夢じゃない宝物
こんにちは。
今回の一作目は、一度は夢見るような事を体験した少女のお話。
たいくつな日曜日に起きた、不思議だけど夢いっぱいの出来事をお楽しみください。
それでは、どうぞ。
あるところに、小さな家に住む、小さな女の子がいました。
女の子の名前はアニーといい、それは可愛らしい少女でした。
ある日曜日、アニーはお留守番をしていて、お人形遊びにも飽き、たいくつしていました。
窓にひじを付き、頬杖を付いて、空を眺めると、眩しいお天道様に向かって、気持ちよさそうに鳥が飛んでいます。
しばらくその鳥を眺めていると、どうやらアニーの家に巣があるようでした。
窓の近くの屋根と空を、行ったりきたりしています。
屋根には小さい鳥の巣がありました。
「鳥さんはたいへんね」
にこやかにそれを眺めていると、突然鳥が鳴きだしました。
「どうしたのかしら」
親鳥を見てみると、アニーの家の庭で、ばたばたと羽を動かし、忙しなく鳴いていました。
庭に行ってみると、どうやら鳥のひなが落ちてしまったようです。
屋根は低かったので、ひな鳥は生きているようでした。
「かわいそうに。おうちに戻してあげるわね」
ひな鳥に近づくと、親鳥が守るようにひな鳥の前に立ち、ピィピィと鳴いています。
「大丈夫よ。あなたのひなを、おうちにかえすだけよ」
しゃがんで親鳥に言って聞かせると、やがて鳴くのをやめ、アニーの肩にちょこんととまりました。
アニーは両手でひな鳥を包み、家の中に入ります。
落とさないように気をつけながら、さっきの窓までやってきました。
巣にそっと手を延ばし、ひな鳥を巣に帰してあげます。
「はい、もう落ちちゃだめよ」
ひな鳥は小さな鳴き声でお礼を言いました。
肩に止まっていた親鳥は、ピィっとひと声鳴くと、窓の枠にとまりました。
「ありがとう。お礼に、あなたを空に連れて行ってあげましょう」
親鳥は綺麗な声でそう言うと、真っ白な翼のはえた、女の人になったのです。
「まあ、嬉しい。アニー、お空を飛んでみたかったの」
女の人と手を繋ぎ、一緒に空へ飛び立ちました。
空に行くと真っ黒なカラスに出会い、あいさつをします。
「こんにちは、カラスさん」
アニーがそう言うと、からかうように二人の周りをぐるぐると飛び、やがてどこかへ行ってしまいました。
「おかしなカラスね。失礼しちゃう」
「あれでも良いカラスなのよ」
女の人はそう言い、笑いました。
しばらく飛んでいると、今度はつばめに会いました。
「こんにちは、つばめさん」
アニーがそういうと、今度はちゃんとあいさつをしてくれます。
「やあ、可愛らしいお嬢さん。空のお散歩かい」
「ええ、そうなの。お空はたのしくっていいわね」
「いい旅を」
つばめはかるく会釈をすると、遠くの空へ飛んで行きました。
「良いつばめさんね」
「鳥の世界では人気ものよ。ほら、雲の上へ乗ってみない」
雲はわたがしのようにふわふわです。
「すごいわ、わたしのおふとんよりふわふわよ」
しばらくトランポリンにしたり、ちぎって遊んでいるうちに、たくさんの鳥達が集まってきました。
「すてきなお嬢さんのために、一曲いかがかな」
さっきのつばめがそう言うと、皆がいっせいに歌いだし、楽器を弾きます。
花で作ったラッパや笛、葉っぱのドラムに種のカスタネット。
にぎやかな音楽と、美しい歌声が空に響き渡ります。
もちろんさっきの親鳥も、女の人の姿で、綺麗な歌をきかせてくれました。
「ああ、たのしいわ。でも、気持ちよくて寝てしまいそう」
アニーはそういうと、間もなくしてすやすやと眠ってしまいました。
気がつくとそこは、アニーの部屋のベッドでした。
窓からはオレンジ色の陽が差し込み、鳥がどこかで鳴いています。
「夢だったのかなぁ」
少しがっかりして窓を眺めると、窓枠のところに、綺麗な純白の羽と、花のラッパがおいてありました。
アニーはお礼を言い、それをそっとつかむと、宝箱にしまいました。
外からは綺麗な小鳥のさえずりが聞こえています。
読んでくださり、ありがとうございます。
童話は初挑戦で、恥ずかしながら投稿させていただきました。
いかがだったでしょうか…
初挑戦なものの、前々から書きたかったジャンルなので、投稿できて嬉しいです。
いやぁー、それにしても、書いてて楽しかった!
やっぱり子供の頃に夢見た事を綴るのは楽しいですね。
空を飛びたい、雲に乗りたいとひたすら空想を重ねた幼い頃。
今思えばありえないことでも、やっぱり夢見てしまうものですよね。
子供の頃に帰ったような気持ちで読んでいただけたらとっても嬉しいです。
感想・アドバイス等ありましたら、よろしくおねがいします。