その背景には...
「わたしは何をお教えすればいいのでしょうか?」
これを聞かないと始まらない。
うん。
「いや、別に何でもいいのだが...」
何でもいいって、わたしは必要ないんじゃ?
そして何気に失礼では。
「そうだな。できれば古代語を教えてほしい。
その分だと書くこと読むこともできるだろう?」
どのくらい知ってるのかな? この王子殿下は。
言葉が少ないからどこまで秘密を知ってるのかわからない。
「はい、一応できますが。
...セオラ語、でしょうか?」
「ああ。ほとんど読めない。」
書くことは?
さっきの会話で話せることはわかったけど。
あいかわらず、そっけない。
どうやらほんとうにそういう性格らしい。
まあ、考えなしな飾り物の王子でもないらしいが。
わたしがセオラ語使えても、何も聞いてこなかったから。
でも、この人の場合、ただ興味がなかった可能性も十分あるわね。
「かしこまりました。」
ここで少し微笑む。
あんまり無表情だと好感度が悪くなるからね。
「頼む。
今日はこれでいい。
まだ妹の方にも行かなくてはならないだろう?」
「確かにそうですが、いいのでしょうか?」
まさかこんなに早く終わるとは思ってなかったから驚く。
王女様のとこは、午後くらいになるかと思っていた。
「いいんですよ。メアリ嬢。
愛想はないですがこれでも王子の気づかいなんですから。
ね、王子?」
あら、またいきなり乱入してきましたよ、この人。
でも余程王子と親しいらしい。
ここまで言えるなんて。
「余計なことを言うな。黙ってろ。」
そして王子もすかさず言い返す。
王子と臣下には見えない関係。
「はい、かしこまりました。殿下」
そんな王子に隣のその人_名前がわからない_はおどけたようにそう言う。
「では、お言葉に甘えて。王女様の方へ行かせていただきます。
これからよろしくお願いいたします。
失礼します。」
「妹を頼む。」
「明日ね~」
そんな言葉を最後に王子に一礼して部屋を去った。
部屋を出てすぐにものすごく派手な格好をしている人に会った。
というかすれ違った?
あれは確かアルバート家の若い当主。
ものすごく派手好きで、自分勝手なんだとか。
多分王子に会いに行くんだろうけど、あんな奴と王子がならんだら、一見あっちの方が王子に見えちゃうんじゃない?
まあ、本物の王子のほうが風格はあるけど。
それに金髪碧眼っていう王家の証があるしね。
あんなのが王子だったらこの国は終わるわ。
「それにしても...」
セオラ語、ね。
セオラ語で会話したのなんて何年ぶり?
教わったとき以来かな。
...お父様も憎いわね。
ほんとに当てるなんて。
__本来セオラ語はあまり使われない。
というか使えない。
それは知っている人が少ないからだ。
何せ、数百年前の革命が起こったころに使われていたもの。
今ではその国々は分裂して独自の言葉をつかう。
よって、セオラ語は必然的につかわれなくなった。
...一部の人を除いては。
というわけで私もその一部の人に教えてもらったのだけど、王子は何のためにつかうのか。
はっきり言ってセオラ語はこの時代役に立たない。
あの時代の書物はなぜかほとんどが消えてしまってどこにもない。
きっと戦争中に燃やされたのだろうということになっているが実際にはまだ、解明されていない。
王族なら数冊もっていてもおかしくないけど。
つまり話す人もいなければ、読むものもないってこと。
こんな背景にセオラ語というものはあるわけで。
今、王都またはその付近で、セオラ語をつかえるの人はわたしとお母様くらい。
そこでお父様の話にもどるのだけど。
簡単に言うとお父様は「王子はおまえにセオラ語を教わりたいんじゃないか。」的なことを言っていた。
確かにほかの事なら誰にでも習えるものね。
納得。
少し退屈な日常から抜け出してきた気がする。
と、メアリがそんなことを思って歩いている時。
先ほどの部屋では......
「はじめてですね。すぐに帰った人。」
「...そうだな。
いつも帰ってもらうのに苦労する。」
「はは、みんな王子目当てでしたからね。」
「...今回はちゃんと勉強できそうだ。
それに無駄に気を使わなくていい。」
「そんなこと言ったら今までの人に失礼ですよ。
まあ、メアリ嬢がいい!と言ってくれたローズ様に感謝するんですね」
「...そうだな。」
「もしかして拗ねてます?
メアリ嬢の前でからかったのがまずかったですかね?」
「...別に。」
「いや~、あなたが珍しく真面目だったんで。」
「...古代語を完璧に話せる人をはじめて見たんだ。」
こんな会話が王子の部屋でされていることをメアリは知るはずがなかった。
わ~。
なんか文章めちゃくちゃだ。
読んでくださってありがとうございました。