表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

D級冒険者 エミヤヘル

俺はD級の冒険者でエミヤヘルという。

倒せる魔物はゴブリン(緑の小人)程度だ、得意な武器は弓でこの村の代官に雇われている。


この村はフルブレア領とイマノダン領をつなぐ街道にあるため交通量が多く、いざこざを避けるために俺のような冒険者を雇っている。


報酬はD級冒険者としての平均からすると若干多めで食事にも困らない。

さらに村を襲いに来た魔物を倒したときにはボーナスも出る。

勤務は基本的一組二人の半日交代で村の入り口に用意された椅子に座って行い、日がな一日ぼんやりと過ごすこともある。

俺は最近雇われたばかりなので以前のことはわからないが、ベテラン連中なんかは最近ここいらの交通量が少なくなり、この先大丈夫か心配していた。

俺がもらっている報酬の金額も、ボーナスが出るのも以前の領主様が冒険者に支払っていた名残らしい、俺にはすごくありがたいがベテラン連中はこれでも少なくなったとぼやいていた…。

領主様が亡くなられ、ご家族が居なかったため国が所領を預かることとなり代官が来たのだが、その代官が正に嫌な貴族と形容できることそのものだった。

冒険者をやっていれば嫌な雇い主なんてざらにいるので俺は気にしていないが、そんなところもまたベテラン連中からすると変わってしまって嫌な部分らしい。

金がもらえればそれでいいじゃないかと思うんだが、やっぱり報酬が少れば俺も細かなことに文句を言うようになるだろう。


ある時村人が這って森から抜けてくるのが見えた、どうやらマンドラゴラにの声を聴いてしまったらしい。

この村人は入り口近くに家を構えているためよく挨拶をしていた。

どうしたのか聞いてみると、めったに生えていない霊薬がこのあたりに生えていたというのも不思議だが、抜き方すら知らなかったのだろうかと思っていたが、男を連れて家に戻ったら、なんとなく理解ができた。

貴族の取り巻きが家を見える位置に立っていて、取り巻きは這う這うの体だった男をみてニヤリと笑って、館の方に去って行ったのだ。翌日、マンドラゴラの叫びに効く薬をもって家に代官が現れたらしい、わかりやすい男だ。

確かにこの村人の奥さんは凄まじい美人だ、美形の集まりというエルフの集落にだってこんな美人はなかなかいないだろう。

だからってそこまでするか、と思ってしまったがそれ以上は口にするのはやめておいた。

奥さんは断っているらしいが日に日に弱っていく旦那にどうすればいいかわからないのだろう、ついに昨日なんかは薬をちらつかされ家の中に入れたのが見えた。

子供たちが帰ってきて代官は憤慨しながら帰って行った。

翌日になっても奥さんの顔色が優れないことから薬はもらえなかったのだろう。


翌日、子供たちが村の外に出るといって門にやってきた。

どうしたのかと聞くと薬を取りに行くらしい、その場所を聞いてみれば近場であるし、剣士(モズという名前だ)が持ってきた引き継ぎ資料によると少し前に亜人討伐が行われたエリアだったの本来ならば、止めなければならないところを剣のやつが許可してしまった。

まあ、俺が言われても許可しただろう、あそこまで必死だったのだから。

しかし、亜人討伐はいつ行われたのだろうか、そんな冒険者をみていないのだが。


子供たちが行って3時間程あたりだろうか、一時休憩を終えて見張りに戻った俺の耳に奥さんが子供を呼ぶ声が聞こえた。

あたりはかなり暗くなってきている、まさかまだ帰ってきていないのか。

こちらから、声をかけようとしたら代官の取り巻きが、狩人の家にやってきているのが見えた。

何かを奥さんに話しているようだ、声が少し聞こえてくる。

「……討伐…ない、子供の……大事じゃないのか」

その声はよく聞こえない。

取り巻きの周りには何人もの兵士が見える、金属鎧を着たあいつらは冒険者ではなく代官の兵士だ。

奥さんは取り巻きの足に縋り付き、取り巻きが何かを言うたびに頷いている。


「おい、弓を構えろ」


突然モズが声をかけてくる、なんだと思い街道を見ると、子供二人が見える。

ほっ、とするのもつかのま、その隣に球体に手足がついたスタイルをした奇妙な服を着た者の姿が見える、身長は大人の中でもでかい方だろう。


「…オーク(豚頭亜人)か」


モズがそう呟いた。オークだって?そんなのがなんでこのあたりにいるんだ、あれはC級冒険者が入るような場所にしかいないだろう。

たしか剣のやつは自分をB級冒険者だとか言っていた、冒険者証を見せられたことがないから嘘だと思っていたがまさか見たことがあったとは。


もう一度見る、そして俺ののど(・・)はヒュッ、という音とともに空気を飲み込む。

そうだ、あの二人の子供の近くにオークがいるんだ、俺は急いで弓を構えた。

モズが叫ぶ


「マリー!ルード!早くオークから離れるんだ!」


そうすると、驚いたことに亜人であるオークが返事を返してきたのだ、人語を理解する亜人は強いと聞いたことがある、俺は焦って矢を番えた。


「くっ、言葉を理解するオークだと!オークメイジかオークリーダーか!」


さらにモズが叫ぶ、兵士達がざわざわしているのがわかる。

オークリーダーだって?オークとだって初めて戦うんだぞ。


その後、モズとオークが会話を交わしつつ、モズが後ろ手で矢を放てと指示をする。

いつもだらけていたモズがすごく頼もしく見える、子供たちがこちらに走り寄ってきた。

オークが、子供に目を取られた瞬間に俺は矢を放った。

ゴブリンだったら必殺の一撃になっただろう、しかしオークはその矢を避けた。

モズが矢に追従するように進み、剣を振るう。

オークは思ったよりも俊敏に動き、モズが振り下ろした刃を躱す。

モズはそのまま刃を振り上げる、それにより腹が切れたのか、オークは怒って手に持っていた槍を放り投げると、剣を構える。

そのままモズはオークの後ろをとる、そうだ俺も当たらないまでも打たなければ。

牽制のつもりで放った矢がオークの背中に突き刺さる。

オークは矢が刺さったままで、モズの攻撃を躱し続けている。

まるで、弓と戦うのは初めてといった具合だ、モズの攻撃を避け続けている事から剣で戦う相手には対応ができているようだがモズにしか注意が行っていない、素人な動きだった。

俺は急いで次の矢を番えて放つ、子供たちは突然始まった戦いに茫然としてオークを見ていた。

矢が命中する!そう思った瞬間、大地が若干揺れ地面から岩が生えだす。

その岩は俺とオークの間を邪魔するように生えた、よく見るとオークのが何か叫んでいるのが見える。

あれは魔法だ、脅威度がさらにあがった。

俺は左右どちらからでも岩からオークが顔を出したら射てる場所に立つ、するとモズに追いやられたのかオークが岩から身を出してくる。

放った矢は肩に命中した。


「よしっ!」


俺は素早く矢を番える、すると二人の茫然と立っていた二人の子供が俺の足にしがみついて、「やめて」「あの人はオークじゃなくて人間だよ」と言ってくるのだ。

俺自身オークを見たことが無く、モズがいうので攻撃をしていた、もしオークじゃなく人間だったら、と考えた瞬間。

鞭で強くたたくような音が響き、暗くなった空が一瞬明るく光る。

子供二人が駆け出し岩を挟んだ向こうへいってしまう、急いで追いかけるとそこには倒れたモズとオークがいた。

オークはモズに手をかざし回復魔法を使ったように見えた。

そしてそのまま、オークは気絶した。魔元素切れの気絶の仕方だった。


「スプーキー!スプーキー!」


兄のルードがオークを揺さぶる、俺はルードを止めてオークの頭に触れた。

そこには魔物に必ずある魔角は無い、どうやら本当に人間だったようだ。

俺は血の気が引いた、勘違いとはいえ人間を射てしまったのだ、しかも盗賊でもないただの旅人だ。その腕にはすでに矢がは刺さっておらず、血が止まっているが背中には矢が刺さりっぱなしだ。

ガチャガチャと金属のすれる音が聞こえる、代官の兵士が近づいてきたのだろう。

ああ、クビになってしまうのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ