体育祭(1)
「終わったー」
委員会が終わり教室に戻った瞬間私は机に突っ伏した
「今日1日終わったような顔してるの
まだ何も始まってないよ」
呆れると言わんばかりの顔で私を見てくる
「しょうがないじゃん」
口を尖らせると上から笑い声が聞こえた
「あ、優羽」
「ばたばたさん」
バカにするような口調で言ってきた
「長田聞いてよ
凜華が接待のシフト1番初めと最後入れたんだよ」
「へぇーどうせ理由はひとつだろ」
「優羽よく分かってる
準備、片付けがあるからSHR公欠になるから」
「凜華の椅子を運ぶの誰だと思ってるの」
「それはごめん」
私の学校は外に教室の椅子を運んでそこに座る
サボりのために委員会を入れた私の椅子を運ぶのはいつも千夏
去年も頼んじゃったんだよね
「じゃー行ってきます」
「いってらー
先生には伝えたの?」
「あー。忘れてた
優羽か千夏言っといてください」
顔の前に両手を持っていきお願いしますのポーズをとって走って教室を出た
「柚奈お待たせ」
「もー遅いんだから」
「ちょっとわすれかけてた」
「仕事忘れないでね」
後ろで声がしたから振り返ったらHR委員の先生だった
「あーごめんなさい
朝からバタバタで」
「はい、言い訳しない
皆野さんだけシフト増やすよ」
「それは勘弁を」
私と先生の会話を聞いて柚奈がゲラゲラ笑ってる
「もーそんなに笑わなくたって」
「二人の会話面白くて」
冗談めかして話しているこの会話は第三者からしたら面白いのかもしれない
話してる私も楽しいから
「お茶私たちが沸かすんですか?」
「当たり前でしょ
ほら、勉強勉強」
先生に急かされて家庭科室に向かった
すれ違う生徒はみんな椅子を運んでいる
「もうこんな時間だって
凜華急がないと」
「よし、走ろう」
朝から走ってばかりだけどまぁ、いっか
「社畜がんばれー」
声が聞こえて横むくと千夏と優羽だった
「もー社畜社畜言わないでよー」
「ほら、凜華急いで」
千夏と話してたら柚奈に急かされた
「千夏椅子ありがとう」
「はいよ、がんばれ」
さっきより早めに走る
今日は外のドアから家庭科室に入ることを許されている
「やっと着いたー」
「お湯沸かそ」
暫くすると校庭から校長先生の話が聞こえてきた
「やばいよ時間ない」
「もうお茶作れたよ
ポットに移し替えよう」
お茶の準備を終え、家庭科室を綺麗にしてから急いで校庭に向かった
「お茶どうぞ」
紙コップ半分注いで見学に来ている人に渡す
「お茶いかがですか?」
それだけの仕事
逆に言えばそれだけの地味な仕事を1時間
柚奈が相手だったから楽しいけど
そう思いながらロボットみたいに同じ行動を繰り返す
が、
「もうお茶ないかも」
ポットのボタン押しても少ししか出てこない
「先生に伝えてくるね」
柚奈が代わりに伝えに行ってくれた
「もう次のシフトの人に代わるからいいよ
お疲れ様」
「お、やったー
お疲れ様でした!」
先生に終わりを告げられた私たちは満面の笑みを浮かべ、ビュンという効果音が付くぐらいのスピードでその場を離れた
「また後でね」
「柚奈、私のところまで迎えに来てくれない?」
「了解」
私は借り物競走しか出ないから基本暇
「あ、おつかれ」
「千夏ー
私のクラス勝ちそう?」
「いい所まで行ってると思う
ねぇ、見て次長田と奏芽が出る1500mだよ」
「これで1、2位取れば優勝に近づくじゃん」
個人種目の中で最も特典が高い種目が1500m
だからクラスの中で足の早い上位2位が走るから毎年僅差で順位決まるんだよね
「位置について。よーい。」
バン
スタートの合図があり、みんなが一斉に走っていく
100m走の勢い
声援もあちこちから聞こえ、誰が何を喋ってるかなんて分からない
「がんばれー
抜けるよ」
私も大声で応援した
もしかしたら相手に聞こえるかもしれない
その一心で
「ねぇ、凜華みて
長田1位だよ」
「すごっ!!
優羽がんばれー」
あっという間にゴールテープをきった
その次に奏芽が続いた
「2人ともすごくない!?」
「ね!凜華の応援も凄かったけど」
「千夏も負けてなかったよ」
「あ、2人帰ってきた」
「お疲れ様
かっこよかったよ2人とも」
「ありがとう
凜華と三吉が応援してくれてたの聞こえてた」
「本当?良かった」
「凜華なんて1人で張り切ってたからね」
「もーそれは言わないお約束」
「でも優羽に勝ちたかったな」
「琥太も僅差だったじゃん
俺抜かされるかと思った」
「でも3位と結構差が空いてたね
凄いよ
差が開くことなんて滅多にないし」
「そうだよな。ありがとう」
少し奏芽が落ち込んでいるのが顔からわかった
明らかに落ち込んでいる
優羽と奏芽はライバルだもんなー
「ほら、次借り物だよ」
「あ、千夏急ご」
頑張ってこいよ。という応援を背中で受止め私たちは走って召集場所へ向かった
「はぁ、少し緊張するね」
「大丈夫でしょ
気楽に行こう」
緊張ほぐしのために千夏に背中を叩いてもらってスタート時点に向かった
読んでくださってありがとうございます。
体育祭はまだ続きます。
恋の行方はどうなるのか。
そして頑張って仕事してる生徒会等を応援してあげてください笑
これからもよろしくお願いします。