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アストリア精霊剣士譚  作者: Eclipser
12/24

クリエーション

012

「二人とも、出掛ける前にご飯食べなさい」


魔導具店内でヴィオラの声が響く。

エクとリンスは頷き返事しリビングへと向かい、その後を追うようにヴィオラもリビングへ向かう。

まだ18歳の若さだが環境の為かヴィオラは料理を淡々と作る。

出来た料理はリンスが無言でテーブルに並べていき、エクはそれを眺めるように座っている。

出てきたのはアズベアボアの肉をブルーベリーのような果実で煮込んだ物にあの硬いパン、そしてサラダだ。


「はい、どうぞ召し上がって」

「いただきます」

「いただきます」


ネロが調味料を塗してただ焼くだけでも美味かったがそれの上を行く美味さだ。

三人は食事をしながら今後に付いて色々と詰めていく。

そしてある程度話は進み、取り敢えずの決定事項として、先ずリンスとギルドへ行きギルド証を作成する、そして世界を回りたいので旅をする、その旅先で商品販売をする。

リンスはヴィオラと一緒に共同開発しながらマスト近辺へ商品販売をする。

ヴィオラは第一にマジックバックツーを開発する、後はエクとリンスと連携して商品販売をする。


「ある程度方向は決まったね、マジックバックツーのデザインに悩んでるのよね...」

「姉さんデザインなんだけど、出来れば背負うリュックタイプじゃなく腰に巻くポシェットタイプなんかどうかな?」

「なるほどです、旅にはトラブルもありますから戦闘面も考えての事ですね」


食事も終わり、ヴィオラがリンスの言葉に納得したよう頷き、徐にリビングに置いてあるアズベアボアの革を手に取る。

そしてエクの腰に手を回しサイズを測るようにペタペタと触る、エクは姉とは言えほぼ他人に変わりないので顔を赤らめている。

するとヴィオラが魔法を唱える。


「クリエーション」


するとヴィオラの手に持っていたアズベアボアの革が宙に浮き、それを囲うように魔法陣が現れどんどんポシェットの形に変わっていく。


「ね、姉さん凄い!」

「ふっふっふー、でもこれはわたしにしか使えないのよね」

「これが姉さんにだけ現れた専用魔法?」

「お、よく分かったわね、そうよ、凡ゆる物質を好きな形に出来る、イメージした機能付きでね」


(凄い、だから魔導具専門のお店なのか)


「あれ、じゃあ母さんも同じ魔法が使えたの?」

「ううん、お母さんは精霊に愛されたって聞いてたけどわたしは物質なの」

「お母さんはどうやって魔導具を作ってたのかな...」

「ここは元々魔導具専門店じゃないよ、わたしがこの力に目覚めてから魔導具専門店として再開したの、以前はヨシキさんとこと同じ感じよ」

「なるほど、姉さんだけの専売特許か、尚更凄いよ!」

「...お兄様、フェリを呼び出すようにわたしの召喚魔法もわたしだけの魔法です」

「凄い、皆んな凄いね、僕はお母さんと同じ精霊に愛されてるから属性魔法は使えるみたい」


ヴィオラがエクの腰に手を回しポシェットを装着しながら話していた手が止まる。


「エク、その力は正しい事に使ってね、決して悪い事に使用するのはダメよ絶対に」

「え、勿論だよ?」

「なら良し、あなたは自慢の弟よ」

「姉さんどうしたの急に...」


ヴィオラは少し寂しそうに意味深な言葉を発する。

リンスは気にならないのか黙々とまだ食事を続けている。

少し沈黙が続いた時、リンスがハッとした顔で何かを思い出す。


「あっ、お兄様との連絡手段はどうします?」

「確かに、これは盲点だった!」


ヴィオラもそれを聞いてハッとした顔で答える。

そしてまた思考顔で考え込む。


「姉さん、例えばイヤリングみたいな形でお互いに声が聞こえるような魔導具とかどうかな?」

「んー、そうね、一回作ってみる!」

「これで作ったらどうでしょう?」


リンスがヴィオラに取り出したのはアズベア鉱石といい、ここマスト近辺でも簡単に手に入る鉱石だ。

家の付近を流れている川でも手に入る代物だ。


「良いわね、よし、クリエーション」


ヴィオラの魔法で手に持っていた鉱石が宙に浮き、その周りを囲うように魔法陣が現れ分裂する。

二つに分かれた鉱石は見る見る内に耳の周りを覆うイヤホンの様な形になっていく。


「よし、サイズが合うか分からないけど一度試してみよっか」

「何度見ても凄いね」

「ふふふ、当たり前よ」


ヴィオラが鼻高々にし見下ろす様にエクを見る。

そしてエクとリンスは片方ずつ今出来たばかりの魔導具を耳に装着する。


「エク、少し魔力を流しながらその上部にあるボタンを押してみて」


ヴィオラの指示通りエクは上部にあるボタンを押す。

するとリンスが装着している方でピッピッピと鳥の鳴き声のようば効果音が鳴り、リンスがビクッと驚く。

ヴィオラはその姿を見て一瞬デレたが、すぐに表情を戻した。


「リンス、魔力を感知して下部にあるボタンを押してみて」

「はい」


そしてリンスも指示通り下部にあるボタンを押す、するとお互いにザーザー音が聞こえる。


「あーあー、聞こえますか?」

「あーあー、うんうん良いねこれ」

「おお、お兄様の声が耳もとで聞こえます」

「言い方がなんかな...」


エクは苦笑いしながらリンスに応答する。

ヴィオラは良しとした顔で二人を見やり、リンスは少し嬉しそうに装着を外す様子が無い。


「じゃあ今日から寝る時以外はお互いに付けとく事、連絡は基本リンスからエクに、もしエクに何かあったらリンスに伝えてね」

「りょうかい」

「分かりました」

「二人限定のアイテムの完成だね!」


ヴィオラはニヤニヤ顔で言い、両手をパンと叩く。


「じゃあギルドに登録してギルド証を貰っておいで!、あと検問所にこれも一応持ってってね」


ヴィオラはそう言いリビングの棚からエクの住民書を手に取り出しエクに渡す。

エクはリンスとお互いに向き合い頷き、ヴィオラの方を見る。


「じゃあ姉さん、行ってきます」

「行ってきます」


二人は家を出て最初に通った検問所へと向かう。

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