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アニメ声の異世界女性

「おっ、おは」


振り向きながら挨拶する俺の声はどもったかのように途中で止まってしまった。

ルードだけ来ているかと思いきや、エラさん(ルード母)も一緒にいたからなんだが、このエラさんがまた凄い美人なんだ。

描写についてはうまい人に任せるがまあ、美人だ。


「おはようございます、スプーキーさん。よく眠れましたか?」


朝日を背負ってニコッと笑うエラさん。

ああ、生きててよかった。


「ええ、すごくいい目覚めでした。久々によく眠れましたよ」

「そうですか、よかったです。スプーキーさんは旅のお方ということですので、枕が変わって寝られないなんて言うことはないですよね」

「枕が変わって眠れなくなる、っていう言葉はこっちでもあるんですね」

「ええ、そうですね」


なんて会話をしているとルードがつまらなそうに、エラさんの服の裾を引っ張る。


「母さん!スプーキーの服を買いにいくんでしょ!早くいこうよ!」

「あ、そうだったわね。お母さん忘れてたわ。」

「服ですか?」

「ええ、スプーキーさんにはお世話になりましたから。

 スプーキーさんは、その特殊な服装さえやめれば間違われることも減ると思いますよ。」


言いながらエラさんとドーラは歩いていく。

テクテクと見えるが二人とも足が早い。

でもその早い足についていける、息も上がらないし、胸も痛くならない。

脛も、太腿の関節も、昨日あれだけ動いたのに全身どこも痛くなっていない。

ステータスについては聞いてないから(何が普通じゃないのか判らないので)、自分の数値がどうなのかわからないが、最低でも元の世界にいたときより動きやすくてとてもいい気分だ。

それだけでもこの世界に来てよかったなと、思う。

また、空を見上げた、俺はこの世界に来て何度空を見ただろうか。

元の世界にいるときに、こんなに何度も空を見ることはなかったと思う。

そらは広く、雲が色々な動物の形になっては風に流されていく。

ふと、手を挙げてみる風とは違うなにかの動きがわかる。

(これが魔元素なのかな)


魔元素(マナ)、魔法の素となる何らかのエネルギー。

というのがこの世界にはあるらしい、ゲームなんかで聞いたことのあるエネルギーだ。

それがあるので、火を出せるし水も出せる。


立ち止まり腕を空に掲げて、手をにぎにぎと開いたり閉じたりする。

やはり風以外の何かを感じる。


ばたん、と。何かが倒れる音と小さな泣き声が聞こえる。

そちらを向くと小さな子が転んでいた、母親は両手で荷物を抱えているから対応できないのか、そういう教育方針なのか、手を差し伸べずそれを見た子供は泣くのをやめてたち上がる。

母親はそんな子供をみて両手に抱えた荷物を片手で支えると子供の頭を撫でる。

子供は嬉しそうに笑うが、肘が痛むのだろう。泣きそうな顔をしていた。


俺は無言で、近づいた。

その子を治療するつもりだったのだが、母親が俺をみて、やはりぎょっとした顔をしてその子との間に立ちふさがった。


「ああ、そうか」


俺はこの二日で何度もされるこのやり取りが、酷く滑稽で空しかった。

何度やるんだよ、もう飽きたよ、と思いながら火が飛ばせるなら回復も飛ばせるだろうと「治癒方術」を「放出タイプ(バーナー)」で出した。

突然手を翳したためか母親が身を固くする。

俺の手から光の粒子のようなものが見える、昨日おっさんを回復したときにも出ていたような気がするな、自分にやった時は…見えなかったが。

子供の傷が癒えて、母親も細かな傷があったようでそれを癒せたのがなんとなくわかった。


くいくい、と服を引っ張られる。


「何してんだよスプーキー、母さん先にいっちゃったぞ」

「ん、ああ。悪いな」


振り向くとルードが悪戯をしようとした友達を見つけた悪ガキのような笑顔をしていた。

そのまま俺はルードに連れられ、歩き始める。

あまりガラスがないので道に面した建物が、何屋なのかわからないなと思っていたが、立て看板や壁についた看板に刻まれているイラストや文字でわかるようになっていた。

また、中には扉が開きっぱなしで中の様子が見える店舗もあった。

しかし大半は扉の閉ざされた店だったが、その中に看板からすると本屋だと思われる店舗があった、後で覗いてみよう。

俺はきょろきょろとあたりを見回しながらルードについて行っていたが、ルードはとある店舗の前で立ち止まる。


「ここが、リンダさんの布屋だよ」

「布屋?服屋じゃないのか?」

「スプーキーみたいにでっかいと、普通の中古服屋にサイズが置いてないからね。

 母さんが自分で作るのかと思ったけど、サイズもよくわからないからリンダさんに頼むって言ってたよ」

「そうなのか、(この時代背景だと)服って高そうだな」

「銅貨50枚だって言ってた。父さんを治療するための薬と比べたら全然安いから、断らないで受け取ってほしいって父さんも言ってたからさ。」

「…まあ、そういうことなら受け取らないとな」


と、話していると布屋の中から大きな影が出てくる。


「う、うおっ」


俺は思わず後ずさりをしてしまった、その人は体がでかく迫力がすごい。

その人がこちらを、じろりと見ると口を開く。


「なんだいなんだい、失礼なやつだね?

 エラ、こいつのどこに私は驚けばいいんだい、ただの肥満体じゃないか」


声がめっちゃアニメ声の人だった。

身長は俺と同じ程度(180cm位あるだろうか)、なんか"ザ・ガッツ"って感じの人でとても厚い体をしているが、胸部にメロンのような大きなふくらみがある。

そして布屋から出てきたときは影になっていてよく見えなかったが、声と同じで非常にかわいらしい顔をしている。

そんな彼女の後を追って、布屋からエラさんが出てくる。


「驚かないなら別にいいわよ。

 スプーキーさん、この方はリンダさんっていうの、ルードに聞いたかもしれないけどスプーキーさんの服を作ってくれるわ」

「はっ、これぐらいで驚いててシルクワームの討伐ができるもんかい」

「あ、よろしくおねがいします」


俺は頭を下げた、先ほどまで自分の姿を見られて怯えられて滑稽だなんていいながら、俺が見た目でビビッてどうする。


「なんだい、そんな締まりのない体をしてるから、貴族かなんかかと思ったが針子の私をみて頭を下げるなんて、あんたは平民なのかい?」

「え、いや。そうっすね、平民っす。」


呆れたように言われて、俺はなんだかヤンキーの舎弟みたいな言い方で返答してしまった。


「…まあ、いいや。ちょっと触るよ」


筋骨隆々(女性に言うのでであってるのか)な体をしているが、その手が俺に触れるが触られているという感覚があまりない。

時折メジャーのようなものを出したりして体を計っていたが、俺の服の端をさわってじっとみつめたまま固まってしまう。

ちなみに俺のかっこうは昨日と同じでスーツ姿だ、矢で空いた穴なんかは塞がっていて血の汚れもない。


「あんた、この服を魔元素で作ってるね?」

「え?」


なんか速攻、魔元素で作ってるといわれた、スキルを使って魔元素から作成しているのだろうから、そうだと思うが。


「そのせいだよ、あんたこんな魔元素の塊を着てるから魔元素に慣れていないような奴等に化け物と認識されんだよ」


つっけんどんに言われたが声はアニメ声だ、でも冷たいアニメ声って怖い。


「こっちにきな」

「えっ、なんすか」

「とりあえずこっちで裸になんないとうまく採寸もできないんだよ!」


リンダさんはワイシャツの襟をつかむと、力強く引っ張ってくる、突然のことであったが俺はなんとか両足を開いて踏ん張る。


「ちょ!リンダさん!」

「さっさとしな!それともこんな街中で脱がされたいのかい!」


リンダさんは声がでかい、俺はびびって辺りを見回すと通行人が「なんだなんだ」と集まってきていた。


「い、いえ!ついていきます。」

「じゃあ、踏ん張るのをやめな!」


そして俺はずるずると家に連れ込まれ、裸にひん剥かれたのだった。

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