お茶会で...
「ごきげんよう。おそくなってしまって申し訳ございません。
カリン様、セイラ様、ユラ様、お変わりなくてうれしいですわ。」
「ごきげんよう、メアリ様。
おくれてなどございません。どうぞ、お気になさらずに。」
「そちらこそ、お変わりなく。お会いできてうれしいわ。」
「そうですわ。それにまだミモザ様はいらしてませんの。」
「まあ、そうなんですの。」
朝起床してから約2時間ばかりたったころ。
城に来て、わたしはお茶会の行われるローズガーデンへと足を向けた。
進んできたわけじゃないんだからね。
しかたないからよ。ホントは来たくないし。
少しゆっくりきたけど、ミモザ様がまだ来ていない時間にくるのは計算済み。
ミモザ様は陛下の姪にあたる御方。
さすがにその方より後から来るのは失礼でしょ?
すると、向こうの小道に人影が見えてきた。
今日は人が多いみたい。
多分ミモザ様と一緒に来るのは、王女であるローズ様。
侍女だけでなく騎士たちもいるし。
「こんにちは、皆様。
今日は、お姉様も一緒なのよ。」
そう言うと、ミモザ様は可愛らしく笑った。
とてもうれしくて、自慢したいというような表情だ。
「ごきげんよう。
私もご一緒してよろしかったでしょうか。」
ミモザ様に続いてローズ様もわたしたちにあいさつをする。
ミモザ様に比べれば大人びた言葉づかいだが、まだ幼さが残っていた。
ミモザ様、ローズ様はともに王家の方で王宮で暮らしている。
ローズ様とミモザ様は、年が近く(ミモザ様13歳、ローズ様14歳)従姉妹どうしだということからとても仲がいい。
もちろん、王子であるキース様(16歳)とも仲がいいのだが。
ミモザ様とローズ様が席について二人を中心に城のなかでの些細な出来事の話に花を咲かす。
わたしは一応話しに加わりながら、横目でローズ様のうしろを見る。というか睨む。
なんでヒロトがここにいるのよ。
アルトがいるならわかるけど。
ヒロト(16歳)とアルト(18歳)はわたしの幼馴染であり城の騎士。
ふだんヒロトは王子の護衛、アルトは王女の護衛を他の騎士とローテーションして行っている。
護衛じゃないときは、訓練か町の見まわり。
あと、ヒロトは三大名家の二つめ、ウィンダニア家の次男。
そんなわけだから、アルトはヒロトのお目付け役でもある。
そういえば、このお茶会に参加しているセイラ様が三つめの三大名家、イロット家の長女。
わたしは、この人あんまり好きじゃないけど。
まあ、それはそれとして。
なんでヒロトがここにいるの、ホントに。
やりずらいんだけど。
ヒロトはわたしが猫かぶってることしってるんだし。
絶対内心、笑ってるでしょ。
うう、笑顔がひきつってないか心配。
お願い、早く終わって。
「そういえばあたし、今日は叔母様に呼ばれていますの。
もういかなくては。みなさんともっとお話ししていたいのですが。」
_おお、ミモザ様。今は天使に思える。
早く、お開きにしましょ。
「そうでしたの?
まだご一緒したかったですわ。」
_ああ、余計なこと言わなくていいから、セイラ。
「ホントですわ。
でも今日はこれで失礼します。お姉様はどうしますか。」
_お願い、ローズ様。お開きにするって言って。
「ええ、そうね。
私も用があるの。これでお開きにしましょう。」
_やった~。これで自由だ。今日はすることがいっぱいあるんだから。
多分わたしは今、作り笑いではなく、本当の笑みを浮かべているだろう。
まあ、その違いはここにいる人にはわからないだろうけど。
ヒロト以外には。
「あの、メアリ様と私お話したいことがあるのですが。
もう少し時間はあるのでしょうか?」
_あの、ローズ様? 今、何ておっしゃいました?
ありえないでしょ! どうしてこんなことになるの。
「もちろんです。ローズ様。
時間はかまいませんわ。どうぞお気になさらずに。」
ちゃんと笑顔が作れていただろうか。
絶対引きつってるわね。
少し、というかかなりキレてるけど、まさか王女様相手におこるわけにもいかないし。
それにまだみんながいる。
ここでそんなことをしでかしたら、家にも影響を及ぼしかねない。
さらに、ミモザ様以外のメンバーの視線がすごい。
何であなただけ、という思いが全然隠れてない。
だいたいわたしも早く帰りたいんだから。
そしてそんなわたしをみて、笑いをこらえているヒロト。
わたしが睨むと‘バカ’と口を動かす。
あ~~あ、どうしてこうなるのよ!
何か全然、話が進んでいないような気がします。
説明長いですね。
これからもなんとかがんばりたいです。
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