月日は夢の如く
カニさんになったさそりさんを助けるために、私はくまさんと一緒に女神様のいる丘を登りました。
「ほら、着きましたよ。」
「わぁー!」
丘の上から見えたのは、星が産まれる光景でした。
「きれい…」
目の前に産まれたての星が落ちてきました。私は思わず手を伸ばしつかみました。
「きれいでしょ?」
後ろに立っていたのは綺麗な女の人でした。
いつの間にか、くまの親子がいなくなっていました。
「あなたが女神様ですか?」
「えぇ。私は女神と呼ばれています。」
「女神様、大きくなってしまったさそりさんを助けてください。」
私は女神様にお願いをしました。
「あなたは優しい子なのね。いいでしょう。この星粉をあげましょう。」
女神様は小さなビンをくれました。ビンの中はキラキラ光っていました。
「ありがとうございます。女神様。」
私はポケットの中にビンを入れました。
これでカニさんになったさそりさんを助けてることができます。
グゥ〜
お腹の虫がなってしまいました。私はすっごく恥ずかしくなりました。
「あらあら。お腹がすいているのね?」
女神は可笑しそうに、クスクス笑いました。私は余計恥ずかしくなりました。
「私もお腹がすいてしまったの。一緒にお茶でいかが?」
女神様がそう言うと、テーブルとイスが現れました。テーブルの上には、湯気が昇る紅茶と美味しそうなクッキーがありました。
「一緒に飲みましょう?」
女神様に誘われるままに、私は女神様と一緒にお茶を飲みました。
「そうだ、女神様。私のしし座が何処にあるか教えて下さい。」
私は一番知りたかったことを女神様に聞きました。
「ごめんなさいね。しし座は今お仕事をしているの。でも、あと少ししたらお仕事が終わるわ。それまで待っていますか?」
「さそりさんが心配なので私はもう帰ります。ご馳走さまです」
本当は待って居たかったけれど、カニさんになったさそりさんが心配なので、丘を降りることにしました。
「やっぱり、あなたは優しい子ね。優しい心を持っているあなたにこれを差し上げます。」
女神様の手の中に、とても小さな卵でした。真っ白な卵でした。
「星粉を貰ったので、卵は貰えません。」
「いいえ。これはもうあなたのものです。」
女神様は無理やり私の手に卵を握らせました。私はとても困ってしまいました。
「この卵は不思議な卵。何か産まれかは誰も知らないし、わからない。あなたに産まれくるモノお母さんになってほしいの。そして産まれて来たモノを私に見せて」
女神様は微笑みました。
「そう言うことなら預かります。」
私は卵を預かることにしました。
随分と長い時間を過ごしていたのでしょう。星の数が少なくなってきました。
「女神様、ただいま戻りました。」
空からライオンさんがやって来ました。
「お仕事お疲れ様。でも、この女の子をさそりがいるところまで連れて行ってあげて。」
「お安いご用です。お嬢ちゃん。さぁ、お乗り。」
私はライオンさんに促されるままに、ライオンさんの背中に乗りました。
「行くよ!」
ライオンさんはとても足が早いのてあっという間にカニさんになったさそりさんのところに着きましたよ。私はライオンさんの背中に乗ったまま星粉をカニさんになったさそりさんにかけました。
「ありがとう」
この言葉を最後に世界が真っ白になりました。
「起きなさい。もう朝よ。今日は大切な日なんでしょ?」
聞こえて来たのは母の声でした。
目覚まし時計は7時を指していました。
「もう、朝か…」
ベッドを抜け出した私は、カーテンを開けて日光を浴びました。
「う〜ん」
これが私の日常の始まり。いつもと変わらない光景。
「早く降りて来なさい!」
「はーい!」
部屋から出る前に目覚まし時計に目を向ける。
今日で私は18歳になった。