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猫耳隻腕の少女

焼けたゴブリンの死体を見てみると、頭部の焼け爛れた皮膚から頭蓋がむき出しになっており、そこに赤茶けた色の小さな鉱石が除いている。

小手を外し、能力で作成したゴム手袋を付けてその鉱石を取り出してみると、それは魔角と呼ばれる魔物の討伐部位だった。


「おー、これがそうか。」


赤い鉱石の中に、血液が混ざったような色をしており、あまり綺麗とは言えない。

鉱石は水晶のように、光を通して水晶の向うが見える。

とはいえ魔角を利用して俺に何かできるわけでもない、(のみ)を創り右手で握るとゴブリンの頭蓋に張り付いた皮を黙々と剥がす。

頭蓋の皮のくせに、鳥の皮のようなぐにぐにとした感触があり非常に気持ちが悪い、頭皮に触れたことなどないが、このぐにぐに感は人間の頭皮とは違うと思いたい。


近場にまとまっていた7匹を剥いで、最初に鉈を投げつけて殺したゴブリンを剥ごうと思って鉈を探したが、鉈は無くなっていた。

おそらく10mギリギリだったのだろう。

ふと、振り向いてみる。


炎の魔術(ファイア)放出型(・バーナー)で倒したゴブリンの焼け焦げた範囲は2m×2mと言った具合だ。先ほどは近場の相手を対象としたが、もっと遠距離にも飛ばせ…、違うな遠距離に突然炎を噴出させられそう、というところか。放出型(バーナー)系統の発動する場所は任意に何m先に出すという感じで選べそうだ。

風の魔術(ウィンド)貫通型(・ライン)に関しては、魔術発動場所から倒したゴブリンとの距離は約10mで、幅は1mあるかどうかといったところ。もっと幅を狭めればもう少し伸びるだろうし、広げれば距離は縮むだろう。

貫通型(ライン)系統は自分から先にしか出せるイメージがないな。


ぼんやり考えていたが、あまりぼんやりしてもいられないと思いつく。

先ほどゴブリンの齧っていた腕、あれはこういうのもなんだが、新鮮な肉であった。まるで食べ物みたいだな、どちらかと言えば切られてまもなさそう、とか言うべきか?


そしてひじから先をおそらく切り捨てたのだろうが、とても鋭利な切られ方をしていた、とてもじゃないがゴブリンが持っていた武器では出来そうもない。

もしかすると魔法の武器かもしれないとゴブリンが持っていた剣をゴブリンに指してみるが、ただの(なまくら)だった。

武器は拾って水晶(アイテムボックス)へ入れておく。


「切れ味の鋭い武器をもった何かがいる、のか」


そう思うと、木々が作り出す影すら恐ろしく感じたが、手にはめていたゴム手袋を捨てて、小手を創り出し、あるこうと思ったがどうにも臭い。

臭いなと思ったら胴と垂にも返り血がついていたので、決して再度創りだす。


「次からはエプロンを出そう」


誰かに言うのでもなく、俺は一人声に出してその場を離れた。



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それから30分程歩いただろうか、一人の少女が木を背にして座り込んでいる。

影の為表情は読み取れないが、その服装は乱れていて左手には短いナイフを持っているのが見える。

そして右手はなかった。


「…おい、大丈夫か?」


万が一襲われたら逃げれる程度に距離は十分にある、俺は念のために先に声をかけた。


「…利き手は失っていません、追剥なら無用です」

俺の声を聴いた少女は、気丈にも瞬時に立ち上がり、口を使ってうまくナイフを左手に持ち、構えた。


本当に利き腕なのかわからないが、その姿はとても様になっていた。


「そうか、いや無事ならいいんだが」

一言、君の腕を燃やしてしまってすまない、と続けようと思ったがそんな事を言ってもどうにもならないだろう。

俺は黙って癒しの方術を思い浮かべる。

癒しの方術(ヒーリング)…、癒しの方術(ヒーリング)射出型(・バレッド)か、そう思ったら右手の弾丸数を意識させられる。

弾丸数は最大6発のようで、弾数を増やすたびに1発の威力が減少させられるようだ。

まあ、今回は1でいいか。


「射出」


右手(小手を嵌めている)を銃の形にしようと思ったができないので、そのままチョップのような感じで射出する。

途中にあった木々を無視して少女にあたると少女の体を癒したのがわかる。

右腕が生えることはないようだが。


「ッ!?」


少女は驚愕の声をあげたが、構えを解くことはなかった。


「別に君をさらおうとかそういうことで来たわけじゃない、ただなんとなく進んだらここまで来ただけだ。」


そう言って背を向けて立ち去ろうとする、しかし、突然の轟音が辺りを震わせる。

振り向くと少女が背を預けていた木が倒れている、木はまるで包丁で野菜を切ったかのような鋭い切断面をのぞかせていた。

そして切断された木の有った場所に、3mはありそうな鈍色の蟷螂が首をもたげ体を左右に揺らしていた。


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