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第1章 その10 精霊石と、魂を映す鏡

         10


 とても不思議な、ながめだった。

 透明で、それでいて、内側から、ほの青い光を浮かび上がらせている。

 それを『精霊石』だとコマラパ老師さまは言った。


 あたしの魔力を診断するのに、量産品では受け止めきれないだろうと予想して、

 オリジナル? というのを持ってきた。

 それが、この『精霊石』だというの。

 どういう意味なのかな?


 エステリオ叔父さまが、あんなに慌ててるなんて。

 なんだか、ずいぶん……おおごとになってきている気がするのだけれど。


 あたしの中の、どこか深いところで。

 精霊石を見て、動揺している、誰かが、いる。


 コマラパ老師さまのお名前も、刺激になっているみたいだけど。


 あたしは……何か、とても大切なことを、忘れてしまっているんだろうか?

 青い、青い光を、浮かび上がらせている『精霊石』を見つめていると。

(ブルームーンストーン)

 心が、さわぐ。

 なんか、おかしいの。涙が、出てきそうなの。


 でも、今は三歳の『魔力診』だ。

 子どもは、ぜったいに、クリアしないといけない行事。

 目の前の大事なことに向き合って。


 じゃあ、やるしかないじゃない?


 あたしは手をのばして『精霊石』に、触れた。


 とたんに、何かが急速に吸い込まれていくような感じがした。

 際限なく。

 こわくなって、というより力が抜けて、自然に手が離れていた。


 すると、石は、床に落ちて。


 ぶおんっ


 奇妙な振動音がした。

 触れたときには表面が滑らかな丸い石だったのに、水晶の結晶を思わせる形状になって、そこからまっすぐ上に光の柱が出現したのだ。


 そこに映っているのは、あたし。

 三歳のアイリス・リデル・ティス・ラゼル。


 ん?


 鏡に映っているあたしの周囲に、数字が見える!?

 箇条書きになってる?


 え~と。


ーーーーーーーーーーー


 個人名……アイリス・リデル・ティス・ラゼル(前世の記憶は封印されている)


 年齢………3歳


 種族名……人間(先祖還り)


 生命力……50(三歳幼児の平均値に比較して50パーセント)


 魔力量……2000(平均に比較して20倍。成長上限なし)


 魔力適性……全属性に適性対応(魔力の色・白・クリアカラー)


 特殊スキル……応援(半径10メートル以内の人間の能力を上げる)

        スマイルは無料(笑顔を向ける相手に幸福感を与える)

        ハーモニー(誰かと一緒に行動すると相手の能力を向上させる)


 加護…………光の妖精の守護

       風の妖精の守護

      (成長すれば、妖精フェアリーから、精霊スピリットに進化可能)

      (枠はまだ空いている。一属性につき守護になれる精霊は一つ)



ーーーーーーーーーー


「まだ3歳なのに、なんという魔力量だ。しかも上限がないとは」

 コマラパ老師さまは冷静におっしゃった。



 あたしは、すっごく驚いていた。

 前世の記憶は封印されている?

 っていうか前世って!?


「これが『まりょくしん』なの?」


「いや、まだ終わらん。今のは現状把握だけだ」

 コマラパ老師さまは鏡の中の映像を指して、言った。



「これから起こる、さらなる変化に気を留めるのだ、アイリス! もっと、別の階層が、鏡像として浮かび上がって見えてくるはずだ!」


 

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