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アストリア精霊剣士譚  作者: Eclipser
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異常なステータス

004

「お兄様...お兄様...朝ですよお兄様」


目が覚めると薄い水色の髪色をした可憐な少女が、エクの掛けている毛布の隙間から顔を覗き込んでいる。


(リンス、いつの間にベッドの中に...)


まだ心の中で距離のある妹をエクは優しく退けるようにし起き上がる。

リンスは膨れっ面でエクを眺めている。

エクは片眉下がりの笑顔を作りつつネロを目で探す。

するとドアが開く音がした。

ネロがどこかから帰ってきたのだ。


「起きたか、お前が鍛錬する場所を探ってきた、とにかく先ずは食事だ」


ネロは電子レンジのような魔導具で予め作っていたであろう料理を温めて、テーブルに三人分の食事を用意する。

エクとリンスはテーブルにつき、リンスは運ばれてくる料理を順に食べ始めるがエクはネロが座るのを待つ。


「先に食べてていいぞ、あまり畏るな、自分の家だと思って寛げ」

「私を見習うのです」

「戯け」

「あはは...頂きます」


漸く食事を始めるエク、それを見たネロはやれやれとした顔で椅子に腰掛ける。

食事が終わりかけの頃にネロが言葉を発する。


「エク、先ずはステータスを確認しろ」

「ステータス?」

「ああ、そういえば説明がまだだったな、リンス、教えてやれ」

「分かりました...お兄様、先ずはステータスと念じてみて下さい」


俺は念じるといった概念がそもそも分からなかった為、取り敢えず目を閉じて頭の中でステータスと呟いてみた。

すると頭の中に四角の画面のような物が浮かび上がる。

そしてその内訳を上から順にリンスが説明する。


要約するとこうだ。

【力=str、賢さ=int、硬さ=vit、速さ=agi、運=luk、体力=hp、魔法使用ポイント=mp】


リンスから聞いた一般的なステータスがこれだ。


str 35 / int 20 / vit 30 / agi 25 / luk 15 / hp 100 / mp 10


そして俺の表示されたステータス。


エクリプサー・ウォンリッド レベル1


str 6 / int 87 / vit 3 / agi 5 / luk 55 / hp 10 / mp ∞

輪廻者 / 精霊に愛されし者


(...mp無限?!チートかバグか...?)


ネロがしかめっ面で腕を組みながら話しかける。


「どうした?ステータスが見えないのか?」


(どうする...これは隠すべきなのか...?)


「いえ、ただリンスから聞いた平均値に比べると低いなと思って」

「くはは、それはそうだろう、だが安心しろ、私が鍛えてやるのだからな、それにお前は半神の血が入っている、何かお前だけの特殊な能力も身に宿るだろう」

「俺だけの能力...」


(もしかしてmp無限の事か?)


「まぁいい、食事が済んだのなら外へ出ろ、鍛錬を開始する、そう心配するな、死にはしないさ」

「お、お手柔らかにお願いします...」

「お兄様、ファイトですよ」

「あはは、行ってきます」


そう言ってエクはこの世界へ来てから初めて外に出る。

エルフ領というだけあり、周りには木々が生い茂っていて今も木の上に立っている。

ドア越しに見た景色は木と空が映っていたがこの事かと理解する。

エルフは森を傷付けず身を守る策とし、木を傷付けないよう細心の注意を払いながら木の上に家を建てる習性があり、見渡す限り木の上にしか家が無い。


「エク、先ずはここから一人で下に降りろ、それが第一の試練だ」


(まじかよ...見る限りかなり高いぞここ...)


エクは渋々了承し、苦笑いのまま会釈のような返事をする。

深呼吸し、思考を走らせる。


(普通には降りられないな...思い出せ...mpは無限、試してみるか...)


エクは下に目を向け、高所という恐怖に慄きつつも何かを探す。

目を凝らして少し離れた場所を見つめ、エクの目に写ったのは厚み約50cm、長さ約1メートルほどの折れた木の棒だ。

付近に誰もいない事を確認する。

そして木の棒を睨むように見つめ、頭の中で浮かぶイメージをしながらレビータと唱える。

すると見つめていた木の棒付近の地面が上下に振動し、ゴゴゴゴと唸りだす。

エクはその振動に耐えきれず、その場でバランスを崩し、木から落ちそうになるが必死でしがみつく。


(くそ...なんだこの揺れは...str6じゃ掴まってるのももう限界か...くそ...折角貰った命もここまでか...)


しがみつく腕力も限界を迎え、落ちたと思った瞬間急に体が軽くなり、空を飛んでる感覚に陥った。


(いや、本当に浮いている...)


ずっと下ばかりに気を取られ気付かず、上を見上げるとネロがレビータでエクを浮遊させていた。

エクはバランスが取れず空中でジタバタとしている中、ネロが驚いた顔でさっきまでエクが見つめていた方を眺めている。

エクも木の上で見つめていた木の棒があった方へと意識を向ける。

その光景を見たエクは意味が分からなかった。

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