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ブァンの生い立ち~救世主降臨。04


ブァンの生い立ち~救世主降臨。04



ロイヤル三世、治世暦、四年【AB-04】




《桃源郷、光の教会》




エスポアールは、この地に赴いた目的である、救世主の存在についての話しを切り出した。


『美空さん…この村に救世主がいるという噂は本当でしょうか?』



美空はブァンの方を、しばらく見て、太陽神に祈りを捧げてから、間を置いて徐おもむろに話し出した。



『この子、ブァンが生まれる一年前、大輪月の夜のことです。』


『この教会から、さほど遠くない桃源の丘の空に、光の玉が現れました。』


『まだ、乙女だった私は、好奇心から聖桃木の真下まで行き、光の玉が何かを確かめに行きました。』


『すると、その光の玉が、頭の上まで降りてきて、私を包み込みました。』


『驚いた私は、裸足のまま走って光の教会まで、戻りました。』


『礼拝堂で、震えながら祈っていると、眩まばゆい光と共に、太陽神のお使いが現れました。』


『そのお使いは、長い杖を持ち、その先端には、月の形をした大きな飾りが付いていました。』


『その、お使いは、よく通る声で語りました。』


『我は、時を操りし者、太陽神の導きにより、汝の胎内に、世を救いし、主マスター、降臨せしめた。』


『乙女よ! 恐れるな、汝は太陽神により祝福されし者なり。』


『お使いは、そう言葉を言い残すと、姿が見えなくなりました。』


『その後、村で木こりをしていた、主人と結婚して一年後に、ブァンが生まれました。』


『この子が生まれた時、主人が私に言いました。』


『この子は、生まれながらにして、足枷あしかせをしているが、悲しんではいけない。』


『これには、深い意味があると、そして、それこそが、救世主の証あかしであると 』


『エスポアールさん、あなたが探している救世主とは、この子、ブァンなのです。』


しばらくの沈黙のあと、エスポアールが口を開いた。


『こうして、光の教会へ導かれたのも、きっと、太陽神のお導きですね。』


エスポアールは、梟の森にある癒しの湖の事を美空に話して聞かせた。


『その、癒しの湖に浸ると、ブァンの足が治り、歩けるようになるのね…』


美空は、礼拝堂から、小さな袋を持ってきて、エスポアールに手渡した。


『金貨、30枚が入っています。この子の足が治るのなら、このお金を旅費にしてくださいな。』


『 年一度、大輪月の日、シャーマンという人が、この桃源郷に馬車を止めます。』


『 金貨3枚で、王都へ行く人達を乗せてくれます。』


『その馬車で、ブァンを癒しの湖へ連れて行っていただけるかしら。』


エスポアールは、救世主を助けるという大役を喜んで受け入れた。


『美空さん、わかりました。ブァン君のことは、お任せください。』


『大輪月の日、迄は、まだ、あと三ヶ月程度待たねばなりません。』


ミニヨンが、そこで口を挟んだ。


『それまで、お母さんに、ピーチパイの作り方、しっかり教えてもらえるねー♪』


ブァンが、笑顔で相槌を打った 。


『ミニヨンは、お菓子の事となると、目がないね~♪』



明るく笑う四人の声のハーモニー。


外はもう、すっかり暗くなり、星々の明かりがテラスと愛まなの湖を優しく照らしていた。


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