魔法、か
プロローグ3
強行突破、いい手とは言えないかもしれない、というより、まるっきり悪手だが、それしか方法がない。
もしここで行動しなければ、兵士たちは俺を拘束するかもしれない。事情を聴くだけかもしれないが、言葉が分からない。長いこと自由にはなれないとすぐにわかる。
なら、強引に町に入ってしまったほうがいいだろう。
「hぐうやjぐあhfれ!!!」
目の前の兵士は大きな声で、威圧するように言っている。
周りの兵士に少し緊張が見えた。
目の前の男がリーダーで、周りの奴は部下・・・それも経験が浅いと。
確かに、前の奴だけガタイがいいようにも思える。
・・・なら、混乱させるのが定石だな。
俺は前にいるやつのよこを、何事もないように歩く。
周囲は一瞬固まったが、すぐにリーダーが俺の肩をつかんだ。
しかし、俺は止まらない。これでもかなり鍛えているのだ。
リーダーは少しだけのけぞった。
周りの奴らはまだ固まっている。指示がなければ動けないのれを横目に、速度を上げた。
ほぼ、全力ダッシュだ。
固まってるやつらは当然反応できず、肩をつかんでいるやつも手を放した。
町の中にはいった。門から声がしてきたとおもったら、兵士たちが追いかけてきている。しかし、持ち場をはなれるわけにはいかないのか、3人だけだ。しかも、リーダーと思わしきやつは追いかけては来ていない。さらに、距離も離れているから、巻くのも余裕だろう。
俺は適当に脇道に入ってあいつらを巻いた。
「ふう・・・」
少し、疲れたな・・・。
全力疾走なんて[あいつ]が入学して以来だったからな。息も切れるか。
さてこれから何するかな。
俺は壁に背を任せながら考える。
まず、金だろう。これには考えがあるからいいとして、問題は服だな。制服はこの世界では珍しいのだろう。おそらく、門のところで止められたのもこれが原因だろうからな。厄介ごとはごめんだから、なるべく早く着替えたい。
まあ、これは服屋でも見つけよう。商業都市ならそれくらいあるだろう。
「よし」
十分休み、呼吸がいつもの速度に戻ったところで、俺は薄暗い路地をさがしにむかった。
フィーリングで歩いていると、いい感じのところを見つけた。
いかにも 不良ども がいそうな場所だ。こういう薄暗く、人が寄り付かない場所でたむろするのは、どこの世界も変わらないだろう。
そう、俺は不良を探していたのだ。生前にも、金がなくなった時やストレスがたまったときは趣味で不良狩りをやっていた。
俺は裏路地に入ったところで、ナイフを右手で逆手にもった。
「さーて、いるかなぁ・・?」
この時ばかりはテンションが上がる。
俺は、見た人曰くぞっとする微笑をしながら、裏路地を進む。
「ラッキー・・・」
裏路地の行き止まり、そこにエサ{不良}はいた。
しかも、一人で、だ。
そいつの姿は、妙なものだった。いや、むしろ普通なのか。
今までにおお通りなどで見た人の髪の色は黒がほとんどなのだが、こいつの髪の色は、水色。
穴の開いた耳と鼻。
目つきはとても悪い。
そして、服がぼろい。いや、これはファッションなのだろうか。膝のあたりが破れたズボンをはいている。
中性的な顔で、かっこいいが着ているもので台無しだな。
THE不良だな。しかも、凶器を持っていない。エサ以外のなんだというのだろう。
「ちょっと寝てもらいますねー・・」
「bfっ」
俺は大股2歩の間合いまで歩いてちかづいた。
不良は俺をにらんでいる。だが、その顔には余裕が透けて見える。
「油断と余裕は紙一重・・・だよ?」
俺は一瞬で不良へ肉迫し、ナイフで切りかかろうとする。
不良は半身ずれて回避しようとするが、それが命取り。
俺はナイフを空中に捨て、切りかかろうとしたときにできた勢いをけりに回した。
結果、不良は何回転かするはめになった。
俺はそのまま、左足を軸に一回転し、ナイフを空中でキャッチ。
「いやー、異世界でも全然変わんないね。・・・ほんと弱すぎだよ」
こら切れない笑いを舌かんでこらえ、不良を見る。
「・・・何してんだ?」
不良は俺に手のひらを向けている。とりあえず俺は左手でナイフを逆手に持った。
「うわっ!!・・」
不良の手から、岩の弾が飛び出してきた。俺はそれをぎりぎりでかわす。
「yぶあbyじゃび!」
信じられない、という顔で不良は見てくる。
確かに、かなりの速度だったが、俺の反射神経は並じゃない。
「しかし、魔法か・・・」
異世界なら何でもありかよ。
まあ、先ほどの発射速度と、俺に蹴られたことを鑑みるに、それほど魔法は強くないな。
なら、問題ない。
俺は左手に構えたナイフで刺そうとする。しかし、不良も2回目はちゃんと後ろにジャンプしてよけた。
だが、こちらはそれを予想済み。一歩前に出て、ジャンプ中の不良の首を強引につかんだ。
「っっっっ・・・!!」
バタバタ暴れているが、俺の力は、じまんじゃないがかなり強い。
そのまましばらくしていると、急に動かなくなった。意識を失ったのだろう。
とりあえず、地面に寝かせる。
「さあてと、一体何があるのかな・・・」
気絶させたら、やることはただ一つ。いつもは自分で出させていたが、言葉が通じない今、確実に金目の物を奪う方法。
みぐるみを、はぐ。
「 ・・・・」
服をはいでみて、分かったことがある。
こいつ、女だ。
いや、まさか女だとはね。普通は思わないだろ。うん、それに金を奪わなきゃいけないしね。
とりあえず下着の状態にして、その他のものをこいつがもっていたバックに詰める。
・・・竜ケ崎竜也は、男子高校生である。至ってけんぜんな、男子高校生である。
も、もしかしたら、残っている下着が、高価なものかもしれない。
俺は、震える手を、彼女のパンツにかけた。