42/47
~2014年 1月11日~
~2014年 1月11日~
「はぁ、はぁ、はぁ」
今朝から未羽の調子がよくない。
浅い呼吸を繰り返しながら、不規則な脈拍を打っている。熱もあるようで、前髪が汗ではりついてしまうほどかいていた。
「未羽、俺の声が聞こえるか?」
「はぁ、はぁ」
雨宮の問いかけにも返事がない。苦しそうに悶えながら、時折胸を掴むような仕草をする。体温と血圧を測り、抗生剤と解熱剤の準備をする。未羽の針金のように細い血管に点滴を打つと、ぽたぽたとゆっくり滴下する。
三十分ほどしたところで、ようやく解熱剤が効いてきたのか、未羽の熱も下がりだした。表情もいくぶん穏やかなものになり、つかれきったように静かな寝息を立てている。
「……未羽」
雨宮は未羽の手をとると、優しく握った。
もう少し。
あと、もう少しだけ。
ほんのちょっとでいい。このまま未羽との時間を終わらせないでくれ。
雨宮は祈るように目を閉じた。




