終わりはひそかに
あれから美紗は帰ってこない。
両親は消えた娘を必死で探していた。家にいる彼女しか知らない彼らでは、いざ友人への聞き込みを、と意気込んだところでできるはずもなく。学校と警察には届出たが、
社会的扱いでは行方不明だ。
だが俺は知っている。
彼女は、姉は、とうにこの世にいないということを。
身体はどこかにあるのかも知れないが、美紗自身はどこを探したって見つかりっこない。
俺がとっさに偽装した置き手紙を、彼女の部屋から見つけたふりをした。ちょっと一人旅に出てきます、なんてありえない内容を信じて、母さんも父さんも、どこかで美紗が生きていればそれでいいと思っている。連絡のひとつも寄越してこないかしらとぼやく。
姉が本当は死んでしまった、という事実は、今までどおり、俺だけが知っていればそれで万事丸くすむことなんだ。
それがたとえ俺自身に棘を残していたとしても。今までと違うのは、もうお見舞いには行くことがなくなったというだけ。
スクランブル交差点を歩いていたとき。
俺は見覚えのある人影とすれ違った気がした。
白いワンピース。
はっとして振り返ったときには人ごみに紛れて分からなくなっていた。
けど、きっとあれは―――




