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特捜班15

殺しの発想が浮んだ

作者: だいー

ある日、警視庁捜査一課15係の米良勇めらいさむが、主任の鳥飼冴子とりかいさえこに相談をしてきた。米良は、鳥飼に「気になる本があるんですが…」と言って、机の中から本を取り出した。それは「死体なき殺人」とのタイトルが書かれた文庫本だった。刑事の有本幸子ありもとさちこが、「この本がどうかしたんですか?」と聞いた。米良は有本の方を向いて、「この小説な、おれが担当した事件にちょっと似ているんだよ。」と云った。冴子は「担当した事件?どんな事件なの?」と問いかけた。米良は「いやァ、結局お宮になったんですけどね。」と言いながら本を持って、「この小説の作者、福田則行ふくだのりゆきの妻と、担当編集が失踪した事件と特徴が似ているんですよ。」と云った。若い大久保岬おおくぼみさき刑事は「すいません、その事件って、どんな事件なんですか?」と訊いた。米良はそれに応えるように、「あぁ、今から3年前の話なんだがな、福田の妻、水江と担当編集の西本京介にしもときょうすけが失踪したんだよ。と云っても、公式にはただの駆け落ちってことになったんだがな。」と云った。幸子が「駆け落ちってどういうことですか?」と訊いた、米良は「実はな、瑞江と西本は実はデキてて、後で福田のもとに駆け落ちしたことを詫びる手紙が届いたそうだ。」と云った。そして本を手にとって「この小説でもな、妻と間男を殺して、とある山の頂上の一本松の根本に埋めたと書かれているんだ。」と云った。冴子は、「なるほどね。確かに調べて見る価値がありそうね。」と云った。


冴子は、幸子を連れて「死体なき殺人」を出版したT書房に行くことにした。担当者の佐伯という男は「あぁ、その本ですね、筆を折っていたはずの福田先生から突然、この書籍を出版したいって言われたんですよ。」と云った。幸子は、「筆を追っていたのはやはり奥さんの一件ですかね?」と佐伯に訊いた。佐伯は「多分そうでしょうなァ、福田先生は西本君のことを信頼していましたし、瑞江さんとも仲が良かったからですね。」と云った。冴子は「福田さんの調子はどうなんですか?」と訊いた、佐伯はそれに「ええ、この小説を脱稿してから調子を取り戻しまして、バンバン原稿を持ってもらってきてもらいますが、どうも、この「死体なき殺人」と比べるとリアルさが欠けますね。」と答えた。冴子は、手帳を取り出して「福田さんにも話が聞きたいので、住所を教えてもらえますか?」と訊いた。佐伯は「まさか、警察はこの小説があの事件を描いたものだと考えているのですか?」と訊いた。冴子は、「さァ、どうでしょうね」と云って、ニヤリと笑った。


福田の自宅は多摩市のマンションであった。冴子がインターフォンを鳴らすと、福田則行が出てきた。冴子の想像とは違い、30代後半の若そうな男であった。2人の刑事が警察手帳を見せると、福田は冴子のスーツの襟の金バッジ見て、「襟元のバッジということは、あなた達は捜査一課の刑事ですか?」と云った。冴子は「ええ、実はこの小説について聞きたいことがあります。」と「死体なき殺人」を見せた。2人は福田の部屋に通された。意外とサッパリした部屋であった。福田は「まさか、捜査一課が本気でこの小説が瑞江と西本さんの事件を描いたものだと考えているのですか?」と訊いた。冴子は「いいえ、今のところは。」と答えた。幸子は「福田さんは、この小説をどのように書かれたのですか?」と訊いた。福田は「言っときますが、妻と西本さんの事件とは無関係です。この小説は自分で考えたんです。」と答えた。冴子は「そうなんですか。ところで話は変わりますが、西本さんと瑞江さんは今どこで何をしていると思います?」と訊いた。福田は「あの2人とはもう関わりたくないですし、もう忘れたいんです。ですが、あの2人は根は本当にいい人でしたよ」と云った。冴子は、「そうですか、ありがとうございました。」と云った。


15係のホワイトボードにはこう書かれた。

被害者?

福田 瑞江(32)

西本 京介(39)

容疑者

福田 則行(37)

そのボードを見ながら、米良は「しっかし、福田則行ってやろうはとんでもないバカなのかもしれませんね。」と云った。岬がそれに続けるように「そうですよ、自らが犯した殺人を告白するような小説を書いたんですから。」と云った。冴子が、イスから立って「まだ、2人が殺されたとは限らないわ。と云った。米良が「アッ、そうでした!」と云った。しかし冴子は「でも、私も福田は2人を殺したと思うわ。」と云った。幸子は「えっ、どうしてです?」と訊いた。冴子は「福田は瑞江と西本について『いい人でしたよ。」って過去形で答えたの。まるで2人がもう死んでるみたいな言い方じゃない?」と云った。幸子は「成る程、言われてみたらたしかにそうですね。」と答えた。そして冴子は岬を見て、「それで、頼んでいた小説の描写に近い場所は特定できた?」と聞いた。岬はそれに「アッ、なんとか近いところは見つけました!」と云ってもホワイトボードに拡大されてプリントされた地図の一部分を貼り付けた。「群馬県のT山の頂上が一番近い場所だと思われます。」と云って、さらに一本松がそびえる頂上の写真を貼り付けた。幸子は「群馬県警に捜索を要請しますか?」と訊いた。しかし冴子は首を横に振って、「いいえ、それだと死体が出ても福田が埋めたって言う証拠にはならないわ。必ず福田が埋めたっていう証拠を掴まないとだめよ。」と応えた。幸子は「じゃァ、どうするんですか!?」と云った。冴子はニヤリと笑って、「大丈夫よ。作戦は考えてあるわ。」と云った。


それから2日後、ごみ捨てをする福田に、冴子と幸子が話し掛けた。福田はスランプなのかやけにイライラしているらしく、2人に、「またあんたらか!あの小説は2人のこととは無関係だと言ってるだろ!」と怒鳴りつけた。冴子は、それに怯えず、「いいえ、実は2人の遺体が昨日発見されました。」と云った。すると、福田の顔がみるみる青ざめて、「___どこで見つかったんです?」と訊いた。冴子は、「まだ、私もわかりません。先ほど群馬県警から連絡があったばかりでして…」と云った。福田は、「そ、そうですか。」と云った。冴子は、「一応、ご報告だけはしておいたほうがいいと思いまして、」と云って、幸子と一緒に福田のもとから離れて行った。2人の姿が見えなくなると、福田は青ざめて、「まずいな…」と云った。

その夜、T山の頂上の一本松の根本で男が地面を一心不乱に掘り返していた。とその男の顔を懐中電灯が照らした。その男は福田であった。懐中電灯を持った女が近づくと、「こんな夜中に何をしてらっしゃるのですか?」と云った。その声は冴子であった。福田はシャベルを捨てて、逃げようとしたが、周りはすでに、幸子と、米良と、岬、そして群馬県警の機動隊に囲まれていた。冴子は、シャベルを持って穴に近づくと、その穴を彫り始めた。そして、シャベルが「ガツン」と音をたてた。冴子の合図で機動隊員が土をかき分けると、中から男と女の人骨が出てきた。冴子は、唸だれる福田を見下ろすと、「この骨は、瑞江さんと、西本さんですね?」と訊いた。福田はそれに応じず黙っていた。冴子は畳み掛けるように、「残念でしたね。あなたは小説にリアル差を出すために自分の犯した殺人事件をモデルにしたんですが、それが命取りになったんですよ。」と云った。

どうでしたか、小説を書き始めたばかりで文法とか間違っていると思いますが、面白かったでしょうか。同じキャラで続編も作ろうと思っておりますが、楽しみにしていただけるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  面白かったー(^_^)  短編はたまに見に来てますが、良いもの見つけた。 [気になる点]  段落ごと一行空けていただくと、より、読みやすいと思います。
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