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エピローグ  ~2015年 2月4日~

エピローグ 



~2016年 2月4日~


 二月になっても冬の厳しい寒さは衰えることなく、榛名山に雪の化粧がなくなることはなかった。その場所に、花束を持った一人の男がいた。革のジャケットにジーンズというラフな格好で、鮮やかな花束を肩に担いでいる。もう片方の手には大きな鞄を持っていて、中から日本酒の酒瓶が顔を覗かせていた。

「まったく。けったいな所に作ったもんだ」

 男はわざとらしくため息をつきながら、目的の場所へと足を進める。榛名湖に面した道から少し入ったところに、その場所はあった。

 ダリオ宮。今は住人のいない無人の屋敷。その隣には、墓とは思えない綺麗な墓石が二つ置かれている。男は墓の前に立つと、向かって左の墓石に花束を添えた。墓石には、柊未羽と刻まれている。

「やぁ、未羽ちゃん。久しぶりだな」

 男は左の墓石に語りかけた後、右の墓石のほうを向く。右の墓石には、雨宮紡人と刻まれている。

「よう、雨宮。大親友の榊誠士郎が来てやったぜ」

 榊はにやりと笑いながら、鞄の中から日本酒と猪口を2つ取り出す。そのうちの一つを右の墓石に置いて、酒を並々と注ぐ。

「新潟の名酒だ。味わって飲めよ」

 そう言って、手に持った猪口に酒を注ぐ。そして、墓石の猪口と杯を突きあわせた。チンッ、と心地よい小さな音が響いた。

 榊は猪口を傾けると、一気に飲み干した。二つの墓石を向かい合うように座り込んで、再び猪口に酒を注ぐ。

「早いもんだな。あれから、もう一年も経っちまった。いろいろと大変だったんだぜ。まずはその報告からだな」

 二つの墓石に語りながら、思い出すように目を細めた。


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