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三つの魔法

今回は、三つのお願い事をテーマにした話です。

詳しくは後書きで。


それではどうぞ。

遠い国のある家に、ジェシカという女の子がいました。


ジェシカは体が弱く、もうすぐ十になるのに友達がおらず、親も仕事が忙しいので、今日も一人でくまのぬいぐるみと遊んでいます。

「だれかと遊んでみたいな」

しかしいくらぬいぐるみに話しかけても、答えてはくれません。

「あーあ、神様がいたらな。お願い事、叶えてもらえるのに」

ジェシカが口を尖らせて言うと、神様も困ったようで、ついにジェシカの前に現れました。

白い煙とともに、スーツに身を包んだ少年が出てきたのです。

「あなたのお願い、三つだけ叶えてあげましょう」

そういってお辞儀をした小さな紳士は、ジェシカと同じくらいの年でしょう。

「わあ、ほんと。何にしようかなぁ」

ジェシカは嬉しくてたまりません。飛び跳ねながらばんざいをし、ぬいぐるみと踊っています。

「三つだけなので、良く考えてくださいね」

そう言うと少年は、小さなリスの姿になり、ジェシカの頭の上に乗りました。

「可愛いリスさん、わたしのお願いを叶えてくださいな。わたし、お友達が居ないの。家にあるものがお友達になってくれないかしら」

ぬいぐるみをギュッと抱き、頭の上に喋りかけます。

「お安いごよう」

リスはそう言い、ぴょんと床に飛び降ります。

小さなステッキを振り回し、魔法の粉を部屋いっぱいに振り掛けました。

するとどうでしょう。椅子や机が動き出し、カーテンは楽しそうに揺れています。

「まあ、すてき!」

そう言うとジェシカは、家にあったぬいぐるみというぬいぐるみを引っ張り出し、皆で大さわぎ。

鏡とにらめっこすると、鏡に写るジェシカをおもしろおかしく変えてしまうので、ジェシカは笑ってしまいました。

うさぎの形をした、陶器のオルゴールは綺麗な音を流しています。

その音に合わせて、ぬいぐるみと輪になって踊ったり、ぼうし掛けと社交ダンスを楽しみました。

「ああ、つかれた!」

時間は三時、ちょうどおやつの時間。ひとやすみをしながら、皆で楽しいお茶会をします。

しかし、カップにお湯をそそぐと、カップが文句を言うのです。

「熱い、熱いよ!」

仕方ないので、冷たい飲み物を飲む事にしました。

オレンジジュースをカップに注ぐと、気持ちよさそうにカップが言います。

「ああ、冷たい。気持ちいいなあ」

ジェシカはぬいぐるみとリスの分もジュースを注ぎ、いすに座りました。

「痛い、重い!」

もごもごと言っているのは、ジェシカが座るいすでした。

慌てて立ったジェシカは、いすを説得し、座りなおします。

「ほんと、夢のようだわ」

皆でジュースを飲んで一息つくと、たいくつになったカーテンやドラセナの木がいたずらを始めます。

カーテンはジェシカの顔をかくし、ドラセナは葉っぱでジェシカをくすぐりました。

「やめてよ、くすぐったいわ!」

ジェシカが怒ると、カーテンとドラセナはしゅんとなって、喋らなくなってしまいます。

「まったくもう。いじわるね」

腹を立てながらジュースを飲みます。

しかし何ということでしょう。あやまって、カップを落としてしまいました。

「わああ!ぼくの体が!」

カップは真っ二つに割れ、悲鳴をあげながら、やがて動かなくなります。

「どうしよう、どうしよう」

慌てているとくまのぬいぐるみが、どこからか接着剤を持ってきてくれました。

「ありがとう、くまさん。これできっとなおるわね」

小さな手で一生懸命カップに接着剤を塗ります。

ぴったりと割れたカップをくっつけ、ばんそうこうを貼りました。

「まったくもう、次は落とすなよ」

そう言ったカップは、どこか嬉しそうでした。


その後も皆で踊ったり歌ったり、楽しい一日を過ごしました。

すっかり部屋が夕日に染まる頃、ジェシカが言います。

「リスさんリスさん。わたしの友達みんな、元に戻してやってくださいな」

「本当にいいのかい。お願い事は、あと二つだよ」

頭の上から、ジェシカを覗きこみました。

「だってみんな、このままじゃつかれちゃうもの。元に戻るべきだわ」

「あなたがそう言うなら」

ちょこんと床に降り立ったリスは、さっきと同じ魔法の粉を振りかけます。

元に戻る寸前、ジェシカは皆に言いました。

「ありがとう、楽しかったわ。みんな、ずっとわたしの友達よ」


その夜、ベッドに入ったジェシカは、リスに最後のお願い事をします。

「せかいにいる、たくさんの子供たちの、三つのお願いを叶えてあげてくださいな」

リスはそれを聞くと、ジェシカのほっぺにチュッとキスをし、少年の姿に戻りました。

「優しいジェシカ、あなたにはきっとすてきな未来があることでしょう」

少年はそう言うと、来た時と同じ白い煙にまかれながら、姿をけしました。

ばんそうこうを貼ったカップを撫で、くまのぬいぐるみにおやすみを言います。

目を瞑ると、くまのあいさつが聞こえたような気がしました。

読んでくださり、ありがとうございます。


さてさて、今回はなんとも不思議な話。

こんな機会があったら、大人だったらきっと、もっと欲のある事を言ってしまいますよね。

大人でなくても、十を超えた辺りからその様な欲が生まれてしまうような気がします。

まだ小さい子だからこそ、こんな素敵なお願い事ができるのではないでしょうか。


ちなみに雷稀、三つのお願いがあったら…

・空を飛びたい

・世界が平和になりますように

・あ。お願い、あと百個に増やす!!

こんな感じでしょうかね(笑)

二個目は偽善者ー!って叩かれそうですが、苦しむ人が減るのは願っても無い事です。今は平和に暮らしてますが、もし生まれ変わって、自分がそんな辛いところに生まれてしまったら嫌な筈。

世界平和は、勿論動物の世界も含めてだったり。


とまあ、話がそれましたが、素敵なお願い事のお話でした。


感想・アドバイス等ありましたら、よろしくおねがいします。

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