」
そうして本場との違いなどを話しながら食べていたら時間はあっという間にすぎていた。
支払いを終えると「ご馳走様でした」と言ってきた。
「はいはい。」
「なにかお礼させて欲しいアルよ」
「お礼?別にいいよ。ご飯奢っただけだし」
「させて欲しいアル!」
「...わかったよ」
「とりあえず連絡先交換して欲しいアル」
「おっけ」
スマホの連絡先を交換して、お礼は考えておくからという旨のことを聞き、その日はそれぞれ家に帰った。
風呂から上がった時に聞こえたニュース。
『夕方のニュースです。先程、〇〇市にある中華料理店兼住居に火事があり、身元不明の6人遺体が見つかりました。』
いつもなら聞きもしないニュースだが、その日のニュースはやけに耳に入り込み、脳にこべり付いた。
その日の夜には連絡が来ると思っていたのだが、来なかった。
その次の日も。次の日も。次の日も。来なかった。
結局、夏休みが開けるも来なかった。
学校内に蘭の姿は無かった。
『蘭ちゃんの家、貧乏だったらしいよ』
『蘭ちゃんは家のお手伝いでチャイナドレスを着てたのをそのまま学校に来てたらしいよ』
根拠の無い噂話だったが、胸にストンと落ちる気もした。
「お礼ってまだかなぁ」
ー君がこっちに来たらいっぱいお礼するよ。お礼できる日まで待ってるね。